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朝目覚めて私は昨日来ていた服に着替えた。
私が地面に沈んだ時、季節は4月だった、時間は5時くらいだった。
ちょうど桜が満開で、でも日が沈むと少し肌寒い。
その時の私の服装は黒の薄いカシミアのニットにカーディガンのアンサンブルと水色のコットンのワイドパンツ。
そして今、落ち着いてくるとなんか暑い。
すごく暑い気がする。
ミントグリーンの柔らかそうなカーテンをまとめ、窓を開けると生暖かい風が部屋の中に吹き込んできた。
「ミイちゃん、暑いけど今って夏なのかな?」
「ここは季節とかないよ。いっつもこのくらいの気温で気候なの。」
「そうかー。春夏秋冬がある気候はメリハリがあって好きなんだけど、25度くらいで固定されてればいいのにって思ったこともいっぱいあるから、そういう意味では願いが叶った感じなのかなー」
私はカーディガンを脱いで、もう一杯お茶を飲もうとやかんに水を入れて火にかけた。
が、火がつかない。
「ミイちゃん、ミイちゃん、火がつかなくなっちゃったよ。故障だよ。」
「魔力切れだよ。魔力入れたらまたつくよ。」
「魔力?」
ミイちゃんがいうには、この世界のエネルギー源はそれぞれが持っている魔力なのだそうだ。
ガスとか灯油とか電気の代わりに、自分の魔力を流し込んで機械を動かしたりするらしい。
だからドライヤーもコードレスだったのかと納得する。
生活に必要なくらいの魔力はみんな持っていて、たくさんの魔力を持っている人は工場などの大きな機械を動かす仕事に就くのだそうだ。
SDGsだけど人間が動力って原始的な気もする。
魔力を充填するのは結構簡単で、ミイちゃんがここだよって教えてくれた場所に人差し指を当てて30秒くらいじっとしてるだけ。
体調に変化もないし、どこか熱くなるとか、体の中を何かが流れるような感じは全くない。
それだけでガスコンロ?魔力コンロ?はまた火をつけてくれるようになった。
この魔力の充填は生活家電的なものなら1ヶ月に一度くらいでいいらしい。