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第32話:体育祭③【借り物競争】

『さぁやってきました! 借り物競争! 実況は放送部山田と実行委員の山本君に来ていただきました!』


『よろしくお願いします!』


『選手の入場中にルールを説明します、今年の借り物競争は二つのお題ボックスからそれぞれ引いて、その両方を揃えてからゴールとなります。山本君どうしてこの様な形式にしたのですか?』



『えぇ、実は一つの借り物だけじゃお題の優劣が激しいので一つは【物】もう一つは【人】という形にしました』


『そうなのですね、確かに、物だけの場合お題での優劣が激しいですからね、ですがそれだと二つ目のお題があっても有利なってしまうのでは?』


『そこは対策済みです! 順位によってお題に難易度を設けています、ですので一つ目のお題が早く見つけられても有利とは限らないようにしました!』


『成程、一つ目のお題で出遅れても逆転の目があるという事ですね!』


『はい!』


『では第一レースまもなく開始します! 第一走者の皆様はスタートライン集まって下さい!』


司会の放送部の人に促され俺のクラスのもう一人、遠藤君がスタートに付く。


「遠藤君! ファイト!」


「うぅ……胃が痛いよ……」


『それでは位置について! よーい! ————ピーッ!!』


スタートの電子音が鳴り走り出す遠藤君、早速お題ボックスから紙を引いて走り出す。


すぐ見つかったのか、それほど時間もかからず、写真部のカメラを借り受けて走っている。


そうして二つ目のお題ボックスから封筒を引いて、凍り付いた。


『あぁーっと!! 一番でお題箱に到着した白組男子固まったぁ!!』


『クセのあるお題ですからね……どう解決するか楽しみです』


ほんの10秒程固まっていた遠藤君は備品置き場に走り大きな台車を押してきた。


「女子二人と男子二人手伝ってくれ!」


どうやらお題で必要な様だ。


そして女子二人を乗せた台車を男子3人で運ぶ、台車自体が重いせいか細身の女子二人でもスピードは遅い。


『あぁっと! ここで赤チームの一輪車に乗った男子と白組の台車チームが同時にゴール!! 判定に移ります!!』


判定の結果は両チーム共満たしていたので同着で1位となった。


(見てて面白そうだけど……やる側地獄じゃね?)


そしてそれから次々とレースが行われ、男子で抱き合ってゴールや4人騎馬でゴールなどのとんでもお題が次々と出てくる。


『では第14レースの選手の方準備してください!』


順番が回って来たのでスタートラインに着く。


『それでは位置について! よーい! ————ピーッ!!』


「「「「「わああああああ!!」」」」」



盛り上がって来た会場が湧き立つ、クラスの皆も声援を送ってくれている。


「まず一つ目のお題は……」


『放送部のマイク』


すかさず放送席に走り出す。


「山本! 放送部のマイクがお題なんだ!」


「おう! 佐伯君! こいつを持って行け!」


遠くから声を掛けると、応じた山本君が傍らにあったマイクを投げて来る。


「おわっ!? いきなり投げるな!」


「すまんすまん頑張ってくれ!!」


「ありがとう!」


そして問題の第二お題ボックスへ到着した。


今残っているのは4つの封筒だった。


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①可愛らしいピンクの封筒

②綺麗な青色の封筒

③無地の白い封筒

④水引付き封筒

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「鬼が出るか蛇が出るか……」


残り少ない封筒の中から《《白い封筒》》を引いて開く、そこに書いてあったお題は……。


『身長150cm以下の女子をお姫様抱っこしてゴールせよ』


「——は……?」


『あぁ~っと! 白組の選手固まったぁ!!』


『いったいどんなお題を引いたんでしょうね……』


(身長150cmって檸檬?いや確かギリ160とか言ってたな……すると蕾?)


すかさず観客席の元に走る。


「——いた!! 蕾!」


そう叫ぶと蕾が寄って来る。


「ど~したのぉ~?」


「蕾って身長幾つだっけ?」


「ん~148せんちだよぉ~」


「良かった、いきなりゴメン!」


蕾の返答を聞いて、そのままお姫様抱っこで持ち上げる。


「「「「「おおおおおおおおおおお!!」」」」」


「「「「「きゃーーーーーーー!!」」」」」


『あぁ~っと!! 白組男子! 同じ白組の女子をお姫様抱っこしてるぞ~!!』


周囲の男女の驚きの声と黄色良い声が響く。


「わわっ~どうしたのぉ~」


「すまん! お題がお姫様抱っこだから! 我慢してくれ!」


「わかったよぉ~ じゃあ掴まらないとねぇ~」


そう言って顔を赤くして抱き付いてくる蕾、制汗スプレーの香りに少し甘い匂いが混じる、そして響き渡る黄色い声。


『あぁっと! 白組男子! 快速だ! 快速でゴーーーール!!』


その後、係りにの人に確認してもらいOKが出たので1位でのゴールとなった。


(それにしてもこのお題を考えた奴に説教したいな……)


「おつかれ~しょ~は凄く速かったなぁ~」


「そうか? 蕾が軽いからね」


「そっか~ じゃあこのまま席まで送ってくれぇ~」


そう言いながら服を掴んでくる蕾。


「あの、蕾さん? 降りるという選択肢は?」


「えぇ~せっかくだからぁ~もう少し楽させてぇ~」


「……ふぅ、仕方ないな……」


抱え直してそのまま席まで歩いて行った。


作者です。

今回主人公が選んだ封筒ですが、カクヨムでの連載時にアンケートを取った結果に則りました。


本日も読んでいただきありがとうございます!

もし良かったら☆やいいねをくれると嬉しいです!!

活力になるので!!

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