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普通の公立高校をラノベのような高校に変えてみる  作者: 北神 柳椰
このイベントは私が頑張ります
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このイベントは私が頑張ります(1)

「それで……予算を」

「無理」

「たまには違う答えを聞いてみたいんだけど」

「そう思うのなら自分が市長にでもなんいでもなるんだな」

 相変わらず中津と南森の会話は変わることがなかった。

 予算に関して、南森が話すとその答えは既に用意されていたかのように断る。

「でも、もしかしたら先生のへそくりがあったりしませんか?」

「あったとして、なんで俺がお前たちのために金を使わないとならない」

「いや、だって先生でしょ? 先生が生徒のためにお金を使うのが当たり前でしょ?」

「そんなの金を稼ぐために決まっているでしょ。それなのにどうしてまた金を払わないとならない。ましてや俺は子供が嫌いだ」

「いや、金を稼ぐためなら他にも色々な仕事があるんじゃないですか? それなのにどうして教師を選んだのですか?」

 まったく、ツンデレなんだから。と南森は茶化すように言ってみる。

「俺は社会が好きだ。だからそれを教える仕事につきたいと考えた。もし大学教授になれるのなら客職教員にでもなんでもなってやるよ。これでいいか? 文句ないか」

「いや……でもさ」

「とにかく予算に関してもう俺の元に来るな。来たら殺す」

 本当に教師かよと思うぐらい教え子に対してキツイ言葉とキツイ視線を送る。

「それと生徒会の仕事について尋ねても殺す」

「いや、あなたは生徒会顧問ですよ」

「高校生だからそれぐらい一人でやれ」

 そしてまたいつものように教室の外に追い出される南森。

「まったくツンデレなんだから」

 それでも南森は信じている。実は彼はお金をたくさん持っていることを。この物語の終盤には万策尽きたところで救いの手を差し伸べてくれることを。なお、そのようなことは絶対にない。あったらこの物語の終盤ではなく、この世界の終盤だろう。


「というわけで次のイベントの予算もほとんど出ません」

「別に。予想してから何も問題ないわよ」

 と本に目をやる長柄。

「でも流石に厳しいデース」

 帳簿を見つめる堂山。因みにこの生徒会の会計担当になった。その理由は堂山が簿記2級をもっていたから。さらにキャッシュフロー計算書を作成できるからである。もう1級を受けても問題ないレベルである。勿論生徒会にキャッシュフロー計算書を作る必要性などない。それところが貸借対照表などもいらないだろう。生徒会に来る予算は雀の涙程度だから。それなら100円ショップにでもいってお子様小遣い帳を買って記録をつけるだけでいい。正直簿記の資格を持っていようが関係ない。

「確かに次のイベントには金が必要ないとはいえ……盛り上げるためにはもう少し欲しいデース」

「……そうですよね。流石に球技大会とはいえ。一応ボールとかの資材費も必要だし」

 次のイベントというのは球技大会だ。

 この学校の球技大会には春大会、冬大会というものがある。それぞれ絶対に違う競技をやることが規定に決まっている。そして最近の中崎西高校の流れでは春にドッジボール、冬にサッカーをやるのが定番となっている。

「今年も恐らく種目はドッジボールになりそうだからそこまで金はかからないとおもうけどね」

 さらにその競技内容を決めるのは生徒会ではない。完全なる民主主義の中崎西高校は各教室で投票。そして委員長が互いに話あって決める。しかし大抵どこの教室もドッジボールというのだ。

「それぐらいしか競技種目ないし」

「そうね。あと夏にドッジボールを開催するのは梅雨が関係していると思うわ」

 この球技大会は雨天中止。延長などない。もし中止になったら自習などの臨時授業をいれられてしまう。受験生なら球技大会より臨時授業を好む人が多い。しかしそれ以外の在校生ならやはり臨時授業などやりたくないだろう。

「でもやっぱり毎年ドッジボールだと倦怠感に襲われない?」

 南森はみんなに聞いてみる。

「例えばフランスの学校では球技大会で何をするの?」

 突然指名されてあたふたする堂山。

「えっ、えっと……フランスでは……sas○ke大会をします」

「球技大会で!?」

「yes……じゃなくてoui。Sasu○eは球技です。人生デース」

 勿論だけど実際そんなことない。

「大学だと球技大会という名の飲み会だわ……」

 まるで長柄の口調は大学を知っているかのようだ。

「この学校でも多分そうなるけどね」

 それに対して苦笑いを浮かべる南森。

 因みにこの学校では打ち上げというのは禁止されている。だから本来なら球技大会後に打ち上げなどは出来ないはずだ。

 しかし生徒の間では『偶然に出会って偶然に一緒の場所で食事しただけ』とか『これは飲み会ではなく仲のいい友達と遊んでいるだけ』とかという言い訳を使っている。生徒たちの打ち上げ場所が居酒屋ではなく、一般の焼肉屋などだから教師も発見してもその言い訳を信じるしかないのだ。

「今年はドッジボール以外の競技をやりたいよな……」

 ぽつりと1人言のようにつぶやく南森。

「それなら淀屋先輩とかに参考として何がいいか聞いてみたら?」

「アイツはバドミントンの部長だぜ? そんなのバドミントンがいいと言うに決まっているじゃん」

 なるほどと大淀は顎に手を当てる。

「私はアメフトやりたいデース」

「ジュリーはまるでアメリカ人みたいなことを言うな。それとそれだと数多くの人が怪我をしそうだけど大丈夫か?」

「フランスでもアメフトは大人気デース……?」

 なんやら自身のなさそうな声で堂山は言う。そもそも彼女はフランスがどこの位置にあるかも分かっていない。そのような人が何かフランスの知識があると言えばNOである。

「アメフトが無理ならタッチフットというものがあるじゃない」

 長柄が提案したタッチフットというのは、タッチしたらタックルされたと同じ扱いになるものだ。

「それだと女子に触り放題になるじゃん!!」

 興奮した口調で言う。

「南森君はバカなの? 勿論男子女子別々で球技大会やるわよ」

「それなら水泳も大丈夫なのか」

「それならって何よ。もしかしてのぞくつもり? ってか球技大会なのに水泳って何を考えているわけ?」

「いや、盛り上がるかなと」

「南森君のその一言は軽蔑に値するわ」

 南森自身も数秒して自分は何を言っているのだろうという気持ちになる。もし自分がラノベ作家ならこういうイベントは確実に水泳大会にすると決めていた気持ちが思わず外にでていたのだ。

「長柄は何かやりたいスポーツないのかよ?」

「ないわよ。私はスポーツを見る方が好きだし」

「そっか。それなら大淀は」

 と聞いた途端、彼女は首を横に振る。どうやら何もないらしい。

「どうやら今年もドッジボールに決まりそうだな」

 そこで南森はある問題を抱えていた。それは毎回恒例、どのようにして球技大会を盛り上げるかというものだ。

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