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「魔力を発現できるって言っても流すとか動かすとか無理なんですけど…」
「...!」
ミルヒさんは言葉を失って、まさしくガーンって顔をした。
使えない女ですみません…
包むとか覆うとかしか無理なんです…
どうしたら…
何か方法がないだろうか。
うーん…
うーーん……
「あ!」
「な、な、何かは、方法が!?」
「血球を包む感じで魔力を纏わせれば魔力が流れているのと同じような感じにならないですかね。」
「そ、それで!それでい、行ってみましょう!!」
とりあえずはトライアルアンドエラーでやれることを片っ端から試すしかない。
血液を用意してもらい、1割くらいの血球を魔力で覆ったもの、3割くらいのもの、5割くらいのもの、8割くらいのもの、全て覆ったものと4種類の血液を用意した。
何も弄っていない物も合わせた5種類で比較していくことになる。
何度も失敗してうまく調整出来るようになるまで5日かかった。
こんな微調整もできるのかと途中で自分自身に感動すら覚えた。
覆った魔力は私が解除しない限りずっとそのままの状態なので、上手に使えば結構長持ちするはずだ。
有効に使って欲しい。
まずは豚の血管を使って試してみると、1割の血球を魔力で覆ったものは血管への圧力が1番低く、魔力を纏わせない血液は圧が若干上がり、そのほかは割合が高くなるにつれて圧は指数関数的に急激に上がっていった。粘稠度は魔力の割合が上がるに従って反比例に下がっていった。
粘稠度が低いということは血液サラサラ状態ということだし、圧が低いということはダメージが少ないということだ。
つまり今回の実験では1割の血球に魔力を纏わせた状態が血管にとって最適な血液の状態だと言うことがわかった。
全ての血球に魔力を纏わせた場合の圧はかなりのもので、早い段階で血管が損傷して裂けたり漏れたりするだろうと予想できる。
血球は血液の55%程度と言われているので、実際に純粋な魔力が通るとしたらさらに強い圧がかかるのが確実だ。
実際1週間目で穴の開いた物が出た。
血管を魔管代わりに出来なかった理由はこれにありそうだ。
そして、魔力は微量ながらも各臓器にも影響を与えていそうだという事もわかった。
この全ての血球に魔力を纏わせた血液に耐えられる素材が見つかれば人工魔管に大きく近付ける。
もしくは魔力量を増やす方法を見つければ予防になるということだ。
今まで魔管が詰まった時に魔力を抑える薬を使ったりしていたのは逆効果だったということがわかったのだ。
「か、これは、せ、製薬会社とも、きょ、共同で研究する、ひ、必要が、あ、ありますね。」
その通りではあるのだが、ミルヒさんにその辺は丸投げすることにする。
もう、ちょっと私の手には負えなくなってきた。
私の本丸は人工魔管なので、それを形成する成分の研究をさせていただきたいと思う。
王都の滞在は残り3週間だ。




