37
「朝食は6時から準備できますがどうしますか?
もう少ししたらそこの広場で朝市も始まりますので、そちらで召し上がるのも楽しいと思いますよ?」
青髪のお姉さんが親切に教えてくれたし、さほど疲れてもいなかったので少し休んだ後に朝市に行ってみることにした。
「ありがとうございます。じゃあ、朝市に行くので朝食は結構です。
あの、髪の色、とっても素敵ですね!」
「ありがとうございます!先週染めたんですよ。
来月建国祭があるから、それに合わせて!
思ったよりも鮮やかな青色になっちゃったからどうしようと思ってたんですけど、褒めてもらえて自信がつきました!」
「地毛では無いんですね〜。すごく綺麗な色だと思いますよ。ネモフィラ亭っていう名前にもピッタリです!」
「あはは!地毛でこんな青い髪の人間いるわけないじゃないですか!お姉さん、天然?
でもありがとうございます。何か困った事があったらいつでも頼ってくださいね。」
「うれしいです。初めての王都でわからないことだらけなので色々相談させて下さい。」
「いつでもどうぞ!精霊様も一緒なら何も心配いらないと思うけど。」
少し砕けた口調になった青髪の女の子はリンドと名乗って片目を瞑った。
宿は一階に3つ、2階に5つ部屋があり203号室は南側の真ん中の部屋だった。
部屋に入るとほんのりハーブの香りがしていて、部屋は清潔に整えられていた。
大きなベッドが一つ部屋の真ん中に鎮座しており、窓際に小さなテーブルと椅子が二脚置いてあり、テーブルには小さな花が飾ってある。
壁際にチェストが備え付けられていて、荷物を置いたり入れたり出来るのも使い勝手が良い。
お風呂とトイレも部屋についていて、バスルームにはアメニティの他、タオルや歯ブラシなども用意されていた。
特に困ることはなさそうな感じだ。
雨戸のような窓を開けるとちょうど太陽が上る時間になっていたらしく、オレンジ色の光が部屋の中に差し込んできた。
広場は東側にあるそうなのでここからは見えないが、耳を覚ますと軽快な音楽や人の話し声が聞こえてくる。
「ミイチャン、アオ、朝市はじまってるっぽいよ。
早速行ってみようよ!」
「いいね!楽しみ〜!」
「ピーッ!ピッ!」
私は荷物の中から小さめの鞄を取り出し、財布とハンカチをそこに入れて麦わら帽子を被った。
帽子の鍔の部分にアオがとまり、飾りのようになっていて、ミイちゃんもいつもの倍くらいの速さで尻尾を振っている。
鏡の前で少し身嗜みを整えてから、私達は軽い足取りで朝市へと向かった。




