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普通の公立高校をラノベのような高校に変えてみる  作者: 北神 柳椰
現実世界に幽霊はいるのかな
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現実世界に幽霊はいるのかな?(3)

 データ主義の長柄にとってみればデータのないことが一番厄介だ。そして一番イライラすることだ。

 次の日の昼休み。長柄は図書室に籠っていた。とあるデータが見つからない限りずっと籠ってもいい。そう覚悟も決めている。

 長柄の目の前の机には沢山の分厚い本が置かれていた。その本の背びれには貸出厳禁、持ち運び厳禁の文字だ。それも当たり前だろう。この本はこの学校にとっては非常に重要なものなのだから。

 その分厚い本は『中崎西高校記録帳』と呼ばれているものだ。

 その名前の通り、この学校に関することが全て記述されている。つまりこの学校の生徒だって全員分乗っているのだ。と言っても個人情報のようなものは一切乗っていないのだが。

 長柄はそのページを何度も何度も確認していた。1年生のページ。2年生のページ。3年生のページ。そして1年生のページに戻る。

 約600人近くいるこの学校の生徒を全員確認するのに時間はかかる。それにかなりの作業量になるだろう。

「だぁ!! ない」

 思わずその作業に長柄は悲鳴をあげてしまう。そしてその本を棚に戻し図書室を後にした。

 しかしこれはあるデータを掴むのに決して諦めたのではない。また新たな方法が思いついたのだ。

 そもそも長柄は見た目が冷めているから南森からは飽き性のように思われている。しかし実際はそのようなことはない。むしろその反対。『この川にカジキマグロがいる』と言えば、それが嘘かどうかなど関係なしにカジキマグロが釣れるまでひたすら釣りをする。

 もしこれで釣れなかったら針を変えたり色々する。長柄はそのような人間だ。

 そして長柄が向かったのは第一地理準備室だ。

 彼女にとってここはあまり入りたくない場所。どうして南森はあんなにスイスイ入っていけるのかいつも疑問に思っていた。

 長柄は深呼吸をして扉に手を開ける。もう頭の中にシュミレーションはできていた。どんなに長くとも10分以上はこの中に入らないつもりだ。

 そして扉を開ける。そこにはいつも通り中津先生がいた。ホッと安心するべきなのか、落胆するべきなのか曖昧な気持ちになる。

「中津先生。今日もここにいたのですか」

「先生がどこにいたっていいだろ。むしろ俺はみんなから尊敬される場所にいるぐらいだぞ」

「第一準備室にいることが尊敬されるのですか?」

「当たり前じゃないか。だってここにはクーラーがないんだぞ」

 あぁ、なるほどと納得しかけたと同時にあんたが勝手にここにいるだけだろという突っ込みも生まれてくる。しかしそれは口に出さない。なるべく早く帰りたいから。

「ま、良かったよ。これが南森じゃなくて。南森なら予算をあげろとかうるさいからな。あいつが来たら俺が災難にあってしまう」

 私にとっては既にお前と出会ったことが災難だよ。という突っ込みは置いておく。早くここから出たいから。

「それで一体何の用だ?」

「はい。少し生徒の個人情報が知りたくて。何かそういったデータありますか?」

 と言ったら迷いもなく先生は黒い出席簿を渡す。依頼した長柄も流石にこれは困惑。こんなにアッサリと渡されるものだと思わなかった。

「その中に個人情報とか入っているからくれぐれもなくすなよ」

 警告はそれだけ。いや、もっと他にもあるだろ。という突っ込みはいれない。だって早く帰りたいから。

「ついでにこの中にはどれだけの人数の?」

「生徒全員分」

「それは留学生とかも含めてですか?」

「当たり前でしょ」

 当たり前じゃねぇよ。そんな大切なものをいくら生徒会副会長だからって渡すんじゃねぇという突っ込みはいれない。何故なら(略)

「ありがとうございます」

 そして一礼してそのまま教室の外にでる。思ったよりあっさりとしていた。お蔭で小説にするとき、文字数を減らせるだろう。これはいいことなのか。悪いことなのか。この時の場合はいいことと言っておこう。このまま行けばこの小説が完結するのに必要とする文字数が小説1冊分を超えてしまう。下手すれば境界線上のなんチャラと同じくらい分厚いものになるだろう。

 中身はそれと比べ……なんということを書くから文字数が多くなるのだ。

 ともあれ、業者もビックリのあっさり個人情報を手に入れそのまま廊下を走る。ちなみに次の授業まで既に5分しかない。しかし今の長柄にとってみればそれは関係ないことだ。

 あと、大学生の……にとっても関係ないことだ。そんな無駄なことを言うから小説の文字数が(略)

 そして再び図書室にこもる。当然、もうすぐ授業が始まるので図書室には誰もいない。貸し切りだ。と思ったがここは昼休みでも誰もいない。図書委員すらも。これに関しては中崎西高校がおかしいだけなのかもしれないが、小説の世界では図書委員がいて本を管理している。しかしこの学校は借りるのも貸すのも全部セルフだ。

 そういえば自動販売機はアメリカには日本ほど多くないということを現地の人に聞いた。その理由は盗難が多いからだ。

 この中崎西高校もまたそれと同じような理由なのだろう。盗難が少ないから。借りパクがほとんどないから完全にセルフということができるのだろう。そもそも本を借りるのが少ないからというのもあるが。中崎西高校の生徒は図書室の存在を忘れている人も多いし。

 そしてそんな蠅の羽ばたきすらも聞こえてきそうな図書室で一人頭を毟りながら中津先生に渡された資料をじっくりと見つめていた。彼女のイライラ度は既にマックスだ。このままいけば猫になる。例の委員長ちゃんいたいに。

 もしかしたら留学生に何かヒントがあると思い急いでそのページをめくる。因みにさっきの記録帳では留学生の記録は一切されていない。

 しかしその結果もそこまでいいものではなく……結局成果は0。これまでのここが全て無駄という形になる。

「あぁ、もう。ジュリーって誰なのよ」

 昨日は興味ない雰囲気をだしていたが、やはりデータ教の長柄にとってみれば気になることだった。そもそもこれは長柄のプライドに関わることだから。長柄の頭には全校生徒の名前が刻まれている。そこで一人でも欠けているとなると……これ以上話すとまた小説が長くなるので今回はここまでにしておこう。


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