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普通の公立高校をラノベのような高校に変えてみる  作者: 北神 柳椰
ラノベの出会いはいつも突然じゃないか!
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ラノベの出会いはいつも突然じゃないか! (1)

 あれ、おかしい。人生の中でそう思うことは何回あるのだろうか。

 例えば、高校に入ったら彼女を作る予定だった。しかしできない。ま、勉強が忙しかっただけだし。それなら大学で作ればいいじゃん。と心の中で震え声をあげながら思ってみる。

 そして大学生になる。あれ、おかしい。彼女どころか友達すらできない。今となっては彼女が画面上にいるという人もたくさんいるだろう。というよりいてください。お願いします。仲間が欲しいのです。

 一応言っておこう。俺は語り手であってこの物語の主人公じゃない。これは三人称であって一人称ではない。

 一体この物語の語り手は誰なのかという無駄な詮索はやめておいた方がいいだろう。この伏線を回収することはほぼないから。何故って? だってこの物語は俺に関してはそこまで深く考えられていないもの。俺は取りあえず天の声だと思ってくれればいい。

 この物語の主人公……南森三嶺(みなみもりみうね)は放課後、閑散とした教室に女子と二人きりになっていた。外から聞こえる部活の声。上の階から聞こえる吹奏楽部の音。これらが青春の甘い香りとなり、本来なら南森の鼻を突きさすはずだ。女子と二人きりなのだから。しかし南森は残念なことにそのような感情が湧かない。それどころか『あれ、おかしい』と思っていう疑問を発見してしまったのだ。

「何故屋上に昇れないのだろう」

 ふと、南森はそのような言葉を漏らす。すると同じ教室で本を読んでいた少女がパタンとそれを閉じ南森に視線を合わせる。黒髪ロングの少女だ。しかしどこか凛々しさというものが欠ける。これは悪い意味ではない。少し身長が小さいせいか幼しさを感じさせるのだ。

「危険だからでしょ?」

 少女は不愛想にそういう。彼女は長柄麻耶(ながらまや)。南森がこの学校……中崎西高校の生徒会長で長柄が副生徒会長という関係だ。

「でも漫画ではよく昇っているし」

 これは定番だ。よく恋愛漫画は屋上で告白……なんていう甘酸っぱい青春が描かれている。

「一番カッコイイのは屋上から飛び降り自殺するヒロインと一緒に飛び降りてプールに着水。そしてヒロインを救うというシチュエーション。やってみたいよな。あれ」

「それなら四階から飛び降りなさいよ」

「自殺示唆はやめて」

 ちなみに四階から飛び降りた場合、着水したとしても車に轢かれるくらいの衝撃はある。マ○クラみたいに着水すてダメージ0はあり得ない。

「他にも疑問に思う事があるんだ。どうして先生がロリBBAじゃなくてただのBBAなのか」

「だって人間だもの」

「いや、それを言うのなら画面上のキャラだって人間じゃん。それなのにあの人たちは年を取らないんだよ?」

 死んだ魚のような目をして南森の方を見る。南森の困ったことは時々現実と二次元の区別がつかなくなるのだ。過剰表現ではない。

「現実という言葉を覚えておいた方がいいよ?」

「流石にロリBBAは無理があり過ぎると僕も少し思ったよ。だけどこの学校の教師は面白くない」

「当たり前でしょ。授業で面白いと感じるのはごく稀」

「違う。授業とかじゃなくて。ロリBBAが無理なら一年後に地球を破壊すると宣言したタコ足の宇宙人が先生とかでもいいよ」

 関係あるかどうかは知らないが、補足しておくと南森は金髪の英語教師が欲しいと考えている。因みにこの学校は一応英語コミュニケーションという授業はあり外国教師はいるが、全員男性だ。本当に関係あるかどうか知らないけど。

「少年ジャ○プの読み過ぎ。ってかロリBBAより難易度があがっている」

 南森は目の前の机に寝伏す。そして思いっきり肘を伸ばし蹴伸びをした。

「とにかく暇。なんでこの学校は生徒会長の権力がないの!?」

 この学校はまず生徒会役員が南森と長柄しかいなかった。更に彼女らの仕事と言えば学校の見回り、警備、朝礼などの挨拶ぐらいだ。一応イベントについて他の実行委員と考えることもあるが生徒会の意見が反映されることはほとんどない。

「お金がないから生徒会でも出来ることが限られているの。今すぐ市内のHPに行って借金時計を見てきなさいよ」

 この中崎西高校は公立だ。県立で偏差値は52。校歴は34年。生徒数600名。至って普通だ。何もかもが普通の学校だ。唯一の特徴は修学旅行先がグアムということ。あと、治安がいい。しかしラノベや漫画のような世界を望む南森にとってみればそれもまたつまらないものだ。

 因みに、この中崎西高校がある中崎市は一応都市部にある。しかし十数年前に起きた災害により現在の財政は厳しいらしい。

「地方交付税交付金を全部僕にくれ」

「もし政府がそれをしたら過去最大のデモが発生するね。しかも賛成派が一人もいない」

「それなら俺が総理大臣になる。そうすれば文句ないだろ」

「文句しかないわ」

 チャイムが鳴り響く。時刻は18時。強制下校と呼ばれる時間だ。

 長柄は本を持ち、そのまま立ち上がる。

「それじゃ、また明日ね。南森君」

 そのまま、教室の外に出る。

 結局今日生徒会でした仕事と言えば……した仕事と言えば……あれ? 何かしたのだろうか?

 多分俺が見ていないところでしたのであろう。そうだよね? 南森?

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