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普通の公立高校をラノベのような高校に変えてみる  作者: 北神 柳椰
ラノベの出会いはいつも突然じゃないか!
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ラノベの出会いはいつも突然じゃないか! (4)

 中崎西高校には生徒会室というものがない。そのため、生徒会室の活動場所は日によってバラバラだ。

 しかしそれは南森達にとってみれば都合のいいことなのかもしれない。活動場所が決まっていないということはどの教室を使用してもいいということだからだ。つまり自分の使いたい場所がどこの部活も使用していなければ簡単にその部屋を借りることが出来る。

 今日は長柄の頼みで第一家庭科室を借りることになった。

 第一というのなら第二もあるだろうと思う人がいる。その通りだ。第二家庭科室は主に裁縫機械が多く、そのような作業をするときに使う。

 第一家庭科室にはそれぞれのテーブルに流し台とガスコンロがついている。更に壁際には電子レンジが8つほど。第一家庭科室は主に調理実習とかで使用する部屋だ。

「へぇ、昨日そんなことあったんだね」

 取りあえず昨日の運命的出会いについて南森は長柄に話す。

「あぁ、思いっきり蹴られたけど」

「当たり前でしょ。むしろ警察に通報されなかっただけで感謝するべき」

「だよな。冷静に考えてみれば警察に捕まるようなことをしていたからな」

「冷静に考えなくてもしているわよ」

 電子レンジがチンとなる。長柄は電子レンジの扉を開ける。すると、鼻に突き刺さる甘い香りが一気に部屋中に広まる。電子レンジから取り出した鉄板の上にはクッキーが置かれていた。

 その匂いを嗅いだだけで南森の腹の虫が騒がしくなる。

「それにしてもうまそうだな」

 ヒョイとクッキーを手に取る。まだ出来立てで素手で触るには熱い。それを口の中に運んだ。

「ちょっと!! 何勝手に食べているの?」

 鉄板を机の上に置く。

「いや、俺の為につくったのだろ?」

「違うわよ! 仮にそうだとしても否定するけど」

「ま、美味しかったぞ」

「そう、良かった……じゃなくて……勝手に食べないでよ!」

 長柄は肩を震わして動揺する。

「いい。南森君の食べるクッキーはまずわさびクッキーからって決めっているのだから」

「なんだ? その殺人的クッキー?」

 長柄は一番端のクッキーを掴む。そしてそれを南森の唇につける。

「名前の通り。悪意と憎悪しかないクッキーよ。大丈夫。使用しているのは最高級の真妻わさびだから」

「いらないところで変な配慮を」

「……というのは嘘でそこら辺のスーパーで買った安物だから」

「唯一の優しさが嘘だった!!」

「いや、大丈夫。このクッキーはワサビとショウガも混ぜたわ。優しさ? そんなものはいらない」

「いやいや、料理で一番大切な部分だよ!?」

「うるさい! 覚悟を決めろ!」

 そしてワサビクッキーは南森の口の中に吸い込まれていった。

 南森の視界が滲み出す。口は半開き。閉じることもできない。

「あぁぁぁぁ!! 何!? この殺人的クッキー?」

「私のクッキーを美味しいといった罰よ」

 長柄はもう一枚クッキーを掴みそれをまた南森の唇につける。

「今度はこれを食べて美味しいといいなさい」

 まるで動物のように掴まれたクッキー噛みつく。

「うめぇぇ! こっちは天使だ」

 それでもまだワサビクッキーが利いているのか南森の目は赤く涙がボロボロと落ちる。

 これを見て、愉快そうに長柄は笑みを作った。

「よしよし、それでいいのよ」

「でも水が欲しい!」

「ワサビジュースを作ったけど? いる?」

「鬼かよ!?」

「流石に冗談」

 鞄から紙コップと水筒を取り出す。そして水筒から緑色の液体が出てくる。

「本当にワサビジュースじゃないよな?」

「失礼ね……抹茶よ。これは」

 そして机の上に置かれた抹茶をゴクリと喉をならし、一気に飲み干した。


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