大魔王の悩み
愛って何でしょうか。
愛の対象も色々ありますが、昔から男女の愛については、
随分沢山語られていますよね。
少林寺拳法に 「愛なき力は、暴力なり。力なき愛は無力なり」と
力愛宇不二の教えがあります。
今回、僕なりの愛について考えてみました。
時は戦国時代、織田信長を超える大魔王と呼ばれる戦国武将が
全国制覇に向けて着々と魔の手を伸ばしていた。
名門の出ではない、まさに下剋上。
彼の名は、虎王院牙王。
その風貌は、戦国武将にふさわしく傲慢かつ精悍であった。
順風満帆であったが、彼にも悩みがあった。
目に入れても痛くないほど可愛い愛娘の美鈴姫が
恋をしている。食事も喉を通らないほどである。
その相手は家来の一人にすぎない関口柔磨であった。
水もしたたる色男にもかかわらず、戦場において獅子奮迅の
活躍をし、敵の大将首を幾つも獲っている強者である。
本人は驕ることなく謙虚な性格の上、一緒に暮らす母親を
大切にする孝行息子なので、家中において老若男女を問わず
人気が高い。
それが、牙王には全然面白くない。人気者は、自分だけで良い。
ましてや、美鈴姫の心を獲るなどとは断固として許せない。
牙王も所詮、人の子、人の親である。
何とかして、柔磨の人気を地に堕とさなければならない。
秘かに手を回し、闇に葬ることなどたやすいが、世間は
同情するだろうし、美鈴姫がいつまでも恋い焦がれる危険性も
ある。
大魔王はある残虐な計画を思いつく。