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徒然異世界日記  作者: えつお
異世界の王都にきました
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1週間ほど王都のんびり観てまわって、少しずつ土地勘も掴めてきたところで、今回の目的の一つである医療機器製造会社へ訪問する事にした。

ハッシ先生からの紹介状を手に、バスで会社に向かう。今回はミイちゃんとアオはお留守番だ。

バスに30分程揺られたのち、ちょっとした森のような場所の前で降ろされた。

私の身長の2倍くらいの高さの柵が道に沿ってずっと向こうまで続いており、その内側に木が茂って森のようになっている。

バス停のすぐ目の前が門になっていて、呼び鈴を押すと奥の小屋から守衛さんぽい人が出てきた。


「何かご用意ですか?」と守衛さんに聞かれて、私が紹介状を見せて訪問の理由を告げると、守衛さんはあっさり中に通してくれて会社の入り口まで案内してくれた。


会社はコンクリートでできた大きな建物で、小さめの正方形と大きめの長方形をくっつけたような形をしている。

こちらの世界に来てからは石造りや木造の建物を目にすることが多かったので、コンクリートなどは無いのだと勝手に思ってしまっていた。

しかも入り口は自動ドアだ。

バスや列車のドアは自動開閉だったが、建物の自動ドアは初めて見た気がする。

技術と資金のある大きな会社なんだろう。


応接室に通されて待っていると、背の高い男の人が大きなダンボールを抱えて入ってきた。

「す、す、すみません。お、お待たせしました。」

男性は慌てた様子で段ボールを床に置き私に深々と頭を下げる。

「あ、いえいえ、ご丁寧にありがとうございます。こちらこそお忙しい中お時間とっていただいてすみません。」

こちらも立ち上がって頭を下げると、ペコペコとお互いにコメツキバッタのようになってしまった。


「ハッシ先生からご連絡があったと思うのですが、キヨコと言います。今回人口魔管についてご相談させて頂けたらと思いまして。」


「あ、は、はい!わ、私はミルヒとい、言います。や、よ、よろしくお願いし、します。」


ミルヒさんはハッシ先生と大学の同級生で、医師免許は取ったのだが、吃音症があるため臨床に出るのが不安になり研究者としてこの会社に就職したと言っていた。


私は以前観た英国王のスピーチという映画を思い出した。

イギリス国王のジョージ6世がアルバートというスピーチ矯正の専門家と絆を作り上げながら吃音を克服していくという物だ。


もちろん遺伝的なものもあるだろうし、よくなる人もならない人もいるだろう。

ただ、この世界の人々は穏やかで優しく現状に満足している人が多い。

つまりはメンタルを病む素養のある人が少ないのだ。

もしかしたら、精神科とか心療内科のような診療科は存在しないのかもしれない。

実際、イーサンには存在しなかった。

そういうものが必要ないのは良い事だとは思うけれど、いつか必要となった時のために知識や概念を知っておくのも大事な気がする。


ミルヒさんの吃音くらいならば気にしない人が多いのではないかと思うけれど、現場で働きながら自分の中で余計な悩みを抱えるよりは潔い方針だな、と感心した。

こうやって自分や環境を無理なく受け入れていく人達が多いのだろう。


ミルヒさんは早速ですが、と前置きをして会社の説明をしてくれた。

この会社は人工臓器を取り扱う会社で、ジャンバル王国では1番規模の大きな医療機器メーカーなのだそうだ。

取り扱っている物は多岐に渡り、人工心臓や人工骨、人工真皮に人工血管などがある。

昔は人口魔管の研究もしていたのだが、失敗続きで頓挫しており、ミルヒさんはより性能の良い人工血管の研究をしているのだそうだ。

段ボールの中から、失敗作の人口魔管や現在使われている人口血管、研究中のものなどを取り出し、研究資料も見せてくれた。




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