冒険者 迷宮 魔法 神
しんどい……
●っくり●っくりドンドン!
不思議なチ●ラが湧いたらどーしよ!
だいたい使いこなすのはしんどいよ?
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さて、何から話せばいいだろう。
カストルをボコってから俺は冒険者と迷宮のことについて教えてもらった。
まず冒険者について。
・成人する5年前から入学可能。
・卒業するまでは2年。飛び級もあり。
・引退済みも含めS級以上の冒険者からの推薦で7歳以上であれば特別枠で入学制限なしで入学可能。
・大迷宮にはB級以上のみ入れる。
・ランクはB級未満は達成したクエスト数によって分けられている。
・B級以上はLv25以上はB級Lv30でA級,Lv40でS級といったようにレベルで分けられている。
・SS級以上は功績が必要。
迷宮について
・大雑把に言えばだいたい全50階層までは迷宮。それ以上は大迷宮。
・大迷宮は世界で5つある。
・冒険者の組合のようなもので連合が存在。
・迷宮にはいろいろなものが落ちていて、魔武装と呼ばれる魔力のこもった武装が存在。
・迷宮には一定階層ごとに門番が存在。
・大迷宮には門番以外に各階層に階層主がいる
・神話がある
だってお。
神話は大迷宮を攻略すればみんな強くなっていって攻略したら世界はええかんじになるで~みたいな感じ。
そんな解釈でいいと思う。
さてと。
「今から魔法の練習を初めます」
今日から魔法修行編です。今日の先生はエコーねぇです。
「まず、『魔法を習う』と言っても初級魔法までしか教えられません」
修行編にはなりそうにないです。
「中級魔法以上はなんていうか……勝手に使えるようになります」
ん?
「中級魔法以上は条件のようなものがあってそれを満たすと習得すると言われてるわ。ちなみに私の例の結界魔法は弟子に魔法を教えていたらある日突然習得したわ」
リリケット先生がエコーねぇに助け舟を出した。
勝手に頭に流れてくる感じかなぁ?
「もう!リリ先生!」
「『今日は私がシンに教えてあげるんだ~♪』って言ってたけど甘いわね~」
これ知らなかったら幼女がじゃれあってるようにしか見えないよなぁ。
「やっぱり私が教えるわ。シン」
「うう~~~」
「なにからやるんですか?」
「んーそうねー」
テンプレだと生活系の魔法からだよなぁ……。かかも使ってるし……。
「一回爆破してみましょっか」
爆……破……?
「接近戦で相手爆破したら強そうよねー」
「リリ先生シンばっか贔屓してずるーい!」
「未来のお婿さんだもの。成長してもらわないと!」
おおおおおおお婿さんか、そ、そうだな俺お婿さんになるのか。
「顔真っ赤にしてかわいい……ふふっ」
「頑張ります!」
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「さてと、お外に来ました」
庭……の跡地、もとい修練場(?)に出た俺達は早速修行を始めることとした。
「さて、突然ですが質問です、魔法は大きく何種類何系統に分かれてるでしょう!」
何種類……?
「はいはい!三種類四系統です!」
「エコーに聞いてない」
なんかエコーねぇの扱いひどくないですか?まぁ俺お婿さんだもんな。お婿さん……孤児院でロリっ子とおままごとで夫になったことは何度もあるけどリアルとなると重みが違うな。シュリーとの結婚は即効だったから気づかなかったなぁ……。
「シン、ボーっとしてないで説明するわよ」
「はい先生」
「魔法には大きく分けて三種類四系統あります。まず三種類について教えるわね」
「はい先生」
いちいち「はい先生」って言わないと話が進まないのなんとかなんないのかな。ちょっとニヨニヨしてかわいいからいいんだけど。たいして可愛くない熟女がやってたら助走つけて貫手するレベル。
「まず一つ目、スクリューミル派、これは詠唱が長いけどバ火力よ。始祖ウトガルザ・ロキは山一つ消し飛ばしたっていう逸話が残ってるほどよ。二つ目はヘルマフロディトス派、これは詠唱が短くてかなり小回りが効く反面ちょっと特殊な魔法が多くて習得が難しいし火力が乏しいわ。そして今から教えるのが三つ目、ホノニニギ派。さてここで問題ですヒノクニ派の特徴とはなんでしょうエコーさん」
「ふぇっ!?ええと……ほぼ詠唱が無いに等しくて、火力も出るし、サポートもできるけど、魔力の消費量が異常なほど大きくて他の魔法酒でできることをやろうと思ったらそれの二倍から四倍くらいの魔力が必要です」
「それで終わり?」
「え?ええと……」
「魔法道具にはよく使われているわ。魔法道具は三種とも制作ができるんだけど起動時間が必要でヒノクニ製の魔法道具は『符』と言って魔力を通して投げるだけで発動できるわ。ちなみにSSS級のホノニニギ派術者になると符を売ってウハウハよ。具体的には三十分もあれば家が一軒立つわ」
三十分で家が立つってSSS級の生活って一体……?
「あとホノニニギ派の術師は基本的にB級未満が存在しないわ」
「どういうことですか?」
「要求魔力量が多すぎて術師って呼べるようになる頃には自動的にB級ぐらいにはなってるのよね……。あと教える人はS級以上しかいないからほとんどが特待生上がりよ」
「エリート専用魔術って感じですか?」
「まぁそういうことね。あと魔力を後天的に増やすには食べて運動するっていう考えがあるから体術の出来る人が多いわ……SSS級魔術師の五割近くがホノニニギ派と言われているわ」
「じゃあ逆に一番少ないのはどこなんですか?」
「ヘルマフロディトス派よ。一割とすこしってとこね」
「所詮下位互換ってことですか?」
「上級魔法の更に上位であるS級魔法の習得難易度が異常なのよ。まず精霊系種族と人族以外はほぼ不可能と考えていいと思うわ」
なんでもS級つければいいってもんじゃないと思うんだけど。
「上級まではSSS級術師ならほぼ使えるわ。でもS級魔法となるとほんとに少なくて使えたらあらゆる連合から引っ張りだこよ、正直勧誘されるのがしんどいわ」
「リリ先生は使えるんですか?」
「使えるわよ!見たい?」
むっちゃ笑顔になったな、見せたかったんだろうな。
「いくわよー!『狂い咲け 乱れ咲け 血を吸い己の生とせよ 我に従えし古の生命達よ 咲け 樹海降臨』」
唱えた瞬間は何も起こらなかった。ミスったのかと思ってリリケット先生を見やると
神がいた
その所作に釘付けになってしまった。
神の美とはここまでなのだろうか、命さえも奪われそうな、そんな感じだ。
嗚呼……何と美しいのだろうか……。
何かをリリケット先生に語りかける、そして頷き手を振った。
瞬間。
地が蠢き大樹と草花が修練場に咲き乱れた。
そして神は俺に微笑み消えていった。
「大丈夫?シン、エコー」
その一言に俺はハッとした。完全に心が囚われてしまっていた。
「レベルが高く無いと神々しさにやられるのよ」
「神……?」
「そう。ヘルマフロディトス派のS級魔術は神を己に降ろすのよ」
「嘘だと思ってたけど本当だったんですねリリ先生」
「はー?信じてなかったの?」
「だってそんなの魔力がいつくあっても足りないじゃないですか!なのに魔力消費なしなんておかしいです!」
チートじゃねぇか。
「その代わり代償がでかいのよ……例えばさっきのなら希少植物を一年育てて供物にしないと行けないのよ、しかも供物がかぶると使えないしね……いやほんと代償厳しいのよ?一年で被ったらダメとか言いながら被ってなくても『三年前にいっぱい見たのよねー気分じゃないからダメ』とか言われるしね……ほんとこれで使用回数ストックできなかったら絶対キレてるわ」
神は気まぐれってやつか……。
「他にはどんな供物があるんですか?」
「魔法使いに演舞なんて要求する頭のおかしい神様がいるわよ」
「杖術は基本じゃないんですか?」
「なにそれ」
「うーん、おねえちゃん聞いたこと無いよ?」
え?おかしくね?接近戦どうすんだ。
「長杖を使うならって話ですけど、接近戦の穴を埋めれますよ」
「へー、私短杖しか使ったこと無いからしらないや」
「接近戦どうするんですか」
「魔法障壁があるから接近戦はほぼ見ないわね」
「そうですか……」
「さて、四系統に行くわよ、火水土風で四系統。基本的に混ぜて運用するのが多いわ。優劣はさっき言った順番で右のやつが左のやつに強いわ。火は風ね。ちなみにヘルマフロディトス派は四系統は無視したほうが覚えやすいわ、理屈よりイメージって感じね」
「爆破は系統で言えばなんになるんですか?」
「火と風の混合ね」
「難しいんじゃないですか?」
「難しいから一度やってみるのよ」
まぁ、一理あるか……。
「じゃあやり方は、しっかり爆破するイメージを組んで『爆』」
唱えた瞬間俺の目の前で爆発が起きる。なにも俺の目の前でやらんでも。
「さ、やってみて」
イメージを現実化する感じかな、前世死ぬほどやってたし魔法はあってるかもな。
「爆」
唱えると思ったより前の方で爆発が起きて先ほど生えた木の幹が吹き飛んでしまった。
「コントロールミスねーまだ発動するだけマシだけど魔力も吸われすぎだし、あとあんまり四系統のイメージができてないのかもしれないわね。爆発のイメージが先行しすぎて、両方の系統が本来合わさって起きる結果と同レベルの現象を起こすのに必要な魔力を両方の系統に持ってかれてるみたいね」
「ん?」
「1+1が間違って2+2になったってことよ」
「なるほど」
別々にイメージしないとだめなのかなぁ……。
結局ホノニニギ派の初級魔術を習得するのに一年以上かかったのだった……。
急ぎすぎてわけわかんなくなってる感じがする。