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第6話:妹とアイスと一口を。

蒸し暑い中、由愛ゆめと一緒にコンビニへ向かって歩く。


「そういえばお兄ぃ、まだ包帯取れないの?」


「あー傷口が少し炎症起こしてて薬塗ってガーゼと包帯で留めてるんだ」


「あーお兄ぃ学校から帰って来た後勉強してて、寝落ちしたりして翌朝慌ててシャワー浴びてたりしてもんね……」


「まぁそれが全部の原因って訳じゃ無いけど……薬の塗るのめんどくさがったりしたから」


「十中八九それが原因では?」


「うっ……返す言葉もない……」


まぁそうなのだ、薬を塗るのが面倒だったのもあるし予習復習してから寝落ちてたりと適当に傷を放置してたのが原因だ。


「全く……そんなんだと、ちゃこさんがまた心配するよ?」


「面目ない……今日はシフトじゃ無ければ良いんだけどなぁ……」


そんな事を呟いているとコンビニに到着した。


「私はどれにしようかなぁ~」


「高いのはやめろ、流石にそこまでは出してやらんぞ」


「ぶーぶー!」


「お前、人の食っといてそれは無いだろ」


「仕方ないなぁ……」


そう言って由愛は二人分に出来るコーヒーアイスを選んだ。


「母さんはいつものヤツだから、俺はどうするかなぁ……」


「悩んでるならこれがオススメだよー」


背後から手が伸びてきて少し高めのソフトアイスを指差す。


「ちゃこ先輩……驚かさないで下さいよ……」


ニコニコとした顔のちゃこ先輩がいつの間にか立っていた。


「それ、最近出たんだけど美味しいよ~」


「そうなんですか? じゃあこれにしようかな……」


「それじゃあ、ここはおねーさんが奢ってあげるよー」


ぱっと取った二人分のアイスを持ってレジに向かう。


「家族の分もあるんだけどなぁ……まぁ残りの分を買うか」


それから由愛の分だけレジで会計を済ませ、立ち読みしている由愛へ声を掛ける。


「おーい由愛、買ったぞー」


「はーい」


雑誌を本棚に戻し二人で外に出るとちゃこ先輩が待っていた


「あ、由愛ちゃんもいたんだ。ごめんね、アイス佐伯君の分しか買って無いよぉ~」


「えーお兄ぃずるいぃ~」


「ほら、買ってやっただろ。これで我慢しな」


由愛が買ったアイスを取り出して渡す、ぶーぶー言いながらも早速パッケージを開けて揉みだす。


「ほい、佐伯君はこれね」


「ありがとうございます先輩」


「あーお兄ぃそれプレミアムな奴じゃん!」


もたれかかって来る、夜とはいえ蒸し暑いので鬱陶しい。


「えぇい! 一口やるから離れろ!」


「やたー。はい、あーん」


大口を開けて最速する由愛の口に蓋を開けたアイスをぶち込む。


「あqwせdrftgyふじこlp」


急にアイスを口に突っ込まれたせいか顔をしかめる由愛


「ぷはぁ! お兄ぃ強引すぎ! あいててて……」


「その手に持ってるアイスを額に当たると痛くなくなるぞ」


「うぅ……お兄ぃめ……」


お返しとばかりにげしげしと足を蹴って来る由愛、地味に痛いからやめてくれ。


「悪かったって。ほら、食べな」


今度は普通に差し出すと、アイスにぱくつく由愛。


「ふんっ!」


豪快に3分の2程、口で抉り取っていった。


「おまっ、食い過ぎだろ!」


「へへーん! 食べたもん勝ちだもんね! うぁいたぁ!?」


再度頭痛が来たのか慌ててアイスを額に当てる由愛。


「はぁ……欲張らなかったらもう一口やったのに……」


「うぐぐ……」


「あははは~相変わらず仲いいねぇ~」


さっきから見ていたちゃこ先輩が笑いだしたので、一時停戦とする。


「ほらほら由愛ちゃん私の分も少し食べていーよ」


そう言って食べているアイスを、由愛の目の前に差し出すちゃこ先輩。


「流石にちょっと食べ過ぎなんでお兄ぃにあげて下さい、私が食べ過ぎちゃったので……」


「はっ?」「えっ?」


つい顔を見合わせて固まる俺とちゃこ先輩。


「ほらほらお兄ぃ~、早く食べないと溶けちゃうよ~」


悪い顔をした由愛がニヤニヤと笑う、するとちゃこ先輩の顔がみるみるうちに赤くなる。


「いやいや、俺は大丈夫だからな? ちゃこ先輩と同じもの買ってるし」


まぁちょびっとしか無いけどさ。


「え~そんな理由でお兄ぃは日和るのかなぁ~ざぁこざぁこ♪」


更に輪をかけて煽って来る由愛、というかどこからそんなメスガキな言い方仕入れたんだよ……。


「ざぁこざぁこ♪ 童貞、陰キャ~」


「ゆ、由愛ちゃん!? 何言ってるの!?」


「え~お兄ぃがヘタレてるのがいけないんじゃないですかぁ~」


いや、その煽りの結果ちゃこ先輩が被弾してるっぽいんだけど、それと流石に先輩の食べるとかちょっと申し訳ない気がするんだよなぁ、いや奢られてるからこの手に持ってるアイスも先輩の物な気がしないでもないけど。


(というか、メスガキ台詞とかゲームとかで言われるとムカつかないけど、由愛に言われるとなんかムカつくな……)


「わかった、先輩一口下さい」


「おぉ~」


「ふぇ!? ななな何言ってるの!?」


「いや、由愛に煽られるのが若干ムカついたので、先輩お願いします」


「うぅ………………わかった……」


少し悩んだ先輩が、若干ぷるぷるしながら差し出してくる。


「まぁ野良犬に食べられたと思って下さい」


先輩の震える手を支えてアイスをパクっと食べる。


「うわっ、なにこれ濃厚で美味すぎる……」


舌に残る濃厚なミルクの味と、香りのいいバニラが口内に広がる、後でもう一個買って帰ろう。


「ありがとうございます先輩、こんな美味いアイスを教えてくれて」


「アァ……ウン。ヨカッタヨー」


シェアに慣れてないであろう先輩は顔を赤くしてカタコトになっている。


「むふふ~面白いものが撮れたなぁ~お母さんに送ろうっと……」


ニヤニヤしながらスマホを操作する由愛いつの間にか録画していた動画を送っている、まぁ家族内なら……どうせ見せて回るだろうから止めても無駄だろう。


「外の人には見せるなよ、ちゃこ先輩に迷惑かかるからな」


「はーい!」


「返事だけは一人前なんだよなぁ……」


すると、固まってた先輩が動き出す。


「アハハ、コンナジカンダー! ハヤクカエラナイトー、オヤスミ!!」


「え? あっはい。気を付けて帰って下さい」「ばいばーい」


そう言うと、慌てながら走って行ってしまった。


「ともかく、残り食べるか」「そだねー」


手の熱でそこそこ溶けてしまってるアイスを啜りながら食べるのであった。

作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

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