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第5話:傷の具合とアイス

いや…どうしてこうなったんでしょうか?


手術室で、半裸で拘束された俺が宇宙猫になってるとすごく偉そうなおじさんが出てきた。


「この度、佐伯様の抜糸を行わせていただきます院長の桐生きりゅうと申します」


恭しく看護師さん共々お辞儀された。


「あのーなんで俺こんな事に?」


「久凪お嬢様のご指示ですので……」


「藍那ぁ……」


今は姿の見えないお嬢様のとんでもパワーに驚かされる。


「そんなに必要ないんじゃないですか?」


「傷の具合と、縫合後を見て、なるべく痕の残らない様にさせていただきますので。少しの間我慢して下さい。というか適当にやったら私の首が飛びますので大人しくしていて下さい……」


涙目の桐生さんに言われ、そのまま元の位置に戻る。


「なんかすみません、友達が……」


「滅相も無い、お嬢様に救って頂きました私達ですから、全力でやらせていただきます!」


そう言って看護師さん達が丁寧に包帯を外していく。


「佐伯様、薬は毎日お塗になられましたか?」


「あーお風呂に入った後だけですね……」


「そうですか……少し傷口が盛り上がってますね、処置された方は凄く縫合などが上手なお方だ、ただこのままですと少し炎症を起こしてますので処置さていただきますね」


そこからは手際よく処置され、別室に移り薬とガーゼを手渡された。


「毎日取り換えてくれて大丈夫ですので、清潔にして下さい、痒みや痛みが出たら再度こちらへ来てください。これが診察券です」


そう言って塗り薬とガーゼや包帯が手渡された。


「わかりました、注意する事はありますか?」



「一応2週間分あります、これからひと月は様子見をしますので2週間経ったら病院に来てください。こちらが私の名刺になります、そちらを受付に出していただいて、佐伯様のお名前をお伝えください」


「えっとその時の料金はどのくらいになりますか? 両親に伝えたいと思いますので」


すると桐生さんは顔を青くする。


「いえ……お嬢様のご友人からお代はいただけません……そんな事をしたら私、怒られてしまいます……」


「えぇ……」


「では、お嬢様がお待ちですのでこちらへどうぞ……」


そう言って桐生さんに連れられ応接室の様な場所へ連れて行かれた。


「翔さん!」


扉を開けると藍那が心配そうな顔で待っていた。


「藍那、待っててくれたんだ」


「えぇ、心配でしたので……」


「いや、糸抜くだけだからね? 重大な病気とかじゃないよ?」


「それでもです! 傷が化膿して腕が駄目になっていたらとか考えてしまいまして……」


「流石にそこまではならないよ!?」


「でも包帯してるじゃないですか……」


藍那の視線が巻いてある包帯へと向く。


「あーそれは……俺が横着して薬塗り忘れたから……」


バツが悪そうに答えると藍那がジト目になる、初めて見たんだけど……。


「翔さん? どういうことですか? 傷が残ると皆に嫌な思いをさせるとか言っていたのに……」


「うっ……すみませんでした……」


「まぁまぁ久凪様、佐伯様も慣れない片腕生活で大変だったのでしょう、幸いにも週末で夏休みに入るとの事。そうすれば療養には向いていますので……」


「そうですね、くれぐれも無理しないでくださいね……」


桐生さんが助け船を出してくれ、藍那も納得した様だ。


「お嬢様、お車の準備が出来ました」


鳴海さんが入って来て車の準備が終わったとの事だ。


「そ、それじゃあ行こうか藍那! ありがとうございました桐生さん!」


追撃から逃げる様に藍那に声を掛けると、渋々と言った様子で立ち上がった。


「それでは桐生さん、本日はありがとうございました」


「いえ、お嬢様のお役に立てて光栄です」


そうして藍那の家の車に乗せられ、自宅まで送り届けられた。


◇◆◇◆◇◆◇◆

そうして家に帰ると食事とお風呂を終える。


「あれ? そう言えばアイスが無い……」


昨日買っておいたアイスを食べようと冷凍庫を覗くと入っていなかった。


「そう言えばさっき由愛が漁ってたわね」


母さんが思い出した様に伝えて来る。


「ふぅ~おいしかっ……あっ……」


丁度そのタイミングで、由愛がアイスのゴミを持って入って来た。


「由愛……お前なぁ……」


「ゴメン! お兄ぃのが美味しそうで……」


バツが悪そうな顔をし謝る由愛、そんな顔するなら最初から食べなきゃいいのに……。


「はぁ……仕方ない買って来るか……」


「お兄ぃ、私も行く!」


「良いけど、自分の分くらい自分で買えよ?」


「え~ケチぃ~」


「なぜ自分の食われて、それを買いに行くのに。食った相手の分買ってやらなきゃいけないんだ……」


「え~そこは懐の大きさを是非!」


「そう言うのは母さんに言え」


「うぅ……おかぁさ~ん」


母さんに抱き付きながら甘える由愛、何だかんだ甘いからアイス代位はくれるだろう。


「良いじゃない翔、出してあげなさいな」


「うっ……まぁ仕方ない、一つだけだぞ……」


「わーい! やった~!」


「じゃあ母さんの分も買ってきてね、ガリ〇リ君で良いから」


「はいはい、わかったよ~」


「それと、二人共遅くならない様にね」


「「は~い」」

作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

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