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友情の証?!

昨日の夜は携帯で遊び過ぎて寝るのが深夜になってしまった。

今日は日曜日。

いつもの時間に鳴った目覚ましを止め再びべっとに潜りこんだ。


「香梨菜!いつまで寝てるのー」

大きな声を出しながら母さんが部屋に入ってきた。


「良いじゃん。今日は日曜だよ。もう少し寝かせてよ。」

そういって、やっとこ慣れてきたごつごつ枕に頭を乗せる。


「あーそれ、もしかしておまじない?!」

母さんが興奮しながらベットに腰掛けた。


その声に飛び起きる。

「えー母さんの時からあるの!」


何を隠そう私の通っている光洋台高校は母さんの母校だったりする。

所謂先輩だ。


「母さんの時からって、その”おまじない”だって母さん達が考えたんだもの!」

ここ最近で一番のニュースだった。

驚いたのなんのって。


「それで、名前書いたのはこの前の愛ちゃんなの?」

母さん何だか嬉しそうだ。

でも愛ちゃんって?

私は寝起きも手伝って思考回路ショート寸前。


「なんで愛ちゃん?」

私が聞くと


「だって友達でしょ?」

と会話が微妙に繋がらない。


「ちょっと待ってて。」

母さんはそういうと、隣の部屋の屋根裏部屋へと上がっていった。


暫くして母さんの手には

光洋台高校の卒業アルバムと1冊の英語の辞書があった。


母さんがページを開くその場所には母さんの友達。

母さんを含め私も良く見知った人たちが、英語の辞書を持ってスナップ写真に納まっていた。


優さんでしょ、真理さんでしょ、それに幸子さんに母さん。

みんなたまに遊びにくる人達だ。

それにしても母さんが私と同じ制服を着てるなんて!

不思議な感じだった。


そして、英語の辞書の

friend

というページを開くとすっかり乾燥された大きめのクローバーが挟んであった。


母さんは自分達4人がいつまでも友達でいられますようにとの願いを込めて、一枚一枚に自分達のイニシャルを書き”友達”という単語のページに挟んで枕にしようと考えたらしい。

何故1ヶ月なのかといとその友達の優さんが卒業式の1週間後に引越しをしてしまう事が2月に解ったから、それでみんなずっと友達でいられるようにとおまじないを考えたそうだ。

何故英語の辞書かというと、国語の辞書だと高校卒業しても頻繁に使いそうだから4葉がなくなりそうで。と笑う母。


確かに大学さえ行かなかったらあまり辞書を引く必要もないだろうからね。

あくまでも、母さん含め、友人達の話だけれど。


私達のおまじないとは少し違うみたいだ。

好きな人のイニシャルを書いてなんて、とてもじゃないけど母さんには恥ずかしくて言えなかった。


何とかお母さんの追求をまのがれ、お腹が空いたと母さんと一緒に部屋を出た。


母さんは私にパンを渡すと”自分でやって”と電話に向かった。

そう電話の先は母さんの友人の一人、誰だかは解らなかったけど


「そうそうあのおまじないがね・・・」


なんて話す母さんは嬉しそうだった。


私がトーストを食べ終わっても母さんの電話は終わらず、テーブルに


「公園に行ってくるね」


とメモを残し自転車に乗って公園へと向かった。

私に愛に歩美に麻耶。

丁度4人組みだ。

私達もやってみよう!そう思いたってまた4葉を探しにきたのだった。


原っぱに着くとまたはいつくばって4葉を探し始める。

暫くすると


「あーパンツのねえちゃんだ!」


と元気のいい声が。

あれ程生意気なガキンちょだと思っていたのに、今野の弟だと解ると可愛く思えるのはいかがなものだろう。

げんきんな私だ。


「こんにちは」

というと


「今日はスカートじゃないんだ」

とこれまた可愛くない一言を。

こいつも学校でお調子ものなんだろうな。

なんて思っていたら


「ねえちゃんもさぁ陽人兄ちゃんの事好きだったりする?」

なんて爆弾発言をした。


「えっ、ねえちゃんもってあんたの兄さん、ちゃんと彼女がいるんでしょ?」

小学生相手に動揺しつつそう言うと


「さあ、俺は知らないよ。見たことないし、それに兄ちゃんサッカーばっかりで遊んでる暇なんてなさそうだけど。」

弟君はそう言った。


そういえば中学もサッカー部だったっけ。

それはおいといて、彼女のことは、弟が見たことなくたって、本人がいるって言ったのだから間違いないだろうけど。


「あの後さ、兄ちゃん。あんたと会ってから妙に機嫌が良くてさ。」

なんて嬉しいことを言ってくれる。


でも私は期待なんかしちゃいけないとばかりに


「じゃあ、彼女といい事でもあったのかもよ。」

自分で言って落ち込んじゃう。

別な事があるだろうに。


「ふーん」

どういう訳か弟君は私の隣に座って私の視線の先を見つめている。


「あった。あっあっちにも。」

意味深な言葉を言い出した。


「お姉ちゃん、どこみてんの?どおりで、何日もはいつくばってる訳だ。」

とけらけら笑いだした。


情けない。


「じゃあ、またねー」

と弟君が去っていった。


先ほど彼の落とした目線の先には、確かにあっちにも、その向こうのあっちにもりっぱな4葉があったりして。


どこ見てるの私ってば。

集中力のなさなのか、大雑把なのか。

どちらにしても駄目な奴じゃん。

そう思った。











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