これが本物のラノベ高校だ(1)
五月一日。明日からGWという事もあり、廊下からは楽しそうに明日からの予定を話す声が聞こえた。
そんな中、南森はいつも通り、生徒会の仕事をしている。まず、ポストのチェック。時々他校から手紙が来ることがあるのでこれはほぼ毎日している。
ポストの蓋を開けると、茶封筒が入っていた。
南森は糊付け封を切り、それを開ける。そして、手紙の内容を読んだ。
「これは……」
そして放課後、本日は第二会議室。因みに第一も第二も別に広さとか用途とか変わらない。ただ第一会議室は別の部活が使用していたそれだけだ。基本的に教室使用権は生徒会より部活の方が優先になる。ただ、生徒会が部屋を借りる時は理由などいらない。
「それでだな……今朝ポストの中に手紙が入っていたんだ」
机の上にはA4の一枚の紙。裏返しに置かれているため手紙の内容は分からない。
「ちなみに手紙の相手先は?」
興味津々に長柄は聞く。
「谷町学園」
「あぁ……谷校ね」
谷町学園は中崎西高校と同じ市内にある私立高校だ。偏差値は中崎西高校の方が上だが、谷町学園は特進コースなど様々なコースがあり進学はそっちの方が上と言われている。そもそも生徒数が圧倒的に谷町高校の方が上だから比較はできないのだが。
「谷町高校とかから手紙が来るのですか?」
机の上に置かれた紙を軽く触る。
「うん。市内全てから手紙は来るわ」
因みにこの市内には四つの公立校と二つの私立高校がある。
「ま、主に学校生活報告ぐらいだけどね」
学校生活方向というのは、数年前からやっていることである。文化祭でどのような出し物をしたのかとかを写真を添付して手紙として送る。南森自身もどうしてこのような伝統が出来たのか分からない。
「それでこの手紙の内容は……いや見たくないけど」
「安心しろ。これは招待状だ」
「それならよかった……」
谷町学園の会長と長柄は気が合わない。谷町学園生徒会長はとても能天気でテンションの高い人だ。ただテンションが高いだけではなく長柄にチョッカイを出したりする。
そして谷町学園から送られてくる手紙の多くは自慢のようなものだった。更に返信を強要してくる厄介な手紙だ。
「そうじゃなければこれはそのまま向こうに返していたよ」
「そう。それでこの手紙の内容は?」
「あぁ」
机の上に置かれた紙を裏返しにする。それには大きくカラフルな虹色で「谷町スプリング祭り開催!!」と書いてあった。
「そういえばその時期だったわね」
「あぁ」
「谷町スプリング祭りって?」
まだ入学したてで生徒会に入りたての大淀が聞く。
「そのままだ。春の祭りという意味。まぁ、大規模な新入生歓迎会と思ってくれればいいよ」
「そうね。その日は色々な屋台が出るけど……食べ物関係は全部新入生無料だわ」
「へぇ……すごい」
「やっぱり私学だからお金を持っているのかな。因みに外からの来場者はお金を払わないとだめ。毎年GWの始めにその祭りがあるんだ」
「まるで……南森君が目指している学校みたいね」
そう言われるとそんな気もする。南森は軽く頷いた。
もし、お金があるのなら南森だってこれ以上のことは考えていただろう。
「そして今日送られてきたのはそれの招待状。丁度フランクフルト無料券が三枚ついている」
手紙の下はミシン目となっており、無料券がついていた。
「本当はあまり谷町高校に行きたくないような気もするけど。長柄の言う通り俺の目指すべき学校でもあるし……」
谷町学園は治安がいい。部活が活発ともよく言われている。アメフトは去年全国大会に出場。硬式野球部は県大会ベスト8まで進んだ。市内ではトップレベルの活発な部活動とも言われている。
「少し様子を見に行くか。折角大淀もいるし。俺の理想を見てもらうにはベストだな」
「そうね」
「というわけで、お前は明日の予定は開いているか?」
「何かあると思ってちゃんと開けているよ」
「やっぱり有能だな」
「……私は少し行くのを遠慮してもいい?」
その横で長柄は申し訳なさそうな声で言う。
しばらく南森が腕を組み考えた素振りを見せた後口を開く。
「……そうだな。お前は無理に行かせるわけにはいかないし」
(つまり長柄先輩は行かないの?)
心臓が嫌な高鳴りをする。
(えっとそれって)
この生徒会には長柄と大淀と南森の三人。そこに長柄が行かないとなる。つまりは大淀と南森の二人だけ。
「えぇ、私はこいつと二人っきり!?」
「そうなるな」
この時、大淀は数分前まで行けると返事した自分を殴りたくなってきた。
「雨天中止は?」
「ないから安心しろ」
さらに、明日、天気は晴れ。どのみち大淀には逃げ道を用意されていなかった。




