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普通の公立高校をラノベのような高校に変えてみる  作者: 北神 柳椰
このイベントは私が頑張ります
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このイベントは私が頑張ります(7)

「おい、変態部」

「野球部だ!! 変態なのは俺だけで!! いや、違う。俺は変態じゃねぇ!!」

 その日の昼休み、例の野球部員を訪問した。

「もう一々野球部員っていうのが面倒だからこれから変態と表記させてもらうわ」

「ちょっと待った!! それはおかしい。俺はまだ変態的ことをしていないだろ」

「それなら今この場でしろ!」

「いやいや、それも可笑しいからね!? 分かっている!?」

「それじゃ……簡単な質問するぞ。長柄とか大淀は可愛いか?」

「勿論」

「その二人の胸に触りたいか?」

「当たり前!」

「よし、変態だな」

「ちょっと待った!! それはおかしい!」

 こうしてこれから野球部……は変態ということが決定した。決して野球部が変態というわけではない。だが、この部員が変態なだけだ。

「それで変態に相談があるんだけど」

「その前に変態という敬称をなんとかしてくれ!」

「これ以上変態がどうかの議論をすると話が前に進まないから無理矢理いかせてもらうけど」

「せめて俺の意見を!!」

 本当にこのままだと話が前に進まない。だから一部カットしよう。

 このカットの間には変態、変態じゃねぇという議論があった。しかも昼間の廊下で。明らか周囲からは耳目が集まり不審な目で見られていた。

「それで変態」

「なんだ!!」

 しばらくして変態は自分が変態であることを認めるようになる。

「少し相談があるんだけど」

「あぁ、どうせお前のことだからくだらないものだろうな」

 と言いつつも変態は南森の話をしっかりと耳を傾ける。そして生真面目な表情をした。

「なるほどな。つまりドッジボール大会を盛り上げたいと」

「そう。それでもし良かったら協力を」

「それでわざわざ俺に聞いてきたわけか。変態という敬称をつけてまでも」

 こめかみから青筋が浮かび上がる。どうやらまだ変態と呼ばれたことに対しての怒りはキチンと存在しているようだ。

「別にそんなもの無理矢理誘ってくれればいいだろ。この学校を盛り上げるためにならなんだって協力するし」

「それならこの学校に予算をめぐんでくれ」

「あっ、ゴメン。そこら辺は無理」

 ゴホンと咳払いをする。

「とにかく、お前のことを俺は信じているのだから。だって誰よりも一番に会長に投票したのはこの俺だぜ」

「変態……」

 これには思わず南森の目がうるんでしまう。そう、これは感動的話なのだ。

「すまんがホモはNGだ」

 いや、違う。変態に感動な話を作ることは不可能だ。だって変態だもの。それにこのままホモ展開になったらまたR15指定にしないといけなくなる。また遠い世界の誰かが一切の得をしない。

「俺はホモじゃねぇ! 女好きの変態だ!」

 うん。それなら安心できる。いや、安心はできないけど。

 ともあれ、野球部の説得は終了した。しかし南森の頭にはまだ違う靄がかかる。それはそこまで深刻なものではない。

(そもそも……僕たちの学校で生徒会選挙あったっけ)

 一番に投票したと言っていた。しかし南森は生徒会選挙があったことを記憶にない。それもそうだ。南森の代で生徒会選挙に立候補したのは南森しかいなかったのだから。投票といっても信任するかどうかだけ。さらに南森は立候補者の本人だから当然投票も何もしていない。だから記憶に残らないのも当たり前なのだ。


「というわけでバドミントン部や野球部からは何とか許可を貰えた」

 そしてその放課後、南森は長柄、大淀、堂山にそのことを告げる。

「なるほどね。南森君が言っていた足りないものって協力だったのね」

「あぁ。やっぱりみんなで楽しむにはみんなの協力が必要だからな」

「oui,私も協力するのデース」

「学校の為なら私も。け、決してアンタのためじゃ」

「定番のツンデレセリフをありがとう」

 きっちりと頬を赤く染めている。どうやらラノベヒロイン検定に合格しているようだ。

「それで……私達は何をすればいいわけかしら?」

 本を開きながら長柄が聞いてくる。

「あぁ。そうだな。各部活に許可をとってきてもらいたいんだ」

「なるほどね。営業ということデースね?」

「あぁ。出来るかな」

「余裕デース」

「私も出来る範囲でなら」

 二人はあっさりと承諾した。

 しかしこの中で大淀だけは違う。ドクンと大きな心臓の音を鳴らしていた。

(あれ? このパターンは私も)

 大淀は誰よりも人見知りだ。初対面の人に何かを依頼するということはできない。どうしても自分が悪いように思われたくないとか様々な感情が飛び交うのだ。

(でも……私だって生徒会の一員だし……なんとか協力はしないといけない)

 だけどそれは無理だっていうことを大淀は知っている。人前で声を出すのがやっとだろう。そこから依頼だなんて。

 と、大淀の前に一つの手が差しのばされる。その体温を知るには触る必要がなかった。

「大淀は僕と一緒に行こうか」

 南森の優しい顔を見るだけで充分だった。それだけでこの手は温かいということを知ることができた。

「わたし……一人で」

 だけど大淀はその手を振り払おうとしている。本当に最低だと自分でもしっかり理解はしていた。

「確かにみんなに協力して欲しいと思っているよ。だけどね……」

 優しい声。自然に大淀の隙間に入って来る。

「僕はみんなに無理をしてほしいとまでは考えていないんだ。だって『協力』に『無理』をしてしまったらそれは強制じゃないか」

「でも私には執行部になるという使命が」

「そんなもの今じゃなくてもいい。ゆっくりとなっていけばいい。だから今は僕と一緒に」

(誰がこの変態の手なんかを……)

 誰が、誰が……

 しかし目の前にある手はとても暖かいだろう。優しいだろう。そして気持ちいいだろう。触れてみたい。そんな感情が湧いてくる。

「僕の手をとって前に進めばいいさ」

 そして、大淀はその手をとった。

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