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「そういえばリンドさんとミルヒさんはお祭り行ったんですか?」
「私は行ったよ!広場のパレードも見てたし。ミイちゃんとアオがクルクルしててすごく素敵だなって思ってたらアオが大きくなってびっくりしたよ!」
リンドさんがその時のことを思い出したのか、目をまん丸にしてアオを見つめた。
「ぼ、僕も見たかったです。ぱ、パレードは、さ、最終日に見る、よ、予定だったので、仕事、にい、行ってしまっていて。失敗、し、しました!」
「それは残念でしたね!すごかったんですよ〜。キラキラ、ピカーン、バーン!って感じて。」
「う、うぅ...」
がっくり肩を落としたミルヒさんの背中をリンドさんがバンバン叩いて、「まあ、飲んだ飲んだ」とグラスにワインを注ぐ。
ちなみにビール好きなアオはワインは好きじゃないそうだ。アルコールが良いって訳ではないらしい。
「食べてるかい?まだまだ料理はあるからね!」
女将さんがグツグツと煮だったアクアパッツァを鉄鍋ごと運んで来た。真ん中には小振の鯛が1尾丸ごとのっていて黄色いパプリカやミニトマト、イタリアンパセリが彩よく散らされている。
リンドさんが器用に魚の身をほぐして取り分けてくれた。
鯛や貝の旨みがギュッと詰まっていてスープにパンをつけて食べるとほっぺたが落ちてしまいそうなほど美味しい。
「ここの料理はなんでも美味しかったからイーサンに帰った後食べられないのが残念〜。」
ミイちゃんがスープをペロペロしながら言うとアオがウンウンと頷く。
「本当だよね。たまにこの料理食べるためだけに来ても良いかもね。」
「うん!」
「そうしよう!!」
「そんなに気に入ってくれて嬉しいな。うちはいつでも大歓迎だから、絶対にまた来てね。」
「リンドさんもイーサンに遊びに来てくださいね!」
「行く行く〜!」
「ミルヒさんもたまにはここに来て美味しいもの食べた方がいいですよ!仕事ばっかりじゃ不健康ですから。」
「ひ、1人で食事に行くのが、に、苦手で…」
「あら!私がいれば大丈夫じゃない?私、ほぼ毎日ここにいるもの。」
「り、り、リンドさんがそう、お、おっしゃってくださるのなら…」
「リンドさん、ミルヒさん仕事熱心なのは良いけど、すぐにご飯抜いたり徹夜したりするんですよ。時々注意してあげてくださいね。」
「あはは、任せといて〜!」
「さ、最近は、と、特別ですよ。き、キヨコさんが来てくれて、ぼ、僕も本当に、べ、勉強になりました。
や、やっぱり、新しい、し、視点というものが、非常に、じゅ、重要なんだな、と。
お、面白くなって、いろ、いろ、し、したいことがひ、閃いてしまって。」
「とんでもないです!私の思いつきみたいなモノを拾って形にして下さったのはミルヒさんですから。
やっぱり専門の人は考えが深くてすごいなあって、常々思ってました。私は研究者向きではないって身に沁みました。」
「そ、そ、そんなことないですよ!う、うちで働いて欲しいくらいです!」
「私からしてみるとキヨコさんもミルヒさんもすごいと思いますよ?私達が安心して暮らしていけてるのは、お二人のような存在があってこそだなって。
2人ともカッコいいです!」
「あ、あ、あ、ありがとうございます…」
ミルヒさんが真っ赤になってもじもじしている。
リンドさん可愛いもんね。
看板娘だよ。




