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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校2年生
127/138

120,ウィンターカップⅡ ⑧

ブックマーク1000いきましたー!!!本当に、感謝、感謝、感謝!!!!!!!



次の日、ウィンターカップ男子決勝が再び開始されようとする。


会場が多くの人で賑わう中、ある集団がそこへとやってきた。


その瞬間、その場にいた人達は話すのをやめ、一斉にその集団に目を向ける。



「おい、成宮高校が来たぞ!」

「あ、あいつじゃね? 昨日ゴール壊した人」

「あの人が破壊魔か。見た目のまんま強そうだな」


皆は成宮高校を見ながら、ヒソヒソと話し出す。


昨日の白石がバスケゴールを壊した事実はニュースや新聞で大きく取り上げられ、SNSでも話題になった。今までのウィンターカップの歴史の中で初めての出来事であり、世間は大きく盛り上がった。


白石はSNS上で"破壊魔"と呼ばれ、新しい名が与えられた。



「······ププッ、"破壊魔"だってよ」

「痛てぇ、痛すぎるだろ······」

「"紅血の悪魔(ブラッディ・デビル)"に"破壊魔"だろ? ブフッ、すげえな」


成宮高校の皆は、白石の後ろで笑いを堪える。白石がそういった名前を付けられるのに対して、半端じゃない嫌悪があるのは承知の事実だ。だが、からかわずにはいられない。白石の反応が面白いし、何よりも成宮高校バスケ部にはお調子者でお馬鹿さんが多いからだ。



「まじ黙れ」


「「「すみません」」」


白石の冷たく殺気が籠った目付きに、成宮高校は一斉に静まりすぐさま謝る。彼を本気で怒らせたらやばいので、早いこと謝るのが1番である。






「あれ、"破壊魔"じゃん」


コートに入った成宮高校の白石を見て、星野が笑顔でそう言う。


その一言に、白石の眉が不愉快そうにピクリと動く。そして、周りの人はそれに白石が怒らないか冷や冷やする。先程まで、白石は行き交う人に指さされ、噂され、"破壊魔"と呼ばれ、彼の我慢はもう限界の位置まできていた。


「なんで嫌そうなの? 誇りに思いなよ、"破壊魔"っていう素晴らしい名前を貰ったんだから」


星野はいやらしい笑みを浮かべながら、白石をからかい続ける。彼は白石が嫌がっていることを知りながら言っているのだ。本当に嫌なやつであると、その場の皆が、特に男たちが不快そうな顔をする。


「昨日は"破壊魔"くんに試合中止させられたけど、まあ、俺らが勝つから。あ〜、それと、昨日みたいなクソみたいな試合はやるなよ、まじつまんねえから」


星野はそう嫌味だけを吐くと、自分のチームの方へと戻ってった。


その場に残された成宮高校一同はシンと静まり返っていた。何人かはプルプルと肩が震えている。


「何アイツ! やっぱくそむかつく!」

「ちくしょう、悔しい! アイツも、何も言えない俺らにも!」


星野の言葉に、皆は怒りを露わにする。ただの挑発だと分かっていても、ムカつくものはムカつく。イケメンでバスケの実力は抜きん出ていて、それは憧れるし凄いと思うが、彼の性格がとにかくいけ好かない。


元々嫌な印象だったのに、さっきの一言でもう彼らの我慢の糸がプツンと切れた。


「お前ら、絶っっ対に優勝するぞー!!」

「「「うぉおおおーー!!」」」


成宮高校の皆の目に爛々とした闘志が籠る。皆は、星野桜雅を倒すことに一致団結した。


逆に結果オーライともいえよう。






会場に熱気が集まる中、コートに立つ選手たち。


昨日、ー無惨に壊されたゴールが横たわっていたコートはすっかりと整備され、いつもと変わらない姿になっていた。


試合が延期したにも関わらず、会場には多くの観客でいっぱいだ。ちなみに、冴木と奈那は仕事で来れず、冴木は仕事を休んでまでして来ようとしたが、陽斗やマネージャーに説得されて何とか諦めてくれた。



今日の試合は、昨日、白石がダンクをした時にちょうど第2クオーターの終了の合図が鳴ったため、続きの第3クオーターから始められる。




そして、会場の熱気が高まる中、ついに始まりのブザーが鳴り響いた。



成宮高校にはもうあとがない。点差は昨日の時点でかなり開いているため、最初から飛ばしていく。


成宮高校の動きは昨日と比べものにならないほど良くなっていた。昨日のグダグダが嘘だったかのようだ。




狼北高校のシュートが外れ、リバウンドを取った成宮高校が次は攻めに変わる。



ボールを持つ白石がゴール下へと向かう。味方はそれを邪魔しようとしてくる敵を足止めし、白石の進路を防がないようにする。


だが、ゴール下付近にいた敵は白石を止めようと近付いてくる。


敵は白石に釘付けだった。


しかし、その敵の背後から1つの影が飛び出してくる。


陽斗だった。


白石はゴールへとボールを放る。


そこへ陽斗が飛び付き、豪快にダンクを決めた。



第3クオーターは成宮高校の勢いが凄かった。

ゴール下は市原と白石が守り、粘り、ゴール下の主導権を握りつつあった。


また、陽斗もだった。彼は1人で何得点も上げていた。


陽斗がスリーポイントシュートを決めると、敵はそれを警戒して少し前に出て守ろうとする。しかし、そうすると陽斗は逆に前へ出る。前に出てきた敵を抜くと、ゴール下へと行きレイアップシュートを決める。


次に敵は陽斗がゴール下へ行くことを恐れ、後ろで守るポジションへと再び変えてきた。しかし、そうすると陽斗は前へは出らず、中間の位置からミドルシュートを放ち決めた。


前で守れば内から狙われ、逆に後ろに下がれば外から狙われる。


成宮高校に翻弄される狼北高校。



だが、狼北高校は押され続ける訳には行かない。


狼北高校は守備を変え、下がって守ることに決めた。狼北高校の195cmの人と星野でゴール下を守り、そこから得点させないように務めたのだ。


それにより成宮高校の得点を簡単に許さなくなった。




両校の均衡が等しくなり始めた頃、第3クオーターが終了する。


成宮高校は第3クオーターの前半でかなりの得点を稼ぎ、徐々に狼北高校に追いついていた。




両校の激しいぶつかり合いに、観客たちはその熱気に取り込まれ、魅了され、熱くなる。



「すげえな、これで高校生かよ······」

「······黄金世代だ」


高校生とは思えないレベルに、それを見ている皆は驚き、圧倒される。それと同時に、この試合を生で見れていることに感動し、彼らの将来に大きく期待を持つようになっていた。



ついに、第4クオーターへと入る。この10分でついに決着が着く。


足掻けるのはここで最後。両校とも必死に攻撃し守る。



ここにきて、両校のエースが力を見せつける。


陽斗は空間能力やハンドリング能力を生かして、星野は大きな体格と力を生かして、それぞれぶつかり合う。


2人とも調子は絶好調だった。




陽斗は必死にコートを駆け巡る。


もう優勝は目の前にある。これまで一緒に頑張ってきたチームメイトのためにも何としても勝ちたいと、陽斗は思っていた。星野に、狼北高校に、どうしても負けたくはなかった。


だが、点差はまだ追いつけてはいない。


陽斗はゴール下へと行き、ゴールを狙う。だが、そこには星野がいた。ゴールを狙おうにも星野に阻まれ、味方にパスしようにも周りにいない。


星野を抜いてゴールするのは厳しい。かといってここからシュートを放つのも絶対に星野に止められる。


しかし、「何としてでも勝ちたい!」という一心が陽斗を動かした。陽斗はゴールの裏側の方のコート外の方へとジャンプをした。


そこはゴールの前でも横でもなく、裏側だ。そこからシュートが入るわけがないだろう。


だが、陽斗は躊躇なくそこからボールを放った。コートから体が出る前に、ゴール裏からシュートを打った。


前からが無理なら、裏から打てばいいのだ。


陽斗が放ったボールは綺麗な弧をえがき、ゴールネットへ入った。


会場中が一斉に歓声を上げる。感嘆したような声、驚いたような声、様々な声が会場中を包んだ。


敵も味方も、一瞬驚いたように動きを止めた。だが、試合中だと思い出し、慌ててプレーに戻る。


「なんだよあのシュート······」

「あんなところからシュート打てんのかよ!?」

「まじバケモンだろ······」


皆は先程の陽斗の予想だにしなかったありえんシュートに驚きを隠せない。



だが、星野も負けてはいない。


狼北高校が外したボールをリバウンドして取った成宮高校は速攻を仕掛ける。そのまま白石が突破してゴール下へと行き、大きくジャンプしてダンクをしようとした。


しかし、その背後に大きな影が飛び出してくる。


星野だ。


彼は白石がダンクしようとして伸ばした手にあるボールを叩いて奪ったのだ。


さっきまで向こうにいたのに、あっという間に白石に追いついてきた。それに、白石は背があり、ジャンプ力もある。並の高校生では止められない。しかし、星野はそれを超えて白石のダンクを止めてきた。


会場中にまたもや驚いたような、感嘆したような歓声が溢れる。


「まじかよ、あれ止めんのかよ!!?」

「えげつねえな······」


皆は先程の星野の予想だにしなかったありえんプレーに驚きを隠せない。



本当に激しく熱い試合で苦しいはずなのに、陽斗と星野は楽しそうに笑っていた。それが頼もしいようで、でも少し怖く感じる。この2人だけ、持っている空気感が全く違った。



点差は僅かに狼北高校がリード。成宮高校は徐々に点差を詰め続け、ついに2点差としていた。


ここで陽斗が動く。


成宮高校の攻撃のターン。


敵がボールを持つ陽斗の邪魔をしようと近付く。しかし、その敵と陽斗の間に西島が体を入れることで、陽斗への邪魔を防いだ。


だが、そこにもう1人の敵が近づき、再び陽斗を止めに来た。


もう試合終了の時間は刻一刻と迫ってきている。



陽斗はボールを後ろに持っていき、なんと、横にいた西島の足の間へボール入れ、そこを突破したのだ。


陽斗を止めに来た敵も、味方である西島も、何が起こったのか分からず足が止まってしまう。


そして、陽斗はゴール下へといきシュートを決めた。


その瞬間、会場からどよめきと歓声が上がる。


敵も味方も観客たちもその陽斗のプレーに驚くばかりだ。



そして、この陽斗のプレーでついに両校の点差が並ぶ。


これで、どっちに勝利が転ぶか分からなくなった。



ここで、ついに残り試合時間は3分を切った────────









読んでくださり、ありがとうございます ฅ^•ω•^ฅ


バスケの描写を書く時はNBAの動画を漁りまくってるので、この時期はバスケが大好きになります笑


夏休みに入ったので、投稿頻度を上げていけれたらと思ってます!これからもよろしくお願いいたします!


ごめんなさい、また未完成のまま上げちゃいました、本当にすみませんでした。

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