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初恋の人?!

公園は天気が良いせいか、小学生がいっぱいいた。

私がいつも4葉を探している原っぱは、ボール遊びが出来るので近所の子供達で溢れかえっていた。

キャッチボールをしている子、サッカーをしている子達がいるのでちょっと怖かったけどそんなことを言っている場合じゃない。


早速私は地面に這いつくばった。


昨日はここら辺まで探したよなぁ。

独り言を言いながら、じーっと地面を見つめる。


子供の中で制服を着ている私は異様に目立っていたようで、30分も経つと幾人かの子供達にからかわれ始めてしまった。


「ねえちゃん、パンツ見えてんぞ〜」


え〜っ。

慌ててスカートを抑えてみる。

すると今度は


「ウソだよー、引っかかってやんの!」

といいやがった。


このーくそガキと心で思ってみるも、今は4葉、4葉と意識を集中させて無視する事にした。

すると子供達は私が相手にしなかったせいか、元の遊びへと戻って行った。


今度はスカートを気にしつつ、また地面と睨めっこ。

それからまた30分程した頃だろうか、さっきのガキんちょの声が


「ねえちゃん、危なーい!」


私は、またかい今度は騙されないんだからと思った瞬間。


”ボスっ”と私のお尻にもの凄い衝撃が……私の横にサッカーボールが転がった。


痛い、痛すぎる。小学生でもこんな威力のあるボールを蹴れるものなの?!


途端に子供達の笑い声が聞こえた。

最悪だ。

お尻をさすりながら、振り返ると、目の前に見覚えのある男が笑いを堪えながら立っていた。


「悪い、浅田。」


そう言ったのは小中の同級生、今野陽人だった。


「今野だったの今のボール蹴ったのは!それに笑いながら謝ったって嬉しくないわよ。」

勢いでそう言ったのだが、改めて見ると久し振りに会った今野は感じが変わっていた。

背も伸びてして髪型も違うせいか、少しかっこよくなった?

でもそう思ったのは私だけだったようで


「お前、ちっとも変わってねえなぁ」

と言われてしまった。


前言撤回決定。

「大きなお世話です。」

まだ痛いお尻をさすりながら、ロスした時間を取り戻す為にまた地面に視線を落とした。


すると、近くで様子を見ていた子供達がやってきた。

その中の一人が


「このねえちゃん、兄ちゃんの知り合いなの?」

と聞いてきた。

あのパンツのことを言ったやつだ。

兄弟だったんだぁ、言われてみれば少し面影があるかも。

っていうか、こんな奴だったよ今野って。

お調子もので、いっつも人の事カラかっていたっけ。


すると今野はとんでも無いことを言い始めた。


「おう、兄ちゃんの初恋の人だよ」


さらーっと、同級生だよというノリで今野は言った。


カーッと身体が熱くなった。


は・初恋って。私がですかー。


途端に子供達が騒がしくなった。

囃子たてるガキンチョども。

でも私の思考回路はついていけなくて。


実は私もいいなと思った事が無いわけではないのだけど。

ノリが良くて、話をしてても楽しくて。

でも今野も彼女がいたし、私もその頃は彼氏がいたし。

ただそれだけだった。


「初恋だったけど、今は違うぜ。俺、彼女いるし。告白じゃないから安心しろよな」

って笑いだした。


ほっとしたけど、少しショックだった?

ショックだったー?!

今だって先輩に近づけるようにって4葉を探しにきているのに、何考えてんの私ってば。


今野とはいうと、何事もなかったかのような顔をして、まだからかい続ける弟達に


「とっとと練習してろ。」

と一喝いれると、再び私の方を向いた。


「気がつかなかったろ」

今野の言葉に思わず頷いた。


「やっぱりなぁ」

と言って頭を掻きながらはにかんだ笑顔をみせた。


そんな今野にドキっとしてしまう私。

何、なんなのこのドキドキは


「悪かった、こんな事言って。でもさっきも言ったように俺今彼女いるから忘れてくれよな。初恋の人ってのは変わりないけどな。そういや、浅田何してたんだ。コンタクトでも探してるのか?それなら手伝うけど。」


そういう今野に慌てて首を振った。

まさか恋のおまじないの為に4葉を探しているなんて恥ずかしくて言えないから。


「違うの、コンタクトじゃないんだけど。大丈夫だから、ほら弟君待ってるよ。行ってあげて。」

と今野の背中を押した。


「そうか?大丈夫ならいいけど。じゃあ」

そう言って手を挙げ今野は走りだした。


私は思わず

「今野ー嬉しかったよー」

って言ってしまった。


今野は一瞬立ち止まり、前を向いたまま片手を突き上げた。


そっかぁ今野は彼女がいるんだぁ。

中学を卒業して3ヶ月。

少しかっこよくなった彼の後ろ姿を見送った。


そうそう、私は4葉を探さなきゃ。

ふと足元を見るとあんなに見つからなかった4葉が今まで今野が立っていた場所に有った。

今野のお陰かも。

大事に摘み取るとハンカチに包んでポケットにしまった。




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