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勇者の横道
「10年前に親父を助けたり謎が多いな。勇者になる前はなにやってたんだよ」
サシャは当然の疑問を発する。
「最近は兵役についてたぞ」
あっけらかんと、こともなげに言う。
「兵え!?」
「兵役」
「なんで?」
「そりゃあ市民権のためだろ」
ナノクニには6年の兵役ないし同等の戦果をあげることで市民権を得ることのできる制度がある。
アリスが口を挟む。
「勇者さんが6年も耐えられるとは思えません」
「誰が6年もいたと言った」
「だって」
「戦果なんぞあげなくても上官に媚びを売ればいい。都合よく女だったしな」
「不潔です!」