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初恋はあなたです

作者: 羽倉了
掲載日:2026/05/30

「私は心に決めた人がいるのだ。すまない」

初夜でレックータ公爵家当主のアンドロにそう言われて、内心面倒臭いと思った。

なら貫けばいい。何故それをしない。

公爵家当主にもなりたい。心に決めた人とも結ばれたい。

なら貫けとリーリアは思う。

これは政略結婚であり、契約結婚ではない。

契約結婚でそれでもいいと言う相手を探せよと思う。

スカスカの下着が馬鹿らしくなってくる。

リーリアも初恋の人がいた。だがそれだけである。

「ちなみに誰ですか?」

「それが捜しているのだが、なかなか見つからなくてな」

「付き合っている訳ではないんですか?」

「それは違う! 彼女とは子供のときに出会ってな」

「どうして私と婚約してそのまま結婚したんですか?」

「それはすまないと思っている。父に逆らえなくてな」

知るか、とリーリアは思う。

「私とは白い結婚ということですね?」

「君にはすまないと思っているが、そうしてもらいたい」

「分かりました」

アンドロはどこかホッとしたようだった。

部屋からアンドロは出ていき、リーリアは涙を流した。

政略結婚だったが、幸せになれると思っていた。

アンドロに似た子供を生みたかった。

そんな未来はやってこない。


応接室で義理の父親とリーリアは紅茶を飲む。

「という訳で、三年経っても子供ができないのは白い結婚なんですお義父様」

「何故もっと早く言わない?」

「子供について言われなかったので」

前公爵家当主ドリューは深い溜息をついた。

「アンドロは何を考えているのだ」

頭を掻き毟る。

「今も捜してます」

「あいつは駄目だ。すまなかった」

「責任取って下さい」

「ああ。責任を取って次の結婚相手を見つけよう」

「違いますよ。初恋はあなたです」

「は?」

目を丸くする姿に、リーリアは思わずクスリと笑う。

「奥様が出ていかれて十年以上経ちますね」

ゴホンと咳き込むドリューは頷く。

「そ、そうだ。仕事で家を空けていたからな」

「家のことは私に任せて下さいな。子供たちと一緒に家を守ります」

「子供たちとは?」

「もちろんお義父様との子供ですわ」

「……」

「ちゃんと責任取って下さいね。ドリュー様」

ドリューは天を仰ぐのだった。

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