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家に帰ってきてからは、王都へ行く時にもっていくべき物をリストアップした。
とはいえ、私は旅行は必要最小限なものしか持たず、最悪現地調達すれば良い派だ。
数日分の下着と服、お財布、ミイちゃんとアオのおやつ、勉強用のノートとペンと教科書、それくらいしか思いつかない。
ちなみに資金は結構たくさんある。
元々生活費は国の補助金で賄えるので、半年工場で働いた給料がまるまる手付かずで残っているのだ。
お金の使い道が日々の食費以外あまりなく、たまに服を買ったりするくらいなので、国の補助金もかなり余っている。
たぶん私1人なら3年くらい余裕で暮らせる金額が銀行口座には貯まっていた。
日本人の性なのか、無駄遣いする気も起こらずついつい貯蓄に回してしまうのだ。
「でも今回はパーっと使ってパーっと遊ぼうね!」
「わーい!楽しみ〜!」
「ピピピッ」
ミイちゃんとアオもはしゃぎ回っている。
美味しい物をみんなで食べたいな。
ミイちゃんとアオに似合うアクセサリーでもプレゼントしたいな。
お城とかも見学できるならしてみたいな。
想像するだけでも頬が緩んでくる。
聞いた話では、王都はイーサンよりも北に位置するため少し涼しく、湿度も低めで過ごしやすい気候なのだそうだ。
物流の中心になっているので、国中から色々なものが集まり、珍しい食べ物や宝石、インテリアなども手に入りやすいらしい。
また王都では芸術家を好条件で保護しているので、芸術家が集まりやすく、美術館や劇場なども存在していると言っていた。
この世界の芸術に触れる機会は今までなかったので、ぜひ行ってみたいと思っている。
都会の雰囲気の王都だが、自然もしっかりと残っており、綺麗に手入れされた大きな公園もいくつかある。
綺麗な花が咲いていたり、池がライトアップされていたりしてそれぞれが観光名所になっているのだそうだ。
その中でも1番有名なのが王立公園で、国を象徴する花である青いネモフィラが広大な敷地一面に植えられており、その奥に王宮が聳え立つ様は海の中に王宮が浮かんで見えるようだと聞いた。
ネモフィラって可愛いけど小さくて結構地味な花だから国を象徴するって聞いてちょっとびっくりした。
もっと薔薇とか百合とかそういう華やかな花が選ばれるのだとばっかり思っていたから。
確かネモフィラの花言葉は「あなたを許す」。
ギリシャ神話が由来だったはずだけど、この世界での由来や花言葉が同じなのかはわからない。
でも「あなたを許す」っていうのはこの国の人の性質を捉えていて、素敵だなと思った。
そんなこんなで2週間後、私は王都に旅立った。




