【シナリオ:深海のディスプレイ】1
今回は、あの図書館の事件から数週間が経った、7月の初夏の物語です。
プロローグ
あの不気味な「文字の無い図書館」の事件からしばらくの間、拓真は何事もなかったかのように、大学の講義とゲームのレベル上げに勤しむ日常に戻っていました。
変わったことと言えば、時折スマホの画面やレポートの文字が「一瞬だけ歪んで見える」気がすることくらい。気のせい、あるいはスマホのブルーライトによる目の疲れだろうと、拓真は自分に言い聞かせていました。
そんなある日の夜。
趣味のRPGのネットフレンドであり、同じ大学の他学部に通う友人から、1通のメッセージが届きます。
『拓真、お前レトロゲーム好きだったよな? じいちゃんの遺品整理してたら、見たこともない古いゲーム機と、タイトルの書いてない黒いカセットが出てきたんだわ。俺、明日から帰省しちゃうから、良かったらこれやるよ。お前の下宿のポストに入れとくわ』
翌日、大学から帰宅した拓真がポストを覗くと、友人の言葉通り、緩衝材に包まれた奇妙な荷物が入っていました。
部屋に持ち帰り、包みを解きます。
出てきたのは、ファミコンやPCエンジンを思わせる、黄ばんだプラスチック製の据え置き型ゲーム機。メーカーのロゴはどこにもありません。
そして、友人が言っていたカセットは、光を吸い込むような、妙に生々しい「黒色」をしていました。プラスチックというよりは、どこか海の生物の甲殻のような、ザラついた手触りです。
時計の針は22時。
明日は1限の講義もないし、少しだけ触ってみるか……と拓真は軽い気持ちで、自室の液晶テレビに古いAVケーブルを繋ぎ、黒いカセットを差し込んで、ゲーム機の電源を入れました。
――ブツン。
テレビの画面が暗転し、不気味なほどの高音質で、「ザザ……ザー……」という激しい波の音がスピーカーから流れ始めます。
画面に映し出されたのは、ドット絵ですらない、実写と見紛うほどリアルな**「深く暗い海の底」**の映像。
そして画面の中央に、おぞましいほど鮮やかな、見たこともない発光する文字列で、タイトルが表示されました。
『ル・リエー……』
最後まで読み切れないその歪んだ文字を見た瞬間、拓真の頭の中に、あの図書館の最深部で感じたものと同じ、鋭い頭痛が走ります!
【SANチェック】
ダイス結果:成功
前回の経験があるため、「またこの感覚か!」と脳が瞬時に警戒態勢に入りました。
SAN値減少:0 (正気度は保たれています)
それと同時に、テレビ画面の「海」が激しく波打ち、液晶のガラスの隙間から、冷たい本物の海水がドボドボと床に溢れ出してきました! 部屋の中に、生臭い潮の香りが一気に広がります。
画面の向こう、暗い海底の奥から、何かがこちらをじっと見つめているような、強烈な視線を感じます。
あなたの行動を選択してください
【選択肢A】 「うわっ、浸水!? 壊れる!」と焦り、すぐさまゲーム機の電源ボタンを連打、またはコンセントを力任せに引き抜こうとする!(物理的な強制終了)
【選択肢B】 ゲーマーとしての直感。「これは画面の中に入り込むタイプのイベントだ!」と判断し、部屋が水浸しになる前に、コントローラーを握ってゲームの『スタートボタン』を押し、物語を進めようとする!(ゲームの進行)
【選択肢C】 文学部の観察眼。「タイトル画面の文字」が何か重要な意味を持っているはずだ。溢れる水に怯まず、テレビ画面に近づいて、その歪んだ文字列をスマホのカメラで撮影・解析しようとする!(情報収集・技術)
拓真の部屋に迫る、深海の怪異。最初のコマンドはどうしますか?




