第22話:遊園地へ行こう!①
最後に色々あったオリエンテーションが終わり、日課の真白と蕾の登校にも慣れてきた4月の終わり頃。
「遊園地?」
「そう、お父さんがチケット貰って来たのよ」
朝食の席で母さんが聞いてくる、父さんは会社の役員で、たまに付き合いから貰って来るので、家族で良く行ったりする。
「へぇ……」
「あんたいらないの?」
「くれるの?」
「いらなきゃ処分しようと思ってたからね」
そう言って手渡してくる母さん。
「そうか……って、このチケット来週の日曜までじゃん!」
「そうなのよ~なんでも他の役員さんの家族が行く予定だったんだけど。キャンセルになっちゃってね、せっかくだからと貰って来てくれたのよ」
そうか……じゃあ今朝の電車で真白達に話してみるか。
「ありがとう母さん、皆で行ってくるよ」
「はーい、それじゃあもう母さんも行くわね」
「はーい」
母さんを見送り、俺も出発する。
その間、メッセージアプリを立ち上げてグループへ写真と共に書き込む。
⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤<檸檬・真白・蕾……>⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤
『おはよー今日は皆に報告がある! これを見よ!!』
『おおお! これは!』
『ドリファンのチケット?』
『凄い……』
『この時期取れない所じゃない!』
『私も聞いた事あります、クラスの方が行くと言ってた所ですね』
『凄いねぇ~しかもゴールデンウイーク中のチケットだぁ~』
『でもどうしたの?』
『父さんが会社で貰って来た』
『いいなぁ~』
『それで、そのチケットがどうしたの?』
『実は団体チケットみたいで、皆で行こうと思ったんだけど、どうだろう?』
『それっていつだ?』
『一応、来週の日曜日まで』
『あーそれじゃあ俺と瞳は不参加で……』
『何かあるの?』
『それがね、毎年ウチの家族と雨音の家族で、一緒に旅行に行くのよ』
『そうなんだ~』
『だから、ゴールデンウィーク中は行けないのよ』
『そういう事なら仕方ないね……』
『そうだね~』
『残念です』
『仕方ないねぇ~』
『旅行なら仕方ないね』
『じゃあ雨音達の分、楽しもう!』
『おー!!』
『おー』
『おぉ~』
『お~!』
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そして約1週間後、俺達は【ドリーム・ファンタジア】通称【ドリファン】に来ていた。
「「「「わぁ~!!」」」」
園内は、夢の国といった見た目で、植木の一つからキャストの衣装までとことんにこだわっている。
「さて、どこから回る?」
きゃーきゃー言いながら写真をお城をバックに写真を撮っている女性陣に声を掛ける。
いつの間に付け耳カチューシャなんて買ってるのさ……。
「まずは! ジェットコースター!」
意外や意外真白がいの一番にジェットコースターを選ぶ。
「えー ファンシーエリアに行こうよ!」
反して檸檬は可愛い系のキャタクターがいっぱいいるエリアを。
「そうですね! そうですね! 私はネイチャーエリアが良いです!」
始めてみる鼻息の荒さで藍那が自然をテーマとしたエリアに行きたいという。
「私は~アナザーエリアがいいなぁ~」
蕾は想定通りで科学技術とかをモチーフにしたアトラクションが多いエリアを指差す。
見事にバラバラだな……。
「そうだなぁ……手前のエリアから回っていこうか」
「となると? まずは?」
「ネイチャーエリアだね」
園内マップを見ていた檸檬が答える。
「それじゃぁ~ しゅっぱ~つ」
「「「お~!」」」
テンション高いなぁ……。
そうしてまずは、ネイチャーエリアの有名なクルーズ船のアトラクションに乗り込む。
「わぁ! 可愛い!」
「そうだね、檸檬ちゃん」
「ね~」
「愛らしいですわね~」
前に座る檸檬たちが途中に出てくる動物(動く模型)に興奮している。
「翔さん? どうかなさいましたか?」
隣に座る藍那が顔を覗き込んでくる。
「あーいや、皆テンション高いなぁって……」
「ふふっ、そうですね。確かに皆様興奮されていらっしゃいますね」
緩やかに微笑みながら皆を見る藍那。
「藍那は初めてだっけ? 遊園地」
「いえ~何度か行ってはおりますが、《《お友達》》とは初めてですね~ですので非常に楽しいのです~」
「そうか、なら誘った甲斐があったな」
そう言うと、顔を赤くした藍那が別の方向を向く。
「わぁ~翔さん! あんな未知の動物までいらっしゃんるんですね~」
指差されてみると何故かイエティが居た。
「なんで砂漠にイエティが居るんだよ……」
「突然変異でしょうか?」
そこでそのツッコミが出てくるのは藍那らしいな……。
そうしてその後こんなんだったっけ? 的なUMAや動物が出てきたりして困惑したが皆は楽しんでいた様だ……。
「それじゃあ次は! ファンシーエリアだね!!」
いつも元気な檸檬が1.5割増しくらいの元気さで歩き出した。
作者です。
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