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好きになってもいいの?

私も今野も無言だった。

2人とも頭の中を整理しているかのように。


そして、今野が口を開いた。

「俺が好き?」


俺が好きって。

私が聞きたい


俺にしとけ

ってどういう事?


私は訳解らなくって。

だって、彼女がいるって言ったのは他でもない今野だし、この前みた樹里先輩との2ショットは?仮にも先輩じゃないとしてもあんな風に彼女以外とも話すもんなのだろうか?他の子にもあんな風に話しかけているの?

おまけに俺にしとけって。

これを理解できる人がどれだけいるのだか。

頭の中を整理するのに精一杯で私は今野の問いに応える余裕なんてこれっぽっちもなかった。


「浅田。」


私の名を呼び再び答えを促す今野。

私は疑問の1つを投げかけてみた。


「樹里先輩は?樹里先輩が彼女なんじゃないの?」


すると今野は

「どこからそんな発想が出てくるんだ。樹里は従姉妹だよ。俺の母さん3姉妹なんだ。母方の従姉妹。」


そうだったんだぁ。

じゃあ彼女って?


「じゃあ、彼女は他にいるの?」

次の疑問を投げかける。


今野は困ったように顔を顰めた。


「駄目だったんだ。」

ぽつりと呟く今野。


駄目って何が?振られちゃったとか?

呆気に取られる私を尻目に今野はゆっくりと話だした。


「ずっと、好きだったんだ。高校が違えば忘れられるってそう思ってたんだ。勝手な話だけど俺にはその頃彼女がいて、彼女に言われるがままに付き合っていたんだけど……」

切なそうな顔をして上を向いた。

誰を想ってそんな顔をするんだろう、胸が苦しい。


「付き合っていくうちに、そいつのこと好きになるって思っていたんだけど、俺の目はいつも違う方を向いていた。時間が経てば忘れられるなんて嘘だよ。時間が経てば経つほど気になってしょうがないんだ。あいつはそんな俺に気がついて、別れたんだ。高校に入ってからは誰とも付き合っていないんだ。」

今野の顔は上を向いたままでその表情はみれなかった。

だけど次の瞬間私の顔を見て


「この前偶然会ったんだ、一目で解ったよ例え後姿だろうが迷いもなくな。だから駄目だったんだよ忘れるなんて。」


そこまで聞いても核心に迫れない。

誰に会ったの?元カノ?それとも……


「浅田だよ。お前に会ったんだ。」


私は

「だって、あの時彼女がいるって、忘れてくれって言ったじゃない。」

と叫んでしまった。


「あの時、俺、思わずお前が好きだって言いそうになって。慌てて初恋だなんて言っちゃたんだ。さっきも言ったように知ってたんだ、お前の高校に恋のおまじない。直ぐにピンときたよお前が4葉のクローバー探してるって事。それって好きな奴がいるってことだろ?言えるかよそんな奴に。だから、自分自身にブレーキをかけたんだ。そうでないと言ってしまいそうだったから。それに辺に気を回されて次に会った時に避けられでもしたら立ち直れないと思って。」

自分勝手だよな最後にぽつりとそう呟いた。


私、好きになってもいいの?

今野を好きでいいの?


心の中で思ったことが口に出ていたらしい。


次の瞬間凄い力で引き寄せられた。

すっぽり埋まってしまう私の身体。


好きでいてくれ


今野は私の頭に顔を近づけ振るえる声でそう言った。

私の背中に回る今野の腕。

私の顔はぴったりと今野の胸におさまって、今野の心臓の音がはっきり聞こえる。

歩いたせいなのか、それとも私と同じ理由だろうかその音は私といい勝負。

思わずおろしていた手を今野の背中に回してしまった。

全身が一気に熱くなったのが解る、きっと顔は真っ赤だ。


その時急に場違いなメロディが、今野の携帯だ。

咄嗟に今野の背中から手を引いた。

今野は無視をしようとしていたのだろうけど一向に鳴り止まず、

今野は”ちっ”と舌打ちすると私の背中から手を外し携帯を耳に当てる。


「後で掛ける。」

そう一言だけいうと電源を落としてポケットにしまった。


照れくさくて顔を見れなかった。

そして、はっと気がつく。

夢中で話をしていたから気にもしなかったけど、ここは道路の真ん中で。

家への距離わずか50メートル。


慌てて辺りを見渡して知ってる人がいないか確認する。

今は…大丈夫だね。

恥ずかしさがピークに達して慌てて会話をしようと


「携帯大丈夫だったの?」

と聞くと


「弘樹だったから。」

という今野。


「弘樹って、神田先輩?」

知り合いなんだね。それも携帯の番号を知っている。


「従兄弟なんだ、母方の。弘樹に樹里に俺。兄弟みたいに育ったから。」

そういって微笑む今野。


そっか、そうだったんだ。

みんな親戚だったんだ。

だからあんな風に自然な感じだったんだ。

一人納得してみる。


もう少し、もう少しだけ話がしたい。

今野のジャージを引っ張って、近くの公園へ行かない?と誘った。

それだけでも凄い勇気だった。












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