50
翌日、朝10時発の列車で神田さんは帰って行った。
行きも帰りも朝10時発なのは良いけど到着が朝4時になるのがキツイなと思う。
13時発7時着位にして欲しいもんだ。
今日は研究室も午後から行くと伝えてあるので、神田さんをお見送りすることができた。
別れ際にユユラさん、ルナちゃん、ソラ君へのお土産を渡すと、「どうもありがとう。でも、お土産も嬉しいけど、田中さんが無事に帰ってきてくれるのが1番喜ぶと思うよ。」と優しく言われてちょっと泣きそうになった。
こっちに来てまだひと月経ってないくらいだし、来月には帰るんだけどね…
お見送りってそういう雰囲気あるよね。
ミイちゃんとアオは最近仲良くなった子供達と今日は湖に遊びに行くと言って出かけてしまったし、私も残りのデータ入力をしなくては、と気合いを入れて研究室へと向かった。
研究室に着くとミルヒさんが待ち構えていて、私は実験室へと連行された。
「え、ちょ、ミルヒさん、何するんですか?」
「ちょ、ちょっと、きょ、協力お願いし、します。」
「いや、出来ることならなんでもしますけど、まずは説明してください!」
「す、すすす、すみません!」
ミルヒさんはハッと我に帰ったようで、慌てて説明してくれた。
なんと昨日の午後研究室の皆さんで協力して5000件ものデータを入力してくれたらしい。
私が入力した分が2000件分だったので計7000件のデータが集まり、その統計をとり解析したところ、次のような結果が出たのだそうだ。
・身長、体重、血液型などは有病率に関係しない。
・男性で年齢が高い方が有意に魔管が詰まる傾向にある。
・経産婦で出産経験の多い女性の方が魔管が詰まりやすい。
・魔管が詰まった人の既往歴を見ると、高血圧、心肥大、尖脳の萎縮、外傷が目立つ。
・魔管が詰まった人は相対的に魔力量が少ない。
・詰まった魔管を繋ぎなおす手術をした人の4割は5年以内に再度詰まり、8割が10年以内に詰まってしまう。
・職業ではスポーツ選手、肉体労働者、医師、看護師、警察官、消防士などに多い。
以上のことを踏まえてミルヒさんが立てた仮説というのが
・魔管はある程度魔力があり流動する圧がかかる事で正常に保たれていると思われる。
・魔力量と高血圧、心肥大に相関があることから、魔力と血流にもなんらかの影響があると考えられる。
・尖脳の萎縮は魔力量が少ない事と相関するのは妥当である。
・有意差のある職業の特色、外傷の既往などから感染症が関係している可能性を否定できない。
・経産婦に多いのは妊娠中に胎児との魔力交換が胎盤を通して行われることが影響している可能性がある。
という内容だ。
もしかして血流と魔力量が関係しているかもしれない、という部分の検証を行うために私に協力して欲しいとのことだ。
人工血管に血液だけを流す場合と血液に魔力を混ぜて流す場合とでの血管への圧やダメージの違いを調べるのに、魔力をそのまま発現できる私の魔法を使いたいのだそうだ。




