第7話:アイスと片割れとジャンケン
⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤<とあるグループチャット>⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤
『皆様方、こちらをどうぞ』
〘2024_07×○.mp4〙
『!?』
『!?』
『!?』
『まてーい! 何でその動画あるの!?』
『え? 撮ってたんですよ? 先輩居たじゃないですか?』
『気付いて無かったよ!? それどころじゃなくて!!』
『へー』
『ほー』
『ずるいですわ!』
『いやーまさかお兄ぃが、あんな大胆な事をするなんて……』
『いいなぁ……』
『今度やってみようかな……』
『え~檸檬ちゃん大胆だねぇ~』
『そ、そんな事無いよ!?』
『ほんとかなぁ~』
『そういえば、翔君。まだ包帯してたけど治ってないの?』
『あーお兄ぃ、薬塗るのサボって炎症起こしたみたいでして……』
『そうなの? 藍那ちゃん?』
『そーいえば、言うの忘れてましたー』
『それで、さっきも忘れそうになってて私がやったんですよ』
『翔はおっちょこちょいだねー』
『まったく~翔はそういう所あるよねぇ~』
『でも、大丈夫かな?』
『大丈夫ですよ、いざという時は私がやります!』
『そうだね、由愛ちゃん! 任せた』
『任せました~』
『お任せするよぉ~』
『そういえばちゃこさん、反応無いけど大丈夫かな?』
『既読はついてるね』
『せんぱーい?』
『どうしたのでしょうか?』
『ね~』
『恥ずか死んでました……』
『それでちゃこ先輩、あの後アイス食べたんですか?』
『!?!!?!?!?!?』
『どうなんですか!?』
『食べたんですか!?』
『わくわく』
『たべた……』
『(*ノωノ)キャー』
『(*/ω\*)きゃー』
『どうでした? 美味しかったですか?』
『うん。まぁ、元々好きなアイスだったし……』
『へぇー』
『へー』
『へぇ~』
『今度皆で食べに行きませんか? 私こんびにのアイスは食べた事が無くて……』
『そうなの!?』
『もったいない……』
『おいしいのにねぇ~』
『明日とかどう? 檸檬ちゃんの部活も休みだったよね? 私は明日は午前の必修しか取ってないし、それにバイトは穴埋めの三時間だけだから、用事が無ければ皆で買って食べようか?』
『私は大丈夫です!』
『私も大丈夫だよ~』
『はい、明日業者が入って一日休みなので大丈夫です』
『わたしもぉ~大丈夫だよぉ~』
『私も大丈夫です♪ 我が家のアイスもお持ちしますね♪』
『お嬢様の家のアイス……ゴクリ……』
『凄く高級そうだね……ゴクリ……』
『でも食べてみたいなぁ……ゴクリ……』
『そ~だねぇ~ゴクリ……』
『あっ、それと皆様……あるのもは持ってらっしゃいますか?』
『あるもの?』
『何ですか? 藍那先輩』
『えへへ~それはですね~』
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◇◆◇◆◇◆◇◆
「つまり、藍那が『コンビニアイスを食べた事が無いから食べてみよう』って事でウチに集まったんだな?」
「そうだよお兄ぃ、聞いて無かったの?」
ホームルームの終了後、皆急いでると思ったらウチに来てた様で玄関に見覚えのある靴が大量に置いてあった。挨拶の為にリビングにへ入ると真白・檸檬・蕾・藍那・ちゃこ先輩がソファーの周りに集まっていた。
因みに全く知らない俺は、みんな居ないしせっかくだからと漫画の新刊を買いに行ってた。
「初耳だ、それとこの大量のアイスは由愛が買って来たのか?」
「それは私達の奢り~」
「とはいってもちゃこ先輩がほとんど出してくれましたけどね」
「んでこの大きい箱は?」
「私の家から持ってまいりましたの~」
藍那が元気よく手を上げる。
「そうか……箱入りって。お中元のゼリーとかなら見た事あるけど、アイスって……」
「冷凍は大丈夫ですわ~鳴海がここまで冷凍車で運んできましたので~」
「そ、そうか……」
(冷凍車って……流石お嬢様だな)
「ともかく、冷凍ものだし最初の一個以外は冷凍庫にしまおうか……」
「そうだね。藍那ちゃん。最初に選んでいいですよ~」
「では、この翔さんが食べていたこのアイスで……」
(ん? 今何で俺が《《食べてた》》って知ってるんだ?)
「次は、ちゃこ先輩どうぞ」
「そうだねぇ……私はこれにしようかな~昨日見てて食べたくなっちゃった」
昨日由愛が食べていたチューブ型のアイスを取り出す。
「じゃー私はコレで」
檸檬がスーパーなカップアイスを選ぶ。
「私は~これにしようかなぁ~」
蕾は意外にもガリ〇リ君を選ぶ。
「私はこれで!」
由愛は昨日俺が奢ってもらったアイスを選ぶ
「わたしは……これにしようかな?」
真白はビスケットサンドを選んだ。
「それじゃあ佐伯君も、お一つどうぞ」
先輩が指差したテーブルの上には先程皆が選んだのと同じものが、もう一つづつ置いてあった。
「良いんですか? それじゃお言葉に甘えて……」
「「「「「じーーーーーっつ」」」」」
何で皆そんなに人がアイス選んでるとこ見てるんだよ……。
少しの気まずさを感じつつ。その中から食べやすいチューブアイスを選ぶ、漫画を読みつつ寝転がって食べれるものを選んだ。
「それと。これ半分で良いから。それじゃあ俺は部屋で漫画を読んでるから! 由愛ちゃんと残りのアイスしまっとけよ」
「はーい」
そうして俺は半分にしたアイスを持って自室へ行った。
一方、翔が部屋に戻ったのを全員が見届けた頃。リビングでは、翔の残した片割れ争奪の壮絶なジャンケン大会が行われているのであった。
作者です。
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