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3日後、私はミイちゃんとアオと再びあのアクセサリー店を訪れた。
アンクレットはとても綺麗に仕上がっていて、早速2人に付けてもらうとキラキラと輝いてものすごく似合っている。
「すんごい、すんごい、素敵だよー!」
私は自分の見立てに満足して2人をぎゅっと抱きしめた。
2人も嬉しそうに私の頬に頭を擦り寄せてくれる。
今日はこの後王立公園に向かう予定だ。
せっかくだからアンクレットを付けてネモフィラの花に囲まれた2人を見たかったので、出来上がるまで待っていたのだ。
私も今日は白いワンピースに麦わら帽子を被り、黄色いシトリンのペンダントをつけていつもよりもおしゃれをしている。
王立公園までは歩いて1時間ほどかかるが、気持ちのいい朝なので散歩がてらゆっくり向かう。
ミイちゃんとアオは軽く跳ねたりクルクル回ったりしてアンクレットを揺らしながら楽しそうに付いてくる。
途中、朝市で買ったバナナのクレープを食べながら、街並みをきょろきょろみていると、少し高級そうな食器屋さんを見つけた。
もしやと思ってウインドウを除くと、一角にイーサンの工房で作っているグラスが飾ってある。
他の商品に見劣りすることなくオレンジにピンクに色めいていて嬉しくなった。
この3日間、私達は王立公園以外の公園に行ったり、昔の貴族の邸宅を見学したり、美術館や博物館を巡ったり、王都の街を結構たくさん見て廻ることができた。
王都の街中でイーサンの物を見つけるのが私のささやかな楽しみになっている。
見つけるたびに神田さん夫妻や工場の人たち、ご近所さんやハッシ先生などが思い浮かんで幸せな気持ちなると同時にちょっと寂しい感じがして、ホームシックにはまだ早いだろうと苦笑いしてしまう。
太陽もだいぶ高くなり、日差しが強くなってきた頃私達は王立公園にたどり着いた。
入園料を払って門をくぐると、薔薇の木でできたアーチの道が続いている。
濃い緑の葉が繁るなかに、花弁がいくつも重なった白い薔薇の花が水玉模様のように散らばっていて、このアーチだけでも見応えがある。
軽い上り坂の道をしばらく歩いてアーチを抜けると一気に視界が開けた。
一面にネモフィラの海が広がり、空へと向かって青いグラデーションを織りなしている。
今までの道がバラに覆われるようなかたちだったので、まるで宇宙に放り投げられたかのような急に解放された気分になる。
花を踏まないように気をつけながらネモフィラの海を進むと、一角に芝生のスペースがあり休憩できるようになっていた。
芝生にシートを敷いて座り、しばらくただただその美しい景色を目に焼き付ける。
ミイちゃんとアオにおやつのクッキーとお水を用意してあげると、2人の周りで光がチカチカ瞬いている。
「あれ?ミイちゃんとアオ、なんか光ってるよ?」
「この公園は小さい精霊がたくさんいるんだよー。
クッキーをお裾分けして欲しくて近寄ってきてるの!」
「え!そうなの??」
慌ててお皿にクッキーを追加すると光の点滅が一層強くなった。
アオはいくつかの光とその辺を飛び回って遊んでいる。
すごく嬉しそうでとても可愛い。
アオ自身がチカチカ光ってるみたいで神々しいし、アンクレットもいい具合に煌めいている。
眼福眼福。
「ピーー。ピュルルルーーー。ピュピュピュッ」
突然いつになく大きな声で囀ったと思った途端、アオの周りのチカチカが、しゅるんとアオの中に取り込まれた。
驚いて動けずにいるうちに、アオは一際強い光を放ち、あっという間に倍以上の大きさになった。
「えっ、えっ」
「あら、アオ成長したねー!たぶんもう少し大きくなったらキヨコと話もできるようになるよ!」
「えっ」
「ピュルー」
私の元に戻ってきたアオを見ると、前よりも少し凛々しい顔つきになり色もさらに薄いライトブルーになっている。
そしてアンクレットは若干足に食い込んできつそうだった。
直さねば…




