55
パレードは道を練り歩き、広場があればそこでしばらく留まって、を繰り返して進んでいくという事なので、いつも朝市が開かれている広場で場所取りをすることにした。
テントのない広場は空が広く、こんなに大きな広場だったのかと改めて気付かされる。
その大きな広場に沢山の人がひしめき合っていて、縁に出店が並んでいた。
お祭に出店と来れば日本人の血が騒ぐよね。
出店は綿飴やフランクフルト、かき氷などの食べ物以外にも、仮装用のお面や団扇を売っているところもあり、ヨーヨー釣りやくじ引きをしているところもあった。
まさに縁日と言った光景だが、どのお店の看板もカウンターも青く塗られて、ネモフィラの絵が描いてあったり、花が飾ってあったりする。
地面にもネモフィラの花びらが撒かれてまるで青い絨毯を敷いたようだ。
あの王立公園の王城を望むネモフィラの花畑の光景のように、世界が青く染まって見える。
アオにいちご飴、ミイちゃんにりんご飴、自分にはみかん飴を買った。この飴も青色をしている。
中の果物の色と飴の青色が混ざって一部茶色に見えなくもないけど、あえて触れないでおこう。
ミイちゃんもアオも手で掴んで食べ歩くのは無理なので、飴の持ち手の部分を取って渡してあげると、一口で咥え込んだ。
2人には大きかったようで、口からちょっとはみ出していてモゴモゴしているのが面白くて笑ってしまう。
しばらく格闘してようやく口の中に納めたが顔がベタベタになってしまっていた。
特にミイちゃんは毛が白いので口周りが真っ青になっているのが目立っている。
2人の顔をおしぼりで拭いていると、遠くの方から笛や太鼓の音が聞こえてきた。
パレードが近づいて来たようだ。
「ミイちゃん、アオ、これは出番が近いんじゃない!?と、どうしよう!?」
「落ち着いて、キヨコ。なんでキヨコが狼狽えてるのよ。私達は大丈夫。お祭りの音楽が導いてくれるの。」
「ピュルルッ」
「音楽が導いてくれるの?」
「あの音楽は、私達を動かす力があるの。
初代の頃から変わらない旋律。
私達にとっては従うべき命令のようにも聞こえる。」
ミイちゃんは遠くを見ながら、私の質問に答えているような独り言のような不思議な口調で呟いた。
きっと初代国王を思い出しているんだろう。
アオは惚けた顔で首を左右に傾げていた。
楽隊の音が近付き、人の数もどんどん増えて来たところで数人の男の人が広場の真ん中にロープを張ってスペースを作った。
ここにパレードが停まるのだろう。
奥の方で大きな歓声が上がり、ドォーンという太鼓の音と共に仮装した人達とともに大きな舞台が到着した。
青い花を模ったデコレーションケーキのような舞台の上にはティンカーベルのような仮装をした人達が2人と獣の耳や尻尾を付けた人達が3人(たぶん犬猫狐だ)、お姫様と王子様の格好をした人が1人ずつ、お互いに背中を合わせるように円になり踊っている。
その舞台を数十人の人が引っ張っているのだが、その人達は頭の天辺から爪先まで青と白の大きな鳥の羽で飾られている。
その後ろに楽隊が連なっていて、太鼓や笛や管楽器を掻き鳴らしていた。
音楽がアップテンポになり一層盛り上がってきたところでミイちゃんとアオがピョーンと大きく飛んで舞台の上へと上がった。
まるで悲鳴のような歓声の中ミイちゃんとアオは重力なんて無いかのように宙に浮かび舞台の上をくるくる回る。
くるくる、くるくる回っていると2人の周りにはどんどん光が集まって太陽が浮かんでいるかのように大きく輝いた。
パーンと光が弾けたように見えた途端、アオがついに白鳥になった…
「えええええええー!!!」
「きゃーーーーーーーー!!!!」
「うわーーーー!!!」
「ギャオーーー!」
場の盛り上がりは最高潮になり、私はちょっと気絶しかけた。




