番外編@品評会7
私達はその後、あのケーキ屋さんでショコラショーとケーキを注文し、王都をブラブラした後ネモフィラ亭でご飯を一緒に食べてから解散した。
あれ、やっぱりデジャヴかな?
今回は宿もネモフィラ亭なので帰り道が無いのが唯一の違いかもしれない。
明日は最終発表が15時の予定なので14時にみんなと会場前で待ち合わせをしている。
絶対に入賞すると思うから、昼前に花屋さんに行って花束を買ってきておこう。
私はワクワクしながら明日のことを考えて、今日も寝不足になりそうだなと思った。
****
「社長!工場長!こっちです!こっちこっち!」
私は会場の前で向こうから歩いてくる2人を見つけてブンブン手を振りながら大声で叫んだ。
その声で私を見た2人はギョッとしたように慌ててこちらに走ってくる。
「あんまり大声で呼ぶなよ、恥ずかしい。」
「本当に。誰か騒がしい人がいると思ったらキヨコさんでびっくりしましたよ。」
2人に言われて少し恥ずかしくなった私は小さく体をすくめた。
「すみません。ちょっと興奮しちゃってて。」
いつもは工場で作業服の2人だが、今日はジャケットを着ていて、ビシッとして見える。
「2人ともいつもより3割り増しでカッコいいですね!」
と言うと少し呆れた顔で背中をポンポンと軽く叩かれた。
「落ち着け、落ち着け。」
「今からそんなに緊張してたら持ちませんよ。」
私の妙なテンションを緊張だと見抜いた2人は優しく声をかけてくれる。
そうなのだ。
実は朝からもう口から内臓が全部出そうなくらい緊張していた。
胸が押しつぶされそうで朝も昼も食べられていない。
ナムルさんは今日は1人で製作者控室で発表を待たなくてはならないそうだ。
入賞間違いない!と言う気持ちと、もしダメだったらどうしよう…と言う気持ちが交互に飛び出てきて私のメンタルはボロボロだった。
社長と工場長と一緒に会場に入ると、結果発表があるからか昨日よりずっと人がたくさん来ている。
まだ時間もあったので3人で色々な作品を見て回ると、社長も工場長もさすが芸術に造詣が深いようでひとつひとつ色々と見るべきポイントや優れた点を私に説明してくれた。
やっぱり芸術作品は感性で受け止めるのももちろん大事だけど、見るべきポイントを抑えるとより広い視野を持って楽しく見る事ができるのだとしみじみ思う。
1人で来た時はそんなに時間もかからずに回り終えた会場だが、2人の説明を聞いていると時間が足りなく感じるほどだった。
ちょうどガラス工芸のブースに辿り着いたところで、会場がざわめき出して、奥の壇上に貫禄のあるオジサンが姿を見せた。
「えー、今回の品評会の結果発表を行います。今年はどの作品もオリジナリティに富んでいて、新たな試みをしている作品も多かったように思われます。
どれも甲乙付け難い出来でしたが、私達審査員で話し合い、僭越ながら順位をつけさせて頂きました。
それぞれの作品の総評につきましては、各個人へ後ほど文書にて送らせていただきます。」
ついに、きた。
結果発表…。
私は唾をごくりと飲み込んだ。
隣では工場長と社長もごくりごくりと音を鳴らした。




