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「色々とわからないことも多いだろうから、もし希望があればお手伝いをつけるけどどうしたい?」
「お願いします。できれば女性でお願いします!」
やっぱり同性の方が何かと悩みも共有しやすいよね。
文化も生活習慣も違う場所だとしたら尚更。
マリさんがふふっと笑ってドアを開けたら、白い猫が思いがけない大きな声でニャーと鳴いた。
マリさんが外に出ていくのでついていったところ、外を飛んでた犬のしっぽのうちの一本がこちらに向かってシュルシュルと降りてきた。
目の前で旋風のようにクルクルと回ると丸い毛玉になり、その毛玉はぴょんと飛び跳ねると白くて大きな犬になった。サモエドにそっくりだ。
「ご希望通り女の子よ。ミイちゃんて言うの。」
犬なら性別は別になんでも良かったんだけど、大きい犬を飼うのは夢だったのですごく嬉しい。
「ミイちゃん…かわいい…よろしくお願いします」
ミイちゃんはしっぽをゆっくりと振りながら座って
「よろしくね、キヨコ!」
喋った…!
ワンじゃないんかい!
「それじゃあ、何か困ったことがあったらミイちゃんに相談して。あちらの世界で生活に困ることはないと思うけど、どこにでも嫌なことはあるかもだから気をつけて頑張ってね。」
「えっ、もう?」
マリさんが言うか言わないかのうちに、周りの景色が歪んで光につつまれた。
目眩に似た感覚が治ったと思ったら私は知らない部屋の真ん中に膝をついていた。
隣にはちゃんとミイちゃんがいる。
「キヨコ、大丈夫?」
ミイちゃんが私の顔をペロンと舐めて、心配そうに覗き込んでくる。
尊い…
エンジェルがここにいる…!
「ミイちゃんありがとう。私は大丈夫。ここはもうなんちゃら王国なのよね?」
「ジャンバル王国ね。そうだよ。ジャンバル王国にあるキヨコの家に着いたんだよー。」
早速の家持ち。ありがたい。