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徒然異世界日記  作者: えつお
異世界のホームに戻ってきました
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番外編@品評会5

品評会予選開始から10日目の昼、私はナムルさんと工場長と社長の部屋で固唾を飲んで電話を見つめていた。

予定通りなら12時前後に予選の結果を電話で知らせると主催者から言われていたからだ。


多分一番緊張していなさそうなのがナムルさんだ。

自信があるからとかではなく、「予選までに作品を仕上げられるかどうかのプレッシャーが1番緊張してた」からだそうだ。


社長が居た堪れなくなった様子で水を飲もうとコップに手を伸ばした瞬間、電話がジリリリリとけたたましい音を上げた。

ビクッとした社長がコップを引っ掛けて水を撒き散らしながら電話に出る。


「はい、はい、…はい!」


頷きながら社長はこちらを向いて親指をグッと突き出した。

私達は各々手を挙げたりガッツポーズをして、社長が電話を買った瞬間に大声で叫んだ。


「「「うぉーーーーーーっっっ!!!!!」」」


この世界に来て1番大きな声を出したかもしれない。

私はもう喜びをどう表現したらいいのかわからなくて両手を万歳にしてその場で飛び跳ねながらクルクル回っていた。

社長はナムルさんと握手をしながらバンバン肩を叩いて健闘を讃え、工場長は椅子に座って腰をかがめ頭に手を置いて大きなため息をついていた。


「本選に出展出来るだけでかなり注目を浴びますから、もう入賞にこだわらなくてもきっとどんどん問い合わせが来ると思いますよ。」


工場長が気の抜けた顔でソファに身体を預けながら私達に言った。

工場長は責任感が強い人なので、品評会の話を自分がしてしまったのを重く受け止めてすごく心配してくれていたのだと今更ながらありがたく思う。


「社長も工場長も切子の技術はもう完璧ですし、これから忙しくなりますね!」


「まだまだだよ。そんなに簡単なもんじゃねぇよ。ナムルのに比べると俺たちのはまだお前のコップレベルだ。」


社長は嫌そうな顔で眉を顰めてそう言ったので私も眉を顰めて同じ顔を返しながら「それはまだまだですねぇ。」と言うと、社長が私にデコピンをかまし、それをきっかけにみんなが満面の笑顔になった。


その日の夜は工場のみんなでナムルさんの予選通過のお祝いと本選への激励の会が開かれた。

工場全体で仕事を調整してナムルさんの時間を作り応援してきたので、みんな本当に喜んでいて、今までにないくらいの盛り上がりを見せた。


ナムルさんは「なにかあったら困るから」と言う社長の言葉と共に翌日の列車で王都に向かわされることになった。しかも本選が終わるまで王都に滞在しろとの命令だ。

ちなみに今回は会社が経費で個室の列車と宿をとってくれるそうだ。

列車はやっぱり大部屋よりも個室の方がゆっくり出来るし、疲れも溜まりにくいだろうからよかったと思う。宿だって個人で10日も泊まるとかなりの出費になる。なかなかの大盤振る舞いはナムルさんに対する社長の粋な計らいなのだ。


私も1週間後に王都に向かうのが今から楽しみで仕方ない。

王都での祝賀会を夢見ながら少しふらつく足取りで家に帰ろうとした時、背後から声をかけられた。


「キヨコさん!」


振り返るとそこにはナムルさんが立っていて、私は改めてお祝いを伝えるためにナムルさんに向き直った。


「ナムルさん!この度は本当に本当にほんとうーに、おめでとうございます。」


150度くらいの角度で頭を下げた私を引き起こしながらナムルさんはちょっと屈んで顔を覗き込んだ。


「どうもありがとう。キヨコさんのおかげだよ。それよりキヨコさんふらついてるけど、大丈夫?酔ってる?」


「酔ってはいるけど大丈夫。」


ナムルさんは別にイケメンではない。

イケメンではないけれど、私の今気になっている人なのだ。

そんな人に顔を覗き込まれると流石にどきどきしてしまう。

私はさりげなく後ろに下がりながら、平静を装って背筋を伸ばした。


「ナムルさん、王都でまた会うの楽しみにしてます。ネモフィラ亭で祝勝会ですよ!」


「ありがとう。僕も楽しみにしてます。でもまずはキヨコさんを送らせてね?ふらふらしてて心配だから。」


「あ、ありがとうございます…」


こうして私は再びナムルさんに送られることになり、2人でゆっくりと話をしながら家までの道を歩いた。


ちなみに家に着いたらミイちゃんがすごくしつこくナムルさんとの関係を追求してきて寝かせてくれず、次の日は寝不足になりました。


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