罪悪感
月曜日、早速皆におまじないの話をした。
「なるほどねぇだから英語の辞書だったんだ。」
納得納得とばかりに頷く麻耶。
「まさか、香梨菜の母さん達が考えたとはね」
と歩美。
「時代と共におまじないも変化してきたわけか」
と愛。
3人それぞれの意見を言った後は
「やるしかないでしょ!」
と全員一致の答えだった。
「じゃあ、最後に見つけた香梨菜のおまじないが終わった後ね」
愛が言った。
そっか、そうだよね。
1つお願いしているところだから、一緒に挟むのはタブーかもね。
良かったぁもう探しちゃったって言わなくて。
そのうちに干からびちゃうよね、4葉のクローバー。
今のうちにパウチかけてしおりにでもしてみよう。
そして、私は麻耶と歩美にまだ話せないでいる。
この前決心したのに、やっぱり彼氏持ちの彼女達には言えないでいた。
愛は自分で言えるようになったらで大丈夫だよ。
と言ってくれたのだけど。
そんな中歩美が
「ニュースニュース。来週サッカー部が海南校と練習試合するってよ!」
ラッキーじゃん。神田先輩の試合うちの高校で見れるなんて!
と私に微笑む麻耶。
私は海南高校という名前に反応していた。
今野が行ってる学校だ。
すると歩美が
「あーもう、香梨菜ったらもう赤くなってるよ。」
と私をからかった。
違うんだよ!とも言えず。
「あはははっ」
と乾いた笑いしか出てこなかった。
愛だけは事情をしっているので困った子だと言わんがばかりに私の肩をポンポンと叩いた。
あれから全く会っていなかったので私は妙なドキドキが止まらなかった。
雨降らなきゃいいな。
それより湿気で髪の毛はねないように気をつけなくちゃなんて考えてしまった。
その頃からだろうか?何故か神田先輩と目が合うような気がするのは。
目が合うだけでない、笑いかけてくれているような気がするのだが。
はて?都合の良い解釈をしているだけなんだろうか?
そうして、ある日の放課後。
いつものようにバスに揺られていると、歩道に1組の男女がいた。
仲よさそうに、肘で相手の腕をつっついたり、つっつかれたり。
仲良しカップルだ。
なんて、のほほーんとみていたら、急に胸がキューンを苦しくなってしまった。
そう、そこにいたのは今野だった。
隣にいる人は誰だか解らないが、うちの高校の制服を着ていた。
1年じゃないと思う。
年上なのかな?
今野の手には彼女のだろうスポーツバックが握られて。
知らないうちに涙が溢れて止まらなかった。
あんなに仲の良い2人なのに。
誰がみても私は邪魔者だね。
それにしてもこの涙はいつ止まるんだろう。
私の降りるバス停が近づいても涙が止まることはなかった。
仕方なく、ハンカチを目にあてバスを降りた。
家に帰るとすぐにベットに倒れこみ、顔を布団に押し付けた。
見たくなかった
涙が止まらないまま私は制服姿で寝てしまった。
ふと気がつくと夜中の3時。
机の上には
「少しでいいから、食べなさい」
と書いたメモとおにぎりが2つ並んでいた。
泣きすぎたせいか、あんなにショックだったにも関わらず私は食欲があるようで結局2つとも食べてしまった。
でもちっとも元気はでなかったけど。
今更ながらに制服を脱ぎパジャマに着替えた。
顔が腫れぼったいのが解る。
あんだけ泣いたのだから当たり前って言えば当たり前なんだけど・・・
鏡を見るのがとっても怖かった。
そして、やってはいけないと思いつつ、英語の辞書を枕にしてしまう私。
自分が嫌いになりそうだった。