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第13話:マネージャー初日終了。

「それじゃあ今日はありがとうね~」


「よろしく、マネージャー」


「よろしくね~佐伯くーん」


「おつかれさまでーす」


と練習を終えた女子テニス部員が声を掛けていく。


「さて……後は……」


未だ鳴り響くラリーの音。残って練習している檸檬と弓場さんの二人。


「そろそろ皆も帰ったし言わないとなぁ……」


鍵は職員室に返しておけばいいと言われたので預かっている。


「檸檬~弓場さん~もう時間だぞ~」


「あ、翔? もう終わり!?」


「あぁ、日は長くなったけどもう少しで日暮れだからね終わりにしないと」


「え~もうすこし、練習したいんだけど……」


「貴女ねぇ……あれからひたすら練習続けてたらオーバーワークで倒れますわよ。それとも佐伯さんに看護してもらいたいのかしら……」


先程皆にからかわれたのを思い出したのか、檸檬がうにゃうにゃと声を上げる。


「ほら、それが嫌ならもう切り上げる!」


「うぅ……嫌じゃないけどさぁ……」


「それとも、私を潰すつもりですの? 檸檬相手だとかなり大変なのよ?」


「うっ……ごめなさい……」


「よろしい、佐伯さんもお疲れ様です」


「お疲れ。弓場さん、それに檸檬」


タオルを手渡すと檸檬と弓場さんが受け取って汗を拭う。


「流石に疲れましたわね……」


「スプレーいる?」


「貰いますわ……全く、檸檬は馬鹿力なんだから……」


「あはは~ゴメンね~」


「そんなになのか?」


「良かったら受けてみますか?」


テニスラケットを手渡してくる弓場さん。


「じゃあお言葉に甘えて……」


弓場さんよりラケットを受け取ってコートの中に入る。


「それじゃあ軽く打つから、打ち返してね~」


――――パァン! ————ガシャン!


「は?」


檸檬がサーブをした瞬間ボールが消えたんだけど……。


「ほら~ちゃんと見て無いと駄目だよ~」


もう一度サーブの体勢になった檸檬から音がする。


今度は見えた!


「よっとぉ!」


ギリギリで返すが打ちあがる、ってこれ良くゲームでスマッシュを打たれる状態じゃ!?


「はぁっ!」


――――パァン!


ギリギリ手を伸ばす、なんとかラケットの端に捉えるがラケットごと弾かれる。


――――カランカラン。


「いってぇ……なんつー威力……」


「大丈夫!?」


ラケットを飛ばした張本人が駆け寄って来る。


「あぁ、大丈夫。ゴメン弓場さん借り物なのに……」


「構いませんわ、私も良く昔は檸檬に叩き落されましたもの」


「あはは~そうだっけ?」


「そうですわよ。それにしても、檸檬のクッソ重いスマッシュを受けきれるなんて佐伯さん凄いですわね」


「そうだね、2回目で返されちゃうし……凄いなぁ……」


「返すのがやっとだけどね、それに本気じゃ無いでしょ?」


そう言うと檸檬が「たはは~」っと笑う。


「まぁ、返しやすいとこに打ってくれてたし、そんな細かい調整できるなんて檸檬のが凄いだろ」


「あー、それは少し違いますわね……」


「え?」


「檸檬は調子乗って本気で打ちましたわ。それを無理に取ると怪我すると思い、無理矢理逸らしたんですわ」


「じゃあラケット飛ばされたのは……」


「必然ですわね……」


ジト目で檸檬を見る弓場さん。


「あーあはは~ゴメン翔! つい本気で打っちった♪」


「まぁ、手首痛めて無いし大丈夫だよ。俺も無理矢理追い付いただけだから手の力の掛かりが甘かったし」


「それでもテニスが始めてで、檸檬のスマッシュを拾えるのは相当ですけどね」


呆れたように言う弓場さん、俺も届くとは思って無かったから驚いたけどね……。


「うん、私も驚いたよ~まさか力入れ過ぎてヤバいと思った球を拾えるとは思わなかったもん」


「「自覚あったんか(ですわね)……」」


「それはともかく檸檬さん。貴方、手首少し違和感あるでしょう」


「うっ……」「は?」


「佐伯さんを怪我させない様に無理をしたのが原因ですわね」


「檸檬おまえなぁ……そんな無理するくらいならぶつけてくれてもいいのに……」


「翔……」「佐伯さん……」


何か可哀想な目で見られたんだけど!?


「いやいや! そういう趣味じゃないし。檸檬に怪我されるくらいならボールに当たるくらいどうって事無いからだよ! 決してMだからとかじゃないからな!」


「いいんですわよ無理しないで……」


「弓場さん! その目を止めてくれ!!」


「大丈夫、私は理解力がある方なの」


「それわかってない台詞だよね!」


「まぁまぁ、私先に戻りますわね、檸檬は丁度いいので佐伯さんに手当してもらいなさい」


「ふぇ!?」「わかった」


そう言って部室の方向に荷物を持って戻って行く弓場さん、中で着替えるのであろうから戻る訳にもいかない、それよりも。


「檸檬、逃げないの」


二の腕を掴んで引き留め、救急箱が置いてあるベンチへ引っ張る。


「あうあうあう……」


ベンチに座らせながら救急箱からスプレー式の鎮痛剤とテーピングを取り出す。


「ほら、どっちの手だ?」


「うっ……左手です……」


おずおずと出してくる手を取って手当てをする、まさか先程やった事が役立つとは……。


「ほいっと、完成。今日一日は無理に動かさない事、明日も引くようなら病院に行くぞ」


「うっ……はぁい……」


小さくなる檸檬、普段から小さいけど余計縮こまっている。


「さて、それじゃあ帰るか。弓場さんに着替え手伝ってもらるだろうから急ごう」


手早く檸檬の荷物と救急箱を纏めて、檸檬の手を取って立たせ、部室へ向かった。



作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

もし良かったら☆やいいねをくれると嬉しいです!!


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