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ミイちゃんとアオは私がいなくても楽しくやっているようなので、次の日からみっちり研究室に入り浸ることになった。
私がいなくてもどうせ…といじけたくなる気持ちもあるけれど、ありがたいっちゃありがたい。
2日ほど培養のお手伝いをして、だいぶ手が動くようになってきたので、次に分析について教えてもらう。
こちらは分析機頼りでさほど手技は必要ないので、一通り試して以前の資料との差がないかの確認くらいの内容だ。
10日ほど、培養や分析作業をしつつ、合間合間に過去の資料の確認をしながら魔管についても調べていく。
魔管欠損の子供はあまり生まれないが、魔管が詰まる大人はそれなりにいるので、詰まった魔管を一部切り取ったものや、亡くなった人から摘出したものが研究の材料となる。
正常な状態と異常な状態を比べる事ができたら良いのだが、人間にしかない器官だし元気な人にちょっともらうという訳にもいかないのだから仕方がない。
組織だけではわからない部分もあると思うので、魔管が詰まる病気になった人達の性別や身長体重、血液検査の結果や過去にかかった病気などのデータも集計してヒントを探す。
もう少し精密に分析できたら良いのだが、私の頭脳では追い付かず行き詰まっていた時に救世主の存在を知った。
以前、この世界にパソコンはないと聞いていたのだが、この会社にはそれらしきものが存在したのだ。
この国には5台だけコンピューターがあり、そのうちの一つがこの会社にあるのだそうだ。すごい。
しかしそのコンピューターには統計や分析のソフトは入っていなかった。
なんでも人工臓器の個々の適合性を調べるために使っているんだとか。
私はプログラミングなんて当然できない。
が、そこで神田さんですよ。神田さんSEだったって言ってたよね?てことで速攻で連絡してみたら神田さんが来てくれることになったのだ。
4日後神田さんが王都に到着した。
もちろん朝4時に。
私はミイちゃんとアオと一緒に駅まで神田さんを迎えに行った。
今回神田さんは3日間の滞在の予定で、宿は私と同じネモフィラ亭だ。
「田中さん、久しぶり!ミイちゃんとアオも元気だったか〜?」
「ホクトー!ルナとソラはー?」
「ルナとソラはお留守番だよ。ミイちゃんとアオに会いたがってたよ。」
「ピュルルッ」
「神田さんお疲れ様です。ユユラさん妊婦さんなのに来てもらってすみません。すごく助かります。」
「いやいや、なんもだよ。元はと言えばユユラが不安がってたから田中さんが色々調べてくれてるんだろう?協力するのは当然だよ。出産までまだ3、4ヶ月あるし、今安定期だから大丈夫大丈夫。ユユラも元気にしてるよ。」
「それを聞けて良かったです。まだこっちにきてひと月も経ってないのになんかすごいイーサンのこと懐かしくって。」
「いや、俺もさ、このくらい顔合わせない事なんて今までもあったのに、同じ街にいないからかすごい長い間離れてた感じがしちゃってるんだよね。」
「不思議ですよねぇ。」
「だよなー。」
私は久しぶり(でもないけど)の再会にほっこりしながら神田さんとネモフィラ亭に向かった。




