122,クリスマスデート
ごめんなさい、ごめんなさい、また途中のまま投稿してしまいました、またやらかしました、申し訳ないです、本当にごめんなさいぃぃぃぃ┏( ;〃ToT〃 )┓
二学期が終わり、高校生達は冬休みに入る。
今日は12月25日。クリスマスだ。
陽斗は私服で外を歩いている。何故かそわそわとして落ち着きが無い様子だった。
彼はズボンのポケットからスマホを取り出し時間を確認する。
「30分も早く着いちゃったな」
待ち合わせの時間まで30分も早く着いてしまった陽斗は、どこか時間を潰せるとこはないかとキョロキョロと辺りを見回す。
その時、駅の時計台のところに1人の女性が立っているのが目に入った。
「な、成美!?」
陽斗が驚いて目を向ける先には成美がいた。可愛らしいワンピースの上にコートを羽織っていて、いつも結んでいる髪は下ろし緩く巻いてた。若干だが化粧もしているようだ。
「か、可愛すぎる・・・・・・」
陽斗は思わずその成実の姿に見惚れる。少し離れた場所から女性をジーと見ている様子は一見不審者だ。
陽斗が成美に見惚れること数分、一人で待つ成美の横から2人の男性の影が入ってくる。
「君、めっちゃ可愛いね! 今、暇?」
「え、えと、人を待ってて・・・・・・」
「友達? じゃあその子とも一緒に俺たちと遊ばない?」
「だ、大丈夫です」
「いいじゃんいいじゃん! ほら、行こ!」
戸惑いつつも断る成美だが、その彼女の手に1人の男性の手が触れる。男は嫌がる成美を引っ張っていこうとする。
「い、痛っ・・・・・・!」
それに成美が苦痛の表情を浮かべた瞬間、陽斗の何かがブチ切れた。陽斗は飛び出して成美の元へ急ぐ。
「おい、何してんだよ」
成美のとこへ着いた陽斗は、成美の手を掴んでいた男の手を振り払い、成美を自分の元へと引き寄せる。陽斗は冷たい目で男を睨みつける。
「は、陽斗くん!」
「なんだよお前!?」
突然の乱入者に、成美も男たちも驚いた表情をする。
「俺の彼女に何してんだよ」
「か、彼女!?」
「チッ、彼氏いたのかよ」
「・・・・・・彼女」
陽斗の"彼女"という発言に、男たちは大きく舌打ちをする。
だが、成美は"彼女"という言葉に何だか嬉しく思って、こんな状況であるのに、顔がほころんでしまった。
男たちはどうしようかと迷う。
成美は本当に美人で、可愛らしくて、スタイルも良い。こんな女性は中々いない。無理やりにでも連れていきたいが、そんな彼女には彼氏がいる。
だが、その彼氏という男はとても弱々しそうだった。長い前髪で顔は隠れ眼鏡をしていて、見た目は陰キャだ。
男たちはニヤリと笑みを浮かべる。少し痛い目を見せたら、こんなもやしのような男はすぐに彼女を引き渡すだろうと考えた。
それが浅はかな考えだとも知らずに。
「そこの彼女を引き渡せねえと痛い目見るぞ!?」
「脅しても絶対に渡しません」
「・・・・・・んだと!? 舐めてんじゃねーぞ、ゴラァ!!?」
ちょっとした脅しも陽斗は平然としており、逆にその態度が男たちの癪に触った。男2人は陽斗に殴りかかる。
しかし、陽斗は1人の腹に蹴りを入れ、もう1人には顔に拳を突き出す。躊躇がなく、まるで喧嘩に慣れているかのようだった。
男2人はあっけなく地面に転がる。
「く、クソ! 覚えとけよおぉ!」
男たちはありきたりな負けゼリフを吐きながら、慌ててその場から逃げ去っていった。
「陽斗くん、ありがとう。・・・・・・それと、ごめんね」
「なんで謝るの?」
「だって、陽斗くんに迷惑かけちゃったから・・・・・・」
「違う、俺の方が悪かった!」
「・・・・・・え? 陽斗くんは守ってくれたから全然悪くないよ?」
成美は不思議そうに陽斗を見つめる。
だが、陽斗はそんな成美から気まずそうに視線を逸らす。だって、自分が成美に見惚れていたせいで、彼女は変な男どもに絡まれたなんて、そんな事言えない。自分が早く彼女の元に行けばさっきのようなことは起こらなかったのだから。
「あ! 手首赤くなってるよ!」
さっき男に掴まれていた成美の手首が、赤く腫れていた。跡がつくほど強く掴まれたのだろう。
「あの男ども・・・・・・!!!!」
陽斗はさっきの男たちに痛い目を見せなければならないと思い、男たちが去っていった方向へ歩きだそうとした。
あの男たちは、成美のか弱く細い手を掴んだだけでなく跡までつけたのだ。もしかしたら折れているかもしれない。陽斗の怒りは爆発寸前だった。
「は、陽斗くん! 落ち着いて! 私は大丈夫だから!」
「駄目だ! 成美を傷つけたんだから・・・!!」
「ほら、周り見て! 皆こっち見てるよ!」
その成実の声にハッとなり辺りを見回すと、周りにいた人たちが自分たちに注目しているのに気付いた。
「あの男の子、さっき人を2人殴ってたわよ!」
「うそ! すごいか弱そうなのに!」
「彼女を守っていたみたいだけど・・・・・・」
皆は先程の喧嘩(正確には陽斗の一方的な蹴りと拳一発ずつだけで喧嘩とは言えないが)を見ていたのだ。そりゃ駅前の広場で突然暴力沙汰が起こったのだから、注目せずにはいられない。
「とりあえず、移動しよう!」
「そうだね」
2人は慌ててその場から小走りに去っていく。
陽斗と成美は駅の近くのショッピングモールの中の椅子に座り、成美の手首を冷やし、先程薬局で買った湿布を貼る。
特に痛みもないらしく、2人はショッピングをしたり、プリクラを撮ったり、カフェでケーキを食べたりして、クリスマスを大いに楽しんでいた。
日が沈み、外がすっかりと暗くなった時、陽斗の案内で2人は電車に乗っていた。
電車を降りて駅から少し歩くと、目の前に眩しいほどの光が2人を照らす。そこら辺一帯が光で美しく輝いていた。
「わあ、すごく綺麗・・・・・・!」
成美は驚いたように、感嘆したように、嬉しそうに、そう声を上げる。
中央には大きなツリーがあり、周りの木々や地面も光り輝いている。他にも球体のものがまるで浮かんでいるように光っており、それがとても幻想的に見えた。
2人は写真を撮ったりしながら一周して、ツリーの前へと戻ってくる。
「成美、ちょっと、渡したいものがあるんだけど」
陽斗はそう言うと、バックから包装された袋を取り出して、成美に渡した。
「俺なりに選んでみました」
そういう陽斗は照れてしまい、恥ずかしそうに顔を背ける。
成美は陽斗から貰ったプレゼントと陽斗を交互に見つめる。そして、そのプレゼントを大事そうに胸元で抱くと顔を上げた。
「・・・・・・嬉しい、ありがとう!」
成美は嬉しそうに笑う。
そんな笑顔の成美を見て、陽斗も安心したように、嬉しそうに顔を綻ばせる。
「はい、これ、私からも」
すると、今度は成美がバックから取り出した袋を陽斗へ渡す。
「私も、自分なりに選んでみました」
成美は戸惑う陽斗に暖かい笑みを向ける。
すると、陽斗の目から涙が零れた。
「え、ど、どうしたの!?」
突然の陽斗の涙に、成美は戸惑いながらも陽斗に駆け寄り、心配そうに顔を覗き込む。
「ううっ、うっ・・・・・」
「どうしたの、具合悪いの・・・?」
「ち、違う。俺、こんなに幸せでいいのかなって・・・・・・」
陽斗は肩を震わせながらそう言う。
陽斗にとって、ずっと憧れだった普通の学生生活。
そのために、彼は"青羽瞬"を犠牲にしてそれを手に入れた。多くのファンを裏切ってまで。
そんな自分を、皆は優しくしてくれる。
そして、今はこんなにも幸せだった。幸せを感じすぎて、自分はこれでいいのだろうかと、幸せを感じる権利はあるのかと、思ってしまったのだ。
「陽斗くんは、自分のために生きていいんだよ」
そんな陽斗を、成美は優しく暖かく抱き込む。
「今まで自分を犠牲にしてきたでしょ? だから、もう、自分の好きなように生きていいと思うの。私達は、もう十分なほど、陽斗くんから勇気と元気と貰ったから」
その成実の言葉は、陽斗の心に深く染みた。
芸能界を去ったことに、後ろめたく感じていた。本当にその決断でよかったのか、よく分からなくなっていた。
だが、もう自分は好きなように生きていいのかと、自由に生きていいのかと、そう思えて心が軽くなった。
「・・・・・・ありがとう、成美。俺、成美に助けられてばっかだね」
陽斗は、まだ涙が残ったままの笑顔を成美に向ける。
「ううん、私は陽斗くんに与えられてばっかだったから、その分を返してるだけ。それとね、辛かったり困ってたら、いつでも私に言ってね。いつでも助けに来るからね!」
そう意気込む成美に、陽斗は思わずフッと笑みが零れる。
「俺より男前だ」
2人は目を合わせて笑い合う。
本当に、本当に陽斗は幸せだなと感じた1日だった。
この後、陽斗の家で、成美の特製ケーキを陽斗ママと3人で食べ、成美は陽斗の家にお泊まりをした。
寝る時、陽斗はベットの方がいいからと、成美にベットを進めた。ベットの方が柔らかいし、寝心地がいいと思ったからだ。
しかし、成美は陽斗のベットだからと遠慮した。
その攻防は続いたがお互いに譲らなかったため、結局ベットで2人一緒に仲良く寝る事になった。
この時、2人は夜分遅くまで仲良く話していたため、翌朝寝坊することとなった。
クリスマスの翌日に遅れて部活に加わった2人に、部員一同は勝手に何かを勘違いしたらしい。顔を赤らめだしたり、からかい出したり、ニヤニヤとして話しかけてきたり、何故か陽斗にキレだしたりと、ちょっとした騒ぎになり、部活は一時中断することになったという。
読んでくださり、ありがとうございます(˙◁˙ ♡♡ )
ほんとにね、この作品がブクマ1000いったの信じれない!本当にみんなありがとう!!




