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しばらく舞台を中心に歌ったり踊ったりした後、パレードは広場を出て再び道を練り歩き始める。
パレードが去った広場は少し落ち着きを取り戻したものの、私はただ呆然とその場にへたり込んでいた。
「キヨコ〜!どうしたの?疲れちゃった?」
「ミイちゃん、アオが、アオが…」
「キヨコ、僕がどうしたの?」
白鳥になったアオが私の肩を嘴でつついた。
「えっ…」
「キヨコ?」
「アオがしゃべったーー!!??」
「えへへ。今までもずっとお話ししてたよ。やっと通じるようになって嬉しい!」
ツンツン、ツンツン
軽く突きながらミイちゃんと同じくらいの大きさになった青が可愛い声で話してくる。
精霊の進化唐突過ぎてマジ勘弁だからー!(2回目)
「はぁ…それにしてもアオ、すっかり真っ白になっちゃったね」
羽の内側の緑も無くなって本当に真っ白だ。
ミイちゃんと並ぶと白さが目に眩しい。
シロクマの毛って白じゃなくて透明なんだってっていうどうでも良い記憶が頭をよぎる。
現実逃避だ。
「大人になったからね!僕もキヨコといっぱいお話ししたかったから頑張っていそいで成長したんだよ!」
「そっか。アオとお話できるのは私も嬉しいよ。アオの仲良しの子供達もきっと喜ぶと思うよ。」
成長って頑張って出来るもんなのかな?
内面的なやつはいけそうだけど外観的なやつは気合いじゃ変わらないのでは…?
そんなことを考えながら、私はアオの頭をワシワシ撫でた。
大きくなって撫でごたえがあるわぁ。
ついでにミイちゃんの頭もワシワシ撫でた。
フワッフワだわぁ。
大きくなってもアオは可愛いアオだよね。
ミイちゃんだってもっと大きくなったとしても私は受け入れるよ!うん!
「キヨコ、大丈夫?」
ミイちゃんがまた心配そうに聞いてきた。
「うん。大丈夫!ちょっと、すごく、かなりびっくりしたけど、成長するのは良いことだもんね!お祝いしないとだね!!」
「うふふ。キヨコのそういうところ、好きよ。」
「お祝いしてくれるの!?嬉しいー!」
「明日で王都ともお別れだから、今日の夜は思いっきり奮発しちゃおうか。アオは何が食べたい?」
「ぼくねー、ビールが飲みたい!」
そうきたか…
たまにビールつついてたのはイタズラしてるのかと思ったけど飲んでたんだな。
そっちタイプだったか〜。
「よし!わかった!じゃあミイちゃんは何食べたい?」
「私ねー、ネモフィラ亭の定食がいいな!」
いつもの晩御飯と変わらないね…
私もネモフィラ亭のご飯好きだから良いけど。
「そう言えばさ、昔ミイちゃんがジャンバル王国の成り立ちについて話してくれたことあったじゃない?」
「うん。」
「その時に出てきた3枚の羽をくれた白い鳥って、アオのことなの?」
「アオであって、アオでないわね。」
「どういう事?」
「存在としてはアオなんだけど、アオそのものではないのよ。」
「難しいね。なんか哲学的だね。」
「ボクはアオだよー。」
「そうそう。そういう事なの。」
「どういう事なの?」
「そういう事だよ!」
うーむ。さっぱりわからん。
わかったのは今日の晩御飯はネモフィラ亭が良いんだって事だけだった。




