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普通の公立高校をラノベのような高校に変えてみる  作者: 北神 柳椰
このイベントは私が頑張ります
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このイベントは私が頑張ります(8)

「それでどうしていきなり許可を取る場所が文芸部なの?」

 今回協力してもらうのは運動部のみとなっている。文化部は運動神経が悪い人が多いだろうという配慮だった。しかし、最初に協力をもらおうとした部活は文芸部。どうみても文化部だ。

「いや、何故か登録では運動部になっているんだよ」

「確かにそうだったね。これは中崎西高校七不思議のひとつだし」

 南森の手に配られているのは部活動活動場所報告書だ。これには各部活が主に何時までどこで活動をしているのかが書かれている。

 さらにそれは表裏印刷となっており、表には運動部、裏には文化部が書かれている。

 この文芸部は表の方に書かれていた。

「小説書いたりして怪我したりするの?」

「まさか。どっかの麻雀部じゃあるまいし」

 そう、一巡咲……じゃなくて一巡先をみたりするあれとは違うし。

「でもやっぱり運動部に登録されているっていうことは何かが……」

「確かに僕もずっと前から不思議に思っていたんだよな。この学校で文芸部というものをみたことなかったし」

 南森の感情としては恐怖と興味が入り混じった奇妙なものになっていた。

 そして二人は文芸部の部室前に到着する。そこでなんやら叫び声が聞こえる。

「これって……剣道部的あれ?」

「まさか。小説でいいネタが思い浮かんでサイ○リアやジョ○フル、ガ○トで叫んでしまう現象じゃね?」

 大抵の人はそんな症状が現れない。現れないはず。もし現れたらそれは心療内科へ。

 大淀は一人でここにこなくてよかったと感じる。南森は心臓を激しく揺らしながら文芸部の部室をノックする。できれば生きて帰れますようにと。

 そして中に入った。そこにはまずリングがあった。そうボクシングとかで試合をするあれ。その横にはサンドバッグがある。そうボクシングとかでよく練習しているシーンにあるあれ。さらには汗をかいている少年がいた。それを吹くマッチョな男もいた。そうボクシング映画でよく見るあれ。

 そう、まるで文芸部部室がボクシング部のようになっていた。

「これは……一体どういうこと?」

 思わず声をあげてしまう。文芸部部室が意味分からない状態になっていた。

「もしかしてボクシング部に占領されたのか」

 そうなるとゆゆしき問題だ。これに似た題名のアニメの二期をはよと願いつつこれは重体な問題だ。部活の乗っ取りは校則で厳しく禁止されている。下手すれば先生に相談をしなければならない。

「あっ、生徒会長」

「これは一体どういう事? ボクシング部と」

「違いますよ。そもそもこの学校にそんな部活なかったじゃないですか」

 そう言われるとそうだなと納得するしかない。

「だけどこれだとまるでボクシングみたい」

「ボクシングみたいじゃなくてボクシングそのものなのですよ。だって言葉って人を殴れるじゃないですか」

 この言葉に南森と大淀は目を点にした。どうやらなんか哲学的なものが始まろうとしてたのだ。

「言葉は人を傷つけ時には癒す。そして言葉は時にスポーツにだってなる」

「……ごめん。何をいっているか分からない」

「つまりだ!! 文芸部はボクシング部とほぼ一緒」

「何がつまりなのか……」

 これには南森もどのように反応すればいいのか分からない。

「それで……運動部ならお願いがあるんだけど」

「予算の徴収か!? いや、ここは運動部とはいえ」

 何故か文芸部部員は顔を青ざめる。

「……そういえば文芸部って運動部系のなかでは極端に部費が少なかったね」

「えっ、そうなのか?」

「うん。だって……文芸部って別に何も部費を使うところないじゃん。私たちの学校では参考文献は自費でだし、文芸部に対して合宿は認めていないし」

「あぁ、なるほど」

 この学校の文芸部の部誌はいたって簡単なものだ。ただ紙にほっきす止めをしただけのもの。流石にかわいそうに思えてくる簡素なもの。しかしそれはしょうがない。だって中崎西高校にはお金がないもの。

「だから……俺達からお金を奪わないでくれ」

 さっきまでの元気がどこに言ったのか、文芸部の顔は青ざめていく。

「……大丈夫だよ。生徒会にはそのような権限がないし」

 だとしても、これは少し考えないといけない。恐らく何もできないだろう。だけど……形だけだとしても生徒のトップに立っているのだから。

「文芸部の予算についてはまた別の時に考えるとして」

「それだと今回は一体何のようで……」

「えっと……今回の球技大会で」

 取りあえず今回の行うイベントについて話す。それに対して文芸部はふむふむと頷く。

「なるほど……話は分かった」

「あっ、でも文芸部だからね……。もしかしたら運動神経が悪いかもしれないし別に」

 今回文化部の部長が対象外になっているのはそのような理由だ。楽しむだけなのに、運動神経の悪い人に的になってくれというのは流石に酷があるすぎるということだった。

「おぬしたちは俺達を舐めているな」

 と、文芸部は制服を投げ捨てた。そしてその下に来ていたカッターシャツをポイと。その瞬間、文芸部とは思えない鼻に刺激する汗臭さが教室中に広まる。

 これには大淀も思わず目を背けてしまう。

 そしてその文芸部員から現れた体は、割れた腹筋、ラクダコブの腕、オレンジ色に日焼けしたボディーだった。

「実は俺、地元のボディービル大会に優勝したことあるんだぞ!!」

 自慢げにラクダコブの腕を三度ほど叩く。

「へぇ……」

「だから仮にボールが当たったとしてもこの体にびくともしない!!」

「あっ、いや、そこは避けて。ドッジボールだから」

「だから安心しろ!! 俺達は運動神経が悪いということはない」

「……つまりこの依頼に」

「あぁ、受けてやろう」

 そしてまず一人。文芸部の説得が終わった。本当に何部だよ。ここ。という突っ込みはこれ以上しないことに南森はした。

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