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午後7時の夕焼け

作者: roboboa

午後7時の夕焼け。

それを公園のブランコの前の、

細いステンレスの柵の上に座って見ている。

最近は陽が暮れるのが遅くて、

夜しか起きないうちの猫は寝てばかりだ。


そんなことをヒズミ君に話すと

ヒズミ君はクスクスと笑った。


ヒズミ君は座っていたブランコをキィコォ、と少し揺らして、

多分私と同じく、夕焼けを見ている。


ヒズミ君はガシャッ、とブランコから降りると

ねぇ、かくれんぼしよう、と言った。


かくれんぼはいつも、私が鬼で、ヒズミ君が隠れる。

夕焼けの中でかくれんぼすると鬼に連れて行かれちゃうよ、

という私の忠告を聞かずに、ヒズミ君は公園を駆け出した。


いつものように、私はブランコをこぎながら十を数える。

キィ、コォ、キィ、コォ。

ブランコの音に私の声をかぶせて、十を数え終わる。


ガシャン。

私はヒズミ君を探しに駆け出した。

最近の夕焼けはやけに短くて、

もう空は闇を待つ、深い藍に染まっている。

妙に細い月も輝いている。

ヒズミ君みたいな月、と私は思った。


かくれんぼは、いつも私の負けだ。

ヒズミ君はいつも見つからない。

今日も、・・・かくれんぼの鬼ばかりしている私だから、

隠れられるところ全てを効率よく見て回った。


ヒズミ君は絶対いない。

そして明日もなんでもない顔して、ここにいるんだろう。

ヒズミ君とのかくれんぼは、いつも泣きそうになる。

でも私は鬼だから、いつかちゃんと見つけなきゃいけない。


キィコォ、とブランコが揺れている。

ヒズミ君が見つからなくてもいい、と思っている自分と

見つけなきゃ、と思う自分が混じる。

午後8時、もう夜。

家に帰れば夕食が待っている。


また明日、午後7時、とヒズミ君がどこかで笑った。



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