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私は魔法のおかげで掃除や片付けがすごく楽になった。
食器自体にに空気を纏わせればほとんど汚れていないので軽く洗えばいいだけだし。
全く洗わないでおくのはちょっと抵抗があるんだよね。
お皿を洗ってテーブルを拭いて、神田さん夫妻にご挨拶をしてお暇する。
今日は帰ったら少し王都への旅行について計画してみよう。
ミイちゃんやアオも連れて行きたいから、宿屋もちゃんと調べなきゃ。
王都でも勉強出来るなら1〜2ヶ月くらい滞在するのもいいかもしれないけど、その間仕事を休めるかの確認もしないといけない。
来月くらいから行って再来月のお祭りを見てから帰るようにすればユユラさんの出産にも余裕を持って戻って来れる。
他の渡り人がいるならその人にも会ってみたい。
やらなくちゃいけないことがたくさんだ。
「ミイちゃんは王都の建国祭って行ったことある?」
「あるよー。私達もお祭りの中で役割があるから、行ける時は毎回行ってる。」
「え…?どゆこと?」
私とアオがハテナをたくさん飛ばしていると、ミイちゃんがジャンバル王国の成り立ちについて教えてくれた。
<ジャンバル王国の成り立ち byミイちゃん>
ジャンバル王国がある場所は元々不毛の地で、植物も動物もほとんど居らず、火山がいつも火を吹き大地は常に揺れていた。
そこに海の向こうの帝国での権力争いに嫌気がさした男がその妻と共に安住の地を求めてこの国に降り立った。
とても新しい国を作れるような状態ではないと思ったが、海岸沿いには小さな村があり、細々と漁をして暮らしている村人達がいた。
長旅に疲れていた男は、しばらくの間その村に滞在させてもらうことにした。
当初は十分な休養を得られたらすぐに旅立つ予定であったが、妻が身籠っていることがわかり出産までは村で過ごすことにした。
7ヶ月ほどたって妻は出産の日を迎えた。
妻は難産で三日三晩苦しんだが赤子が出てくる様子がない。
このままでは妻が力尽きてしまうと、男は大層焦った。
その時に村人の1人が、火山の火口近くにいる聖なる鳥に羽をもらい、その羽でお腹を撫でればどんな難産でもたちまち解決すると教えてくれた。
国王は意を決して火口へと向かった。
落石をかわし、溶岩を乗り越えて火口のあたりまで辿り着いたが、聖なる鳥に会うことができない。
男は腰まで伸ばしていた髪を切り、身に付けていた宝石を髪の毛と共に全て火口に投げ入れ、全身全霊で祈りを捧げた。
すると、火口の中から真っ白な聖なる鳥が現れ、男に羽を3枚授けた。
男が大急ぎで村に戻り、妻のお腹を羽で撫でると、今までのことが嘘のようにするんと光に包まれた赤子が生まれてきた。
赤子がオギャーと産声をあげると、3枚の羽が宙に浮き、くるくると回りながら形を変えた。
3枚の羽はそれぞれ、真っ白な、犬、猫、狐となった。
犬、猫、狐は強い魔力を持ち、赤子に従った。
犬は大地を宥め、猫は植物を育て、狐は動物を増やした。
赤子は成長して青年になり、豊かな地となったその土地をジャンバル王国と名付け、治めることにした。
初代国王となった青年は国民に尽くし、また国民も国王を慕った。
犬、猫、狐は常に国王と共にあり、国を豊かにした。
国王の命が尽きた時、犬、猫、狐も天に昇り聖獣となった。
<おしまい>




