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徒然異世界日記  作者: えつお
異世界のホームに戻ってきました
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翌日は病院お手伝いの日だった。

午前は外来診療や回診をして、午後からは簡単な手術が2件予定されている。


昼休憩の時に私はサンプルの人工血管と魔管をハッシ先生に手渡した。

サンプルなので長さは5センチほどで滅菌されて保存液に入った瓶に密閉されている。


ハッシ先生はそれを受け取ると早速瓶から取り出して、色々と確認を始めた。

手袋を着けてひとしきり触ったあとは、メスで切って断面を確認し、切ったものに針と糸を通して感触を確かめたりしている。


「縫い合わせるのは、拡大鏡がないと無理そうだなぁ。今日の手術の前にちょっと試してみようかな。キヨコさんも見たいよね?」


「見たいです!」


手術室に行き、ヘッドマウント型の拡大鏡を着けた先生が慣れた様子で切り離した人工血管を繋ぎ合わせていく。


「先生、手際いいですね。」


「たまに来る外傷で血管損傷はあるからね。指の血管とかは流石に細くて僕では無理だけど、このくらいの太さがあるならなんとかなるよ。」


今回持ってきている人工血管は直径2センチ、魔管は直径5ミリ程度だ。

そうは言っても管状の物を外側だけ縫い合わせていくのだから、すごい技術だと思うのだけれど。

ハッシ先生は繋げた物に水を通して漏れを確認したり、引っ張ったり曲げたりして強度を確認した後満足したように手を置いた。


「なるほどなるほど。よくできていると思うよ。これで魔力への耐久性が担保されているなら使える物になっていると思う。キヨコさん、頑張ったねぇ。」


「頑張ったのは研究室のみなさんですけど。血管はもう王都の病院で使うことが決まっているそうなのですが、魔管はまだ臨床で取り扱う予定はないみたいです。さすがに動物実験ができないのが痛いですね。」


「どうしても代替が聞かない状況で、本人と家族に十分納得してもらってから使うしかないだろうね。

初めてのもので絶対に安全だって言えるわけでもないし…

大人の魔管詰まりは詰まった部分を切り取って再度縫い合わせる方法が確立しているから、普通はそちらを選ぶからね。」


「そうですよね…使う必要がないのはいいことですけどね。」


「事故なんかで大きな欠損ができた時とかに使う可能性があるくらいかなぁ。」


そんな話をしながら私達は部屋を片付けて午後の手術の準備に取り掛かった。

午後の手術は膝の靭帯の断裂を繋ぐ手術と、手首の骨折のプレートを当てる手術だ。


この病院に来るようになってから、私は日本での手術麻酔の話をして、ハッシ先生も取り入れられるものは取り入れている。

ブロック注射は今まで全身麻酔でしていたものを局所麻酔でできるようになったのでとても便利だと喜んでいる。

逆にこの世界の全身麻酔は鎮痛、無動、鎮静に加えて魔力の制御もしなくてはならないので少し手間がかかる。魔力の制御をきちんとしないと、不随意の運動が出たり、中途の覚醒が起きやすくなるのだそうだ。

また、脊髄に魔管から魔力が流れ込んでいるので、脊椎麻酔や硬膜外麻酔など背骨周りに針を刺す麻酔は存在しないし、私も怖くてできない。

魔力のあるなしでの違いがこのように出るのは面白いと思う。人間の体は色々なものが作用しあって、複雑で繊細な作りだし、魔力という存在ももちろんその中に組み込まれているのだと実感する。

病院でのお手伝いは本当に勉強になっているしありがたい。


ハッシ先生には医者として病院で働くように勧められるが、今の私の目標はガラス職人なので丁重にお断りしている。

ちなみにまだガラス吹きは成功していない。

才能ないのかな…



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