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第4話:藍那という少女

「なぁ藍那、どういった状況か説明してほしい……」


藍那の家の車に簀巻きの状態で乗せられていた。


「翔さんの事が心配でしたので拉致させていただきました~」


授業が終わり下駄箱を出たところでセキュリティに麻袋を頭に被せられ簀巻きのまま車に詰め込まれた、麻袋が取られた際に見えたのは真白と蕾が窓の外から手を振っていた光景だ。


(あの二人大丈夫かな?)


「あのお二人でしたら、我が家のセキュリティ達が送りますので大丈夫ですわ」


恐るべきお嬢様パワーである。


「そうか、わかった……とりあえずこの簀巻きの状態を外してくれると嬉しいんだけど」


「逃げません?」


「いや、車走ってるし。ここで降りても学校というか駅から離れてる分、戻るのも面倒だし、大人しく連れて行かれるよ……」


そう言うと、藍那がどこからかごついナイフを取り出してロープを切っていく。


「何そのごついナイフ……」


「これですか? 護身術を習う元特殊部隊の先生からいただきましたの」


「さいですか……」


なんか昔の人生で見た『ヤンデレの女の子に〇ぬほど愛されて眠れない』って名前のCDカバーイラストみたいになってるんだけど、その先生なんか間違った事教えてないかな……。


「翔さん何かお飲みになりますか?」


「いや、大丈夫だよ。鞄に飲みかけのペットボトル入ってるから」


そう言って鞄を開けるが、飲み物は入ってなかった。


「あれ? もしかして教室に忘れたかな?」


「そうなんですか? でしたら何かお飲みになって下さい」


そう言ってメニュー表を渡してくる、なんかコーラばかりなんだけど……。


「なんかコーラばかりだね……」


「えぇ、わたくしの好きな飲み物ですので」


「そう言えば何でコーラが好きなの?」


そう聞くと少し恥ずかしそうにして、藍那が語り出した。


「昔幼い時に、母の仕事の付き添いでファッションショーに赴いたんです。その際にパーティーが嫌で抜け出して探検まがいな事をしていたんです」


「あーなんとなくわかる……親がずっと他人と話したり、商談してるから嫌になるんだよね」


「そうなんです! それが嫌で回っていたら喉が渇いてしまったんです、初夏の時期だったのもあり子供には辛いものでした」


「あーその時に飲んで好きになったんだな?」


「そうです! 正確にはその時に出会った女の子と飲んだのが衝撃的だったのですが……」


「まぁ、喉乾いたとこに流し込む冷たいコーラは最高だもんなぁ……」


「あの時はまるで砂漠にオアシスを見つけた時の様な気持ちでしたわ♪」


「あはは……大げさだなぁ……」


「むぅ……子供には過酷だったんです」


そう言ってむくれる藍那。


(うーん、すっごい思い当たるし。バレたくないな……その女の子が俺だってこと……)


あの時は身長も小さく、顔も童顔だった為。母に女の子用のモデルとして扱われていた。


(そうか……あの時の女の子は藍那だったのか、凄い美人になってるから気付かなかったな)


「どうしたました翔さん? 私の顔を見つめて?」


少し頬を赤くした藍那が身をよじる。


「いや、そんなお嬢様がコーラジャンキーに変化してたら当時の子もびっくりするだろうなと思ってね」


「むぅ……酷いです!」


藍那がむくれてそっぽ向いてしまった。


「あはは、ゴメンゴメン。それで藍那お勧めのコーラはどれなの?」


改めてメニュー表を差し出して聞くと、膨れていた藍那が水を得た魚の様に喜色を見せる。


「それでしたらこちらですわ、シナモンの香りが良いのですが、シロップの甘味とカラメルの苦みも絶妙なのです!」


そう言って車載の冷蔵庫から瓶コーラを出してきた。


「どうぞ、翔さん♪」


受け取って飲むと、確かに強めのシナモンの香りに甘みとカラメルの苦みが来る、だが嫌な苦みでは無くすっきりとした苦みが良い感じの調和をしてる。


「うん、美味しいね」


「ですよね! わかっていただけて嬉しいです!」


思わず詰め寄られ仰け反る、目がめっちゃキラキラしてる!!


「ちょちょちょ!? 藍那近い!」


「お父様はわかっていただけないし! お母様はそもそも飲みませんし! 鳴海はおためごかしで合わせるだけですし……」


「お嬢様!?」


運転している鳴海さんは藍那の発言に悲鳴を上げてこちらを見ている。


というか前見て運転してください、滅茶苦茶な速度で走ってるのに!


「大丈夫です自動運転ですので」


「いやいやそれでも前見て下さいよ!!」


「仕方ないですね……」


(忘れてたけどこの時代、まだ自動運転なんて実用化されてないんじゃ……)


うん、考えるの止めよう!!


それから、他愛のない話をしているとすごく大きな病院に到着した。


「では、着きましたね♪」


藍那が降りると、お医者さんがズラリと並んでいた。


「「「久凪姫、本日はどうもありがとうございます!!」」」


「はい、皆様お待たせしてしまい申し訳ございません」


「「「いえ! 時間丁度です!」」」


なんだこの非現実的な光景は……。


「では参りましょう、翔さん」


俺と藍那が歩き始めると後ろのお医者さんがついて来る、なんだこの光景は〇い巨塔か……。


「お嬢様は片手間に投資を行っておりまして、この病院が危機的状況になった際に立て直しを行ったのです」


鳴海さんがこっそりと耳打ちしてきた。


「へぇ……凄いですね」


「そうでも無いですよ、他にも海外の会社等を数社持っております。久凪家の資産の3分の1はお嬢様個人の資産ですからね……」


「相当な金額ですよねそれ……」


「えぇ、かなり凄いですね」


そんな事を話していると、藍那が振り返った。

作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

もし良かったら☆やいいねをくれると嬉しいです!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 最新話まで一気読みしましたが、催眠術を全然使わないのでタイトル負けしてるように感じます。 設定自体は面白そうなのにそこが食い違ってて残念でした。
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