詩 虹の橋と、管理者の一日:詳しく
大陸と大陸を繋ぐ虹の橋が消えていく
箸の上にいた人たちを救うために
雲を動かして クッションにして受け止めた
私の仕事はただ見ること 見張ること
空を記録することだけど
たまにはこういうこともする
人を助けたりすることもある
時計をごまかして 勤務時間外だから好きなことをやってもいい
そんな言い訳をしながら 私は感謝の言葉を受け取る
銃声が鳴り響いた
彼らが行けなかった大陸から 目的地から
争いの声がする 爆発の音もする
それに移動できなかった彼らは 加担できないことを
残念そうにしていた
私には関係のない事情だ
戦いに参加できなかったからと
皆 辛そうな顔で家に帰っていく
虹があった場所を見る
誰かの靴にしみこまれていた光の液体の靴跡が
虹より遅れて消えていく
誰に道を示したかったのだろう
自分に続いて誰かを助けに行く 誰かと争いに行く 誰かに?
先ほどまで彼らがいた場所を振り返る
未練がましく残っている者達はいなかった
人影すら 見当たらない
私は自分の体の中に収納されている無数の刃を取り出す
毎日のメンテナンスのため 使われない道具の手入れのため
私は戦うために作られた機械
けれど 戦いには参加しない機械
何物にもなれなかった出来損ない
最近読んだ本の中には
そんなモノにも何かの役割があって
人から必要とされる時が来るといっていたけれど
現実にはそんなちょうど良い出来事なんて起こらない
私を作っていた人たちは あの時いつも笑顔だった
私もその笑顔に応えられると あの過去では思っていた
でも本当に その気持ちは分かり合えていたのだろうか
答えは過去の時の中だけ だけど人は心を隠す事ができるから
時計を逆向きにまわしたって きっと本当など分からない
この時間 いつも虹が消えた頃にやってくる女性が歌を歌った
私はそれに耳を傾ける
ノイズを除去してくれる 機械の耳当てをはずして
入れ替わるように 先ほどまでいた大勢の人たちとは違う
穏やかな顔の人たちがやってくる
女性の歌に耳を傾けながら
皆はよりそって 思い思いに感傷にふけっていた
木の横で 花壇の前で 電柱の下で ベンチに座って
一人で聞く者もいれば 二人で寄り添って聞くものもいる
私は誰かといたい気分になったので 誰かが座っているベンチの端っこに腰かける
すると そこに座っていた老婦人が微笑んで もう少しこっちへいらっしゃいと手招きをした
機械である私でも 人間と同じように 同じ場所で 同じ曲に耳を傾けている




