表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

最強国王

作者: セキュル

 

 陛下の朝は乾布摩擦から始まる、一緒にやらされ・・・やってる近衛が死んだ目で体を擦っているのが痛々しい。


 ここは多民族国家ダイス、陛下が居て近衛が有ってそれを見ている私ですか?

 護衛ですよ国王陛下直属の、護衛として武器も防具も外せないと言う言い訳を納得してくれた陛下には感謝してる、一緒にやってる近衛は・・・理由が無いと助けられん、そんな恨みがましい目で見ないでくれ。


 乾布摩擦が終わった、やれやれどこにでも居る貧民を捕まえて『見どころがある』とか言って拾い始めて早20年、あんなガキどもが今や立派な近衛と来たもんだ、まぁ第一号が俺なわけだが。


 出会いはまだ陛下が殿下と呼ばれてた頃の話、腹空かせて路地に座ってた俺に声をかけてきたんだ、最初は人攫いだと思って警戒したが美味い串焼きを奢って貰って油断したんだろうな、攫われたよ・・・城に。


 最初は気兼ねなく打ち込めると言う理由で稽古に付き合わされた、色々な武器を使って練習しているうちに槍の訓練になった。

 俺が初めて陛下から一本取った時の表情は忘れない、とてもうれしそうに喜んでくれた、それから俺は陛下との練習以外の時間を自己鍛錬に当てた、元々自己鍛錬はやってたが時間が違う、寝てる間も槍の事を考えるようになった。


 軍の中でも槍を使わせたら敵う者はもう居なくなったが、あれ以来陛下からは一本も取れていない、鍛錬すればするほどあの時何故陛下から一本取れたのかが分からなくなっている。

 よく強さの桁が違うとかいうがそんなもんじゃない、格が違うんだと思う。



 ーーーーーーーーーー



 俺の名はエド近衛の下っ端だ、ジェイクの奴上手い事言って乾布摩擦免除になった、あの槍持ってる奴な、俺たち近衛なんて言われてるが装備も獲物もバラバラだ、陛下にこづきまわ・・・かわいが・・・師事してもらったおかげで辛うじて軽装団、重装団に分かれているが獲物は剣弓槍斧、変わり種は投組打ち、拳、投げナイフ、鉄扇で従士兼近衛なんて奴もいる。

 みんな陛下に教えてもらった、ただ俺たちの中で誰も陛下から二本目を取れたやつはいない、近衛団長やってて騎士団長にも勝ったおやっさんですら陛下に汗も欠かすこと出来ない。

 時々思うんだ、俺たち必要なのかなって・・・



 ーーーーーーーーーー



 剣聖と呼ばれ、誰にも負けたことはなかった、そうあの日までは・・・

 ダイスと言う国に立ち寄った時、ここの近衛は精鋭ぞろいと聞き一つ稽古をつけてやろうと思ったのが悪かった、城の門に入った瞬間に首元に剣を突き付けられた、常時戦場の心構えだとか油断とかじゃ無い、門をくぐるまで()()()()()()()()()遠くから弓を射られたりするなら殺気も感じることもできるだろう、その殺気すらなかったのに十数本の剣が槍が斧が目の前で寸止めされている現状、誰が理解できるだろう?誰が信用してくれるであろう?

 その後ダイス国王陛下との手合わせ・・・テア・・・テアワ・・・ガクガクブルブル


 すまない、なぜかその後の事は覚えていないんだ、ただ帰る前に頂いた言葉だけは覚えている。


「ちったぁましになったな、また来い」


 残念だがその後ダイス国方面に仕事に行く事が無くてね・・・はははははは



 ーーーーーーーーーー



 儂の名はシュゼン、破斬徒手格闘流二十一代目の当主だ、あれは忘れもしない当主になる直前の話だ

「頼もう、修行してえんだ、稽古つけてくれよ」

 まだ成人前12か3位だと思うガキが来た。

 そのガキは初日で基礎を、二日目で応用を、三日目で奥義も軽々と、そう儂が25年ずっとやってきたところまで三日でたどり着きやがったんだ・・・先代は言ったよ

『世の中には上には上がいる、だがあんなに頂上に近い物は初めて見た』

 とその後先代はそいつにもう来ない様に言い聞かせ、儂が二一代目となった・・・

 儂は破斬徒手格闘流の中では一番強いと言える、だが世の中で一番強いなんてことは決して言えない、何故なら以前そう吹いて回ったら王城に呼ばれたんだ・・・その後一ヶ月は寝込んでいたらしい。



 ーーーーーーーーーー



 俺はガキの頃から変な奴だった、武器が好きで色々な師匠に習ったりするんだが大抵三日、続いても一週間くらいで「もう来るな」と言われてしまう、ひでぇだろ?ひでぇよな?

 騎士団も相手してくれなくなって稽古相手にも事欠くようになったある日、道端に稽古相手が落ちてた、そりゃ喜んで拾って帰った。

 最初はへっぴり腰で剣も碌にふれなかったが槍を持たすとだいぶ食いついてきた、毎日一回だけ隙を作って様子を見てたら一撃入れやがった、そりゃ喜んだね、その後は気兼ねなく練習できるんだから。

 ガチで練習してたらジェイクの奴へばりやがった・・・しょうがねぇからちょいちょい面白そうな奴を城まで連れてきた、最初はギャーギャー言ってた親父もそいつらが一端になったら何も言わなくなった。

 よしお前短剣な、お前は両手剣やってろ、お前剣向いてないな、槍って感じじゃないから斧使ってみるか?

 稽古相手に困らなくなった、いやあ強いヤツと戦うとワクワクするよな?爺、なぜ目を背ける・・・

 


ーーーーーーーーーー


ダイス国、国王、その名は正確には伝わっていない、「人さらい」「才能を見極める者」「剣聖をいじめる者」「武芸百般」「后百人」「ドラゴン殺し」「魔法を打ち返してくる王」「一騎当千」「最終兵器」「攻めてきた敵国一万人を近衛二十名と共に蹴散らした王」


そして『最強国王』と呼ばれている。


今回は人の視点を入れ替えながら話を進めていこうと持ったらいつの間にやら最凶の王様が出来てしまいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ