ラノベの出会いはいつも突然じゃないか! (13)
次の朝、南森は人生で初めて餅を喉につまらせた時の気持ちになった気がする。
昨日、長柄はネガティブキャンペーンを提案した。ここから非常に嫌な予感がしていたのだ。
結論から言うとその予感は正しかった。
南森は昨日から電源をつけっぱなしのパソコンに触れる。そして、『中崎西高校掲示板』というサイトを見たのだ。
ここはその名前の通り。中崎西高校の掲示板。裏サイトだ。といっても全然隠れていたりしてないのだが。普通に中崎西高校って検索したら2ページ目くらいにはでる。
ここ掲示板では学校の中でいい子にしている彼らも裏の憎悪に満ちた感情をさらけ出す。
特定の人を誹謗中傷するようなことは少ないが、先生の悪口や学校のイベントに対する愚痴などのスレが立っていたりする。
その掲示板で、それぞれの部活を罵るような書き込みがあった。まずスレタイで
『バスケ部が部費を貰いすぎな件についてwwwwwwwwww』とある。そして同一のIDを持つ人がそれ以外の部活の悪口を一つ一つ丁寧に言っていた。
勿論その人に対して『なにいっているんだ』という感じで扱っている人の方が多い。しかし数名はその人に同調するかのようにその部活の悪口を言っていた。やがてはそのスレ内で論争が起こる。。
(何故だろう……とある人が思い浮かんだよ)
南森は昨日まで一緒にいた人物を頭に思い浮かべる。悪魔のような笑みと共に。
それから南森は朝食、着替え、歯磨きを合計僅かの10分で終わらした。
そして自転車に乗る。南森にとって自転車に乗ることはかなり久しぶりだった。というよりそもそも中崎西高校は自転車通学禁止だ。駐輪場とかもない。
しかし今の南森にとってそのような校則はどうでもいいことだった。自転車は近所のマンションに泊めればいい。叱られたらドンマイ。ある程度のリスク負ってまでも自転車に乗らないといけない。そんな気分だ。
「うぉぉぉぉ!! 待っていろよ! 長柄ぁぁぁぁ!!」
彼はとにかくそう叫んだ。
朝の図書室は非常に静かだ。というのも利用する人がほとんどいないからだろう。
朝の図書室を利用する人と言えば、受験を控えた三年生が勉強するのに使うぐらいだ。
長柄は机の上で本を開きながらぜひコーヒーが欲しいものだと思う。
(この静かな空間は誰にも壊されない)
だから長柄はここが好きだ。教室だと喧騒な声が四方八方から聞こえ、思わずもう一つの自分が表面に出てしまいそうなのだ。
ただ少し静か過ぎる気もする。まだ血圧の低い朝は眠気という魔物に襲われる。
長柄は机の上に伏してしまった。そしてこのまま睡眠に落ちる。段々と幻覚が見えてくる。もう、それでいいのかもしれない。そう、思い始めた矢先
「長柄ぁぁぁ!!」
一人の青年に眠気という魔物を倒されてしまった。
「あら、南森君。おはよう」
南森は息を切らしていた。呼吸がするのがやっとで見ている方も息苦しくなってくる。
「おはよう……じゃねぇ!」
長柄を軽く一発ぐらいは殴りたい。そう思ってしまう。
「これは一体どういうことだ!」
南森はスマホで掲示板の画面を見せる。
「あら、大変ね」
「そう……いやいや、どうして他人事なんだよ!?」
「だってこれ、私は関係ないし」
「いやいや、明らかに」
「ははっ。君の推理は面白い。ぜひ推理小説家になってもらいたいものだ」
「それは完全に犯人のセリフだし何も推理していねぇ!!」
「とにかく証拠もないのに……フフッ……疑うのは……フッ……ダメよ」
「どうして所々笑いをこらえている!?」
実際には完全に笑みが漏れていた。




