表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編小説

ヒーローへの憧れ

作者: 斎藤康介

 学校の成績はいつも半分より上、三分の一より下という特徴のないものだった。成績表の先生からのコメントはいつも「優しい」「協調性がある」と書かれていた。それは決して褒め言葉ではない。反抗も自主性も見られなかった私に対する先生なりの気遣いに違いなかった。

 履歴書に書かれた人生が私のすべてであれば、なるほど順風満帆な人生である。地方の国立大学に進学し、地元に帰って就職。年収も自分の世代と比較すれば平均的なものだ。このままいけば結婚し子供が生まれ、定年まで働き老後を迎えることになるだろう。


 だが私はそんな自分に不満があった。いや、正しく言えば平凡な私は非凡さ(・・・)というもの、あるいは非日常というものに強い憧れがあった。

 例えば白馬の王子様がいる。女性は自分を非日常へ連れ去る王子の姫になりたいと憧れるが、私は一人の人間を夢の世界に連れ去ることができる王子にそのものに憧れた。他にも魔王を倒す勇者、悪の組織に戦いを挑むヒーローなどなど子どものような願望があった。


 だからそのニュースを見たとき、私は衝撃が走った。私がやるべきことは一つだった。


『僕にできることはこれくらいですが、みんなで手を携えて頑張りましょう!


 伊達直人』


 手紙の文言を何度もチェックし後部座席にランドセルを詰むと、深夜の国道を北に向かって車を走らせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ