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神田さんも長旅で疲れているだろうし、今日はゆっくりしてもらって…と思っていたが、
「プログラミングとか3日でするのそもそも無理ゲーだからすぐに研究室に連れてってよ!」
との事でネモフィラ亭で軽く朝食を食べてから早速研究室へと向かった。
神田さんもまた渡り人なので特に問題なく研究室に受け入れてもらえたのだが、この世界に5台しかないとかいうコンピューターを弄るのって大丈夫なのだろうか。
私は不安になっていたが、神田さん曰くバックアップは出来てるみたいだから問題ないとのこと。
「でっかいコンピューターだけど、スペックはそんなに無いからプログラミングも限度があるよ。
やれるだけやるけどあんまり期待しないで。20年触ってなかったしなー…」
そう言いながらものすごいスピードでキーボードを叩き始めた。
私は全くわからないし見ていても仕方ないので、ここは神田さんに任せて自分のできることを進めることにする。
右手に血管、左手に魔管を持ちぷにぷに触りながら、そもそも魔力ってなんだろうと考える。
目に見えない物なのになんで管通るんだよとか、尖脳からどうやって発現してるんだよとか、ほんとわからないことだらけだ。
教科書によると尖脳までくるとそこから脊髄や神経を介して発現出来るようになるって事だけど、ということは脳まで行った後は電気信号に変換されるってことだよね。
なんなんだ、魔力。
それにしてもこの手袋越しの感触がどうももどかしい。
できれば素手で触ってみたい。できればっていうか、是非ともっていうか。
「ミルヒさん、これ、素手で触ってみたいんですけどダメですかね?」
「えっ!だ、だ、ダメですよ!
ホ、ホルマリン固定してあるので、す、素手はダメです!」
「実は私、魔法が使えるんですけど、なんか身体に空気の層みたいな薄い膜を張る事ができるんですよ。それ通してなら大丈夫ですか?」
「ちょ、直接身体に、や、薬品がつかないなら、ま、まあ…で、でも、それならて、て、手袋通してと、か、変わらないのでは?」
「いや、それが違うんですよ。なんかすごく薄いからか感触はほとんど変わらないんですよね。
でも汚れとかは付かないし、針とかで刺しても弾いて傷がつかなくて、なんていうかバリアみたいな感じなんです。」
「・・・・・・ちょっと、み、見せてみて下さい。」
私は手のひらに空気の層を纏ってマジックで線を引くが、もちろんマジックは手につかない。
ミルヒさんは目を丸くしてペン先で突ついてみたり水をかけたりするが、手は綺麗なままだ。
目を閉じて刷毛で指先を触って本当に感触がわかるのかも確認された。
「ね?」
「か、感触はあるのに、い、痛みは感じないのですか?」
「ちょっと痛いこともありますけど、ある一定の圧力や鋭いものは防いでいる感じがしますね。」
ミルヒさんは眉間に皺をを寄せてしばらく考えた後、驚くべきことを言い出した。
「これ、ま、魔力の、そ、層かもしれません。」




