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普通の公立高校をラノベのような高校に変えてみる  作者: 北神 柳椰
現実世界に幽霊はいるのかな
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現実世界に幽霊はいるのかな?(2)

「そうね。この学校で染髪は禁止されているわ。それなのにどうして金髪なのかしら」

 扉を開けた少女は髪を金色に染めてウェーブを掛けていた。確かにラノベなら別に珍しい色ではない。しかしここは公立だ。公立でも髪染が禁止されていない学校だってある。しかし中崎西高校はきっちりと禁止している。

 そもそも染髪をしていたら学校に入れないようになっている。つまり例え校則を破って髪を染めたとしても校門で追い返されるだろう。

「さて、どうやってそこを突破したのかしら」

「そうね……こういえば分かるかしら。Je suis Julie」

 明らかな棒読みの海外語を読む。

「私はジュリー。そう、留学生デース」

 そして急にカタゴトの日本語になる。

「いや、さっき思いっきり流暢な日本語しゃべっていたり、肌が日本人なのは」

 しゃべっていた言語としては明らかにフランス(のつもり)らしいが、肌が南森たちと変わらない。彼らのイメージでは白人のイメージが強いのだ。

「OH。実は私ハーフなのです」

「さっきと言っていることが違うぞ」

「しょうがないね。私は日本人とフランス人のハーフ。どうやら日本の遺伝子の方が強かったらしいけどネ」

「……つまり留学生ではないということだな」

「ソウデース。ちなみにこの髪はフランスの遺伝子デース」

「髪だけ遺伝するということはあるの?」

「勿論デース。あります」

 三人は不審な目でこの少女を見つめている。

「まっ、取りあえずはハーフということを認めてやるよ。それでお前の名前は……」

「OH。私の名前はジュリーデース」

「まるでフランス語の教科書からとった名前だな」

 ちなみにこの学校では全てが普通科というわけではない。一クラスだけ国際コミュニケーションコースというものがある。そこは英語など海外のことを重点的に勉強するクラスだ。そこでは英語だけではなくロシア語、フランス語など選択で様々な言語を勉強する。つまりこの学校でも一部の人はフランス語の教科書を持っているということになるのだ。

「そ、そんなわけないデース」

「なんで、そんな明らかな動揺をしているんだ?」

「人の名前を教科書みたいっていうのは失礼デース」

「まぁそうだよな。ケンとかいい風評被害だし」

「と、とにかく私はフランス人デース」

「ということはフランスについて何か詳しいんだよな? 故郷について何か」

「OH。フランが大暴騰して大変デース」

 するとこの教室でまた沈黙が訪れる。と言っても大淀は何を言っているのか分からなずポカンとしているだけだが。

「……フランはスイスの通貨だぞ」

 よくフランスとフランの名前が似ているから間違える人が結構いる。

「WHAT?」

「あと、それ普通に英語だぞ。フランス語ならce que だろ」

 詳しく言うと、フランス語には男性名詞、女性名詞というものがある。その名詞の種類や形によっては色々とこの文章の形も変わる。もし、フランス語を勉強するとき、また単位が必修となった時にはこれが大きな壁となるということを言っておこう。世の中にはこれで単位を落としそうになった人が少なくとも一人はいるということも言っておこう。

「お前……本当にフランス人なのか」

「YES。勿論です」

「フランス語ならouiな」

 フランス語のいいことと言えば発音とかは種類を覚えればなんとかなるということだろう。

 (自称)ジュリーは視点をウロチョロさせている。完全に追い込まれた。そんな感じだ。

「まぁ、そんなことを疑っても何もならないや。とにかく何のようだ。ここは生徒会だぞ」

 南森が言ったここは生徒会だぞというセリフは別に『生徒会だから気安くくるんじゃねぇ』という意味ではない。『生徒会だけど何も出来ることないぞ』という悲しい意味だ。

 というのも何度も言うが、この学校の生徒会は監視しかする仕事がない。それ以外は特別委員会が仕事をするのだ。

「勿論それは分かっているのデース」

「なんか胸に来る言い方だな」

「ジュリーはあなたを助けにキマシタ」

「僕を……?」

「いえ……じゃなくてoui。私はあなたを救うために。南森会長を救うために」

「どういう事だ?」

「簡単に話すとあなたは特殊機関に狙われてイマス」

「特殊機関に狙われているって。どこかの軍事オタかしら?」

「俺が狙われている? 命をか」

「oui。あなたは狙われています」

「そっか。それは大変だな」

 何故か、南森の口元がムズムズと動き始めてくる。

「そうか。僕は狙われているのか……」

 そして笑みを隠しきれなくなってとうとう本格的に笑い始めていた。

「おい、聞いたか二人。僕は命を狙われているらしいぞ」

「勝手に死んで来れば?」

「私も大淀さんに同意するわ」

 二人は冷めた目つきでこの二人を眺めていた。

「そっか。この学校に裏組織があったのか」

「oui。この世界には世界征服を目的とする機関があるネ」

「どうしてかしら。話が食い違っているような気もするのだけれど……」

「それでお前はこの僕を守るために」

「oui。フランスから派遣されてキタノデース」

「あなたは設定がブレブレね」

「というわけでこのジュリーを生徒会の新メンバーに入れてください」

「そうだな。しょうがないな」

 そして南森の即答により、本日この生徒会に新メンバーが誕生した。

 これに対して一瞬二人は驚いたもののしばらくすると長柄は机の上で寝息を立て始め、大淀は勉強をし始めた。そしてその下校時間が終わるまで南森とジュリー(?)の二人は秘密組織について話をしていた。どこかのお笑い芸人のコントほど食い違っていないのは不幸中の幸いだろうか。


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