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第33話:体育祭④【紅白リレー】

体育祭も最終競技の男女混合紅白リレーの時間がやって来た。


「やばい……吐きそう……」


本来ならば俺が出る予定は無かったのだが……出場予定メンバーの一人が直前に怪我をしてしまい俺に回って来たのだった。


目の前でバトンを受け取りほぼ同時に駆け出す男子二人。


男子は200メートルを。次に女子が100mづつ走る。


緊張しつつ眺めていると男子からバトンが手渡され一人目の女子に渡されるそして二人目の女子に手渡されればすぐにでも俺の番だ……。


緊張でじんわりと汗をかく……少しだけ白組のが速い、これなら俺でも走れそうだ。


それに、前走者は檸檬だ、見知らぬ人より息は合わせやすいだろう。


「檸檬ちゃーん!! がんばれ~!!」


「檸檬ちゃ~ん ふぁいとぉ~」


「檸檬さんがんばって~!」


皆が声を上げる、そして檸檬にバトンが手渡される。


「——っつ!!」


少し早めに受け取った檸檬が距離を開いていく、事はなかった。


「frvぴゅぐjkm!!」


由愛の謎の悲鳴を上げ、一拍遅れた女子達の悲鳴が上がる。


靴紐なのか、はたまた地面の窪みなのか……テイクオーバーゾーンに入る直前、運悪く足がもつれてしまった檸檬が派手に転んでしまう。


「檸檬!?」


その間にも追い抜かした紅組がバトンを受け渡す。


実況が何にか言ってるが耳に入らない、逆方向へ駆け出しゾーンの入口へ。


それと同時に立ち上がった檸檬が足を引きずりこちらへ来る。


「ごめん……」


「任せろ」


目に大粒の涙を浮かべた檸檬からバトンを受け取り走り出す。


かといって超高速の超人スーパーヒーローな訳でも無い……。


だけどあんな顔見せられて、ここで本気にならなきゃ檸檬の友達じゃない!


(練習を思い出せ! 出来るはずだ! 俺は《《速く走れる》》!)


脚を上げる! 


腕を振る!


一歩、一歩、しっかりと身体を前に送る!


「翔くん!! 頑張れ!!」


「しょ~! がんばれ~!」


「翔さん! ファイト~」


「翔! 行けぇ!!」


「佐伯君! 頑張れ!」


次々に友達やクラスメイトが声を掛けてくれる。


そして前を走る選手の背を捉える。


肺が酸素を求め、息が荒れる。


気付けば150メートルの間にかなり距離を詰めていた。


(あと! もう少し!)


トップスピードが不思議と維持出来ていたが、テイクオーバーゾーンに入り限界が来たのか失速した。


「っつ!!!」


最後のひと絞りでバトンをパスする。


「ナイスラン!」


そう言って女子の先輩が走り出した。


走り終えた走者の場所に向かい、崩れる様にその場に座り込む。


「——がはっ! げほっ! げほっ!」


あれた呼吸でむせてしまうがなんとか落ち着いてくる。


「——はぁ——はぁ…………はぁ」


大分時間を使い息を整え顔を上げると、レースはアンカーの順番になっていて、3年生の男子同士でデッドヒートが行われていた。


「そうだ……檸檬は?」


周りを見回してやっと気づく、救護テントにその姿があった、ちゃっかり由愛も一緒にいる。


状態としては擦りむいたであろう場所に絆創膏が貼られ、足首を氷嚢ひょうのう冷やしている。


こちらに気付いたようで、手を振ると振り返してきた。


そんな事をしているとアンカーが走り終えた。


『今! 両者ゴール! 買ったのは白組です! 転倒した選手も居ましたが、その後の挽回、そして逆転! とてもドラマチックでした!』


そして、その後リレーの点数が加算され、白組の優勝が決まった。


その後雨音に支えられ、膝がガクガクになりながら更衣室へ向かい着替える、終わりのホームルーム迄時間があるので、飲み物を買ってクラスへ向かう。


クラスへ入ると先に着替え終えた男女の視線が向く。


「佐伯君! お疲れさま!」


その言葉を皮切りに、クラスの中から沢山の声が届く。


「いやー凄かった! あの走りで帰宅部なんて信じられないよ!」


「そうそう、元々早かったけど、かなり早くてびっくりした!」


「カッコ良かったよね~」「「ね~」」


口々に皆が褒めちぎる、すごくこそばゆい。


「いやぁ……それ位にしてくれると嬉しいんだが……」


「何言ってるんだ? 白組の勝利が確定したのもお前のお陰だぞ?」


気付いたら隣から離れいつの間にか囃し立てる側に回っている雨音。


「でも、借り物競争の時も凄かったよな……」


「ね~ 意外と男らしく女の子持ち上げて走るんだもん!」


「「「キャー!」」」


「あの……それ位にしてもらえると……」


困惑していると、檸檬の影が見えない事に気付く。


「って、それより檸檬は?」


クラスメイトの女子に声を掛けると一緒にいた他の子が教えてくれた。


「柊さんは保健室に行ってるよ~」


「え? 大丈夫なのかな?」


「うん、大丈夫みたい。今は固定するのにテーピング巻きに行ってるって」


「それなら良かった、ありがとう」


それから席に戻ると担任の先生が入って来た。


「はーい座れ、座れ~」


「「「「「はーい!」」」」」


そして簡単な連絡事項(明日の代休や再来週の中間テスト等)が伝えられホームルームは終了となった。


「柊は今保健室に居るから、後で誰か伝えといてくれ~」


「わかりました。同じ部活ですし、伝えておきますわ」


「頼んだ、弓場」


そして次々とクラスメイトが帰っていく、打ち上げは明日やる事になった。


作者です。

本日も読んでいただきありがとうございます!

もし良かったら☆やいいねをくれると嬉しいです!!


連日の2万PV、及び評価ポイントありがとうございます!

お陰で現実恋愛ランキングの日間最高2位、週刊最高9位まで来ました!

本当に感謝しかありません!!


それと、カクヨム版に行っていただけてる方もいるみたいですのでそちらでもPVや☆を貰えて感謝しか無いです!!


書籍化したいなぁ……(ボソッ

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