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普通の公立高校をラノベのような高校に変えてみる  作者: 北神 柳椰
現実世界に幽霊はいるのかな
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現実世界に幽霊はいるのかな?(5)

「私が……幽霊?」

「そう」

「面白いわね。流石副会長様、ユーモアセンスがあるわ」

「そうかしら」

 えへへと頭の後ろを自分で撫でる。

「いや、どうしてそんな嬉しそうにしているの?」

「そうね。そんなことを言っている場合じゃないわ。あなたはキャラを忘れているわ」

「キャラなんて……いつから分かったの?」

「さっき」

「随分最近ね」

「あなたはまずフランスの血は一切流れていない」

「そうよ。私はフランスのハーフなんかじゃない。東京都町田市と東京都武蔵村山市のハーフよ」

「それは……ハーフなのかしら」

 しかもどちらも東京(?)と言われる場所。関西に住んでいる人にとては町田は神奈川、武蔵村山は埼玉のイメージが強い。と言ったら怒られるのか。

「とにかく私はちゃんとした日本人。こんなに日本語ペラペラよ」

「いや、ずっと前からペラペラだったような」

 むしろフランス語の方が話せていなかった。

「それで……あなたの目的は何? 自分を偽ってまで嘘をついて」

「その前に私の招待を知りたい?」

「えぇ、知れるものならぜひ」

「そう。それなら喜んで素顔をさらすよ」

 そして髪の毛を触れる。金色の髪はそのままズルっと落ちていき、黒い髪が露わになっていく。

「カツラ……」

「そうよ。このカツラはかなり高かったのよ。中津先生だっけ? あの人のカツラと同じくらいに」

「えっ?」

 今の一瞬で、ジュリーの正体よりも中津のカツラについての方が気になってしまった長柄である。

「えっと中津先生がカツラだったの!?」

「私の正体についてなにか言って欲しいな!!」

 そう言われてもやはり中津のカツラの方が気になる長柄。渋々、構ってほしそうにしているジュリーにも質問するが。

「それで何故こんなことをしたの? 堂山さん。あと中津先生のカツラって本当なの?」

「一々中津先生のカツラについて話すのはやめよっか」

 そう中津はカツラで……じゃなくて目の前にいる少女は堂山だ。堂山巴。長柄と同じクラスである。

「堂山さんはクラスのキャラと大分違うけど」

「そもそも私の声を聞いたことないでしょ」

「そうね」

 堂山は長柄のクラスでも特に浮いている方だ。休み時間はいつも本を読んでおり、同じクラスの人でさえも声を聞くのは稀と言われている。

 またいつも単独で行動しており、友達はいないのかともよく言われている。

「私はあなたから見たら寂しそうなボッチと思っているでしょ?」

「そうね。見下しているわけではないけどそう見えてしまうわ」

「別にいいわよ。私だって一年前まではあなたのことをそう思っていたもの」

「あれ? 私とあんたって一年前も同じクラスだったのかしら」

「同じクラスだったよ。ま、互いに印象に残らないレベルだったけど。だけど……あなたは変わった。そう生徒会に入ってから」

「変わっていないわよ。今でもクラスでは一人だし」

「変わったよ。特に表情が柔らかくなった」

 長柄は自分の頬を触って確認してみる。

「そうかしら……」

「そうよ」

 それを証明するかのように長柄の頬を触り、そして伸ばしてみる。

「だからもしかしたら私も生徒会に入れば何かが変わる。そう思ったわけ」

「そう。でもどうして変装を?」

「だって、そうじゃないと入りにくいでしょ?」

「南森君なら別に変装しなくても簡単に仲間にしてくれると思うけど……」

「知っているわ。だからこそ嫌なのよ」

 頬を紅色に染める。

「とにかく私は外国人を演じる」

「演じ切れていないけどね」

「……それであなたは私の秘密をバラすの?」

「いや、別にその必要ないし。あなたは私たちの仲間だし」

「そう。それならこのまま外国人役で行くわよ」

「ただ、流石にフランス人はやめた方がいい。アメリカとかにした方が……」

「だって、それだとありきたりだし……」

「それと中津先生のカツラの話を……」

「それは……もういいでしょ」


「また二人きり……」

 その頃、残された南森と会話が中々できない気まずい状態になっていた。

「まぁ、人数が少ないし……こういうことも何度かあるだろ」

「……これなら私もトイレに着いて行けばよかった……」

「それだと僕一人になるから……」

 結局、二人もトイレの方に向かうことになった。

「それで。私はあなたに聞きたいことがあったの」

「ん? 何を?」

「多分難しいことかもしれない。だけど一応聞くけどあなたはこの学校をどうしたいの?」

「どうしたいって……そりゃ。ラノベとか小説のような高校を」

「それは知っている。だけどラノベにも小説にも色々な学校があるでしょ。例えばミステリー物とか、恋愛物とか異能世界物とか」

「学園物かな?」

「その学園物にも色々あるでしょ? ラブコメとか」

「別に僕はそこまで考えていないさ。ただ、人が死ぬのは嫌だな」

「人が死ぬラノベなんて星の数ほどあるでしょ」

「いや、そうなんだけどさ……例えばイジメで自殺したりとかそういったものは嫌だなと思う」

「それでも泣けるものとかもきちんとあるし」

「泣けるとか泣けないとかの問題じゃないんだよ。僕はみんなで笑えるような学校がいい。そう思っているの」

 空の方に指を指してみる。そこには沢山の星が出ていた。

 意外と学校周辺は光源が少ないので都市部よりも星が見える。

「ほら、星だって近くで見れば色々な形があると思うんだよ。だけど遠くからみたらみんな平等。同じように輝いているさ」

 そこでキラリと一つの星が輝く。

「そして僕達も輝いているんだよ。あの星のように」

「そうかしら、一部の人は学校生活になじめていないんじゃないの?」

「その人達だってきっと輝けるさ。だってみんな同じ星だもの。僕はその手助けをしたい」

「どうして……あなたはそこまで人を思うの?」

「だって、僕は学校について全てを知っているもの。陰も陽も」

 そして微笑み大淀の方を見つめる。

「大淀は学校生活が楽しいのかい?」

「ま、人並みには」

「それは良かった。だけど覚悟しておけよ。僕がもっと君を楽しくさせるから」

「何それ? プロポーズ?」

 と後ろから二人の名前を呼ぶ声が聞こえる。

 長柄とジュリー……改め堂山がトイレから出てきたのだ。堂山はさっきと同じようにカツラを被っている。

「ミス大淀たちは二人でラブコメをしていたのデース?」

「ミスはフランス語じゃないから」

「……やっぱりフランス人を演じるのは無理があるのではないかしら……」

 ボソッと小声でつぶやく。

 この四人を包み込む夜空は確実に動いていく。そして太陽が昇ろうとしている。

 それでもこの時ばかりは南森達にゆっくりで長く優しい時間が流れていた。

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